保健室の先生に召使にされた僕はお悩み解決を通して学校中の女子たちと仲良くなっていた

結城 刹那

文字の大きさ
90 / 138
幕間2

日和の別荘

しおりを挟む
 ゴールデンウィークに突入した。
 1日目は学校から出された課題を消化。2日目から前の休日で約束した『日和の別荘』に行くこととなった。

「ワォ! イッツ、ソー、ラージ!」

 天音さんが片言の英語で感想を述べる。

 日和家の別荘は『高級住宅』という名に相応しいほど魅力的なものだった。

 山の一角にあるため見晴らしは最高。リビングやダイニングは一般の家庭の4倍ほどの広さを誇っている。庭にはプールがあり、リビングの端にはグランドピアノが置かれている。

「なにこのテレビ見たことないんだけど!」

 飯塚先輩はリビングにあるソファーに腰をかけ、前にあるテレビを覗いた。普段、僕が見ているモニターを縦横10個ずつ詰めたくらいの大きさだ。

「お父さん曰く150インチあるみたい」

 150インチ。聞いたこともないサイズだな。

「ふむ……どこを見ればいいか全然分からない」

「こんな大きいサイズのテレビでモリカをする。なんて贅沢なんでしょう」

 気づけば飯塚先輩の隣に天音さんが座っていた。二人してテレビの画面を注視する。物珍しさに完全に魅了されていた。

 天音さんたちを見ている最中、突然ピアノの伴奏が流れる。視線を向けると、奏さんがピアノを演奏していた。彼女の隣では千丈先輩が伴奏に聞き入っている。千丈先輩の無茶振りで弾かされたのだろうか。

 日和の別荘に行く予定を立てた時、二人はその場にいなかった。だが、ゴールデンウィーク直前に話をしてみたら「行きたい」と言ったので、彼女たちもまた別荘にやってきたのだった。

「星宮さん、ピアノ上手だね」

「そうだね。日和は弾ける?」

「ちょっとだけならね」

 親指と人差し指をくっつけるポーズを見せる。

「もし良かったら後で聞かせてよ。日和の伴奏聞いてみたいから」

「え~。最近はあんまりやってないから上手く弾けないと思うな」

「別に上手くなくたって構わないよ」

「私が構うんだよ。ちょっとだけ練習してからね」

「了解」

「はあ~、あんまり私の前で日和とイチャイチャしないでほしいな」

 僕らの後ろにいた人物がため息混じりに会話に割り入る。

 日和の家に初めて行った帰り道、僕に声をかけてきた唯川さんもまた別荘にやってきていた。日和曰く、唯川さんは長期休みの度に一緒に遊びに行くと言う。今回の長期休みでは、日和は別荘に行くくらいしか用事がないので、仕方なく僕らに混じってついて来たようだ。

 本当に日和のことが好きなんだな。

「唯川さんはよく来るんですか?」

「もちろん。二桁は行っているわ。最上くんと違ってね」

 マウントを取るように自慢げに発言する。どうやら、僕は唯川さんにかなり対抗意識を向けられているみたいだ。

「はははは……」

 僕たちのやりとりに日和は苦笑いを浮かべていた。

「みんな聞いて」

 気を取り直すように手を叩く。その場にいた全員が日和に注意を向けた。

「まずは持って来た荷物を部屋に置くところから始めましょ」

 日和の別荘での滞在期間は今日を含めて3日間だ。僕は着替えくらいしか持って来ていないので、比較的荷物は軽い。ただ、女子は化粧品やらケア用品やらで荷物が多くなっているに違いない。

 その証拠に僕以外のバッグは皆すべからくキャリーバッグだ。

「部屋は2階と3階にある。各フロア4部屋で計8部屋あるから1人1部屋でいいかな?」

 日和の問いかけにソファに座る天音さん、飯塚先輩が肯定する。ピアノの近くにいた千丈先輩、奏さんも大きく頷いた。

「別に1人1部屋じゃなくていいんじゃない? 各部屋にベッドが二つずつあるんだから持て余しちゃうでしょ?」

 ただ1人、唯川さんだけは拒絶する。彼女の言うとおりベッドが二つあるのなら持て余してしまう気はするが、それだけなら別にいいのではないだろうか。

「それに、夜中にこっそり誰かが誰かの部屋に行く可能性があるしね」

 まだ理由はあるらしく、唯川さんは続けて口にする。その言葉に日和は目を大きくした。同時にピアノが1音鳴る。

「図星の奴らがいるな」

 全員の表情を見渡し、唯川さんは訝しげな表情を見せる。

「明里の言うとおりかもしれないね。なら、2人1部屋にしようか。今見ている感じ」

 日和は1度全体を見回す。

「天音さんと杏子、奏ちゃんと真奈ちゃん」

 それから僕らの元に視線を戻す。唯川さんを見て、僕を見る。

「私と文也、それで明里かな?」

「何で私がハブられるのよ!」

 唯川さんは両拳を握って日和の頭をグリグリする。

「明里、痛いよ~」

「やっぱり確信犯だったわね。夜な夜な最上くんのところに行こうだなんてそうはいかないんだから」

 日和の耳に口を近づけて言う。遠距離にいる四人には聞こえないだろうが、僕には丸聞こえだった。2人1部屋というのは見張りの意味も込められているみたいだ。

 唯川さんの攻撃に根負けし、日和は唯川さんと2人で部屋を共有することになった。

 それから僕らは部屋に荷物を置いた後、天音さんの発案でモリカをすることとなった。この人からモリカはどう足掻いても取ることはできないみたいだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...