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アリスとアルバート
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第1夜「アリスとアルバート」
あるゴシックな雰囲気を放つ夜の街に2人組の子供が腕を組み、楽しそうに歩いていた。
その2人組を見た者は皆目を丸くして微笑んだ。
何故ならその2人、同じ赤毛に同じ背丈、全くと言って良い程同じ顔立ちをしていたからだ。
違う所を上げるとしたら服装と髪の長さの違い、オッドアイの左右逆転、性別の違いのみ。
そう、2人は双子。
二卵性にもかかわらず激似した容姿を持っている。
きっとお互いに変装すればどちらがどちらかなど彼ら以外分かる者など存在しないだろう。
その双子の兄の名はアルバート、妹の名をアリスと言った。
こんな幸せそうな2人だけれども、アリスには1つ悩みが有った。
それは最近アルバートの様子がおかしい事だ。
いや、元々アルバートは少し奇妙な少年だった。
アリスに異常な程の執着を見せ、男は勿論、人形やぬいぐるみでさえも持たせないと言う何とも奇妙な性質だ。
しかしアリスが悩んでいるのはそこではなかった。
問題なのはアルバートが夜な夜なアリスが寝ている間に部屋に踏み入り、寝ている彼女の髪を1本抜き取って去って行くと言う異常行為だ。
最初はアリスも寝たふりを続け、何事も無かったように振舞っていた。アルバートが異常な事を知っていたからあえて知らぬふりをしたのだ。
しかしその行為は止まる事なく続き、今も尚、続いている。
さすがのアリスも気味の悪さを感じ始めていた。
家に帰ったアリスとアルバートは軽く「ただいま」と挨拶をして上の階にある寝室を目指した。
高級で鮮やかな赤いカーペットは階段の上へと続いていて、頭上には輝くシャンデリア、横にある白い壁には名前も知らない絵師の絵画がいくつも飾られていた。
それらが全て目に見えないかのようにアルバートはアリスの後ろ姿を見つめ、口角をニィっと怪しげに上げる。
『アリス、
君は僕のモノ。
永遠に。
だから必ず、
絶対に
僕以外ミエナイようにしてアゲル…』
そんな視線に気が付きもせず、アリスは階段を上り続ける。
すると下から扉が開く音がして、男の低い声が聞こえてきた。
「おや、アリス、アルバート…帰っていたのか。
帰ったならお父さんに知らせなさいといつも言っているだろう」
その言葉にアリスは不満有り気に答えた。
「だってこのお屋敷広いんですもの。声なんて届かないわ。それにお父様を見つけるにしてもどこに居るかなんて見当もつかないし…」
プゥと頬を膨らませるアリスを見てお父様と呼ばれた男も肩を落とし、勘弁したかのように出てきた部屋へと戻っていった。
「…さぁ僕の可愛いアリス…早く部屋へ行こうよ。今日はアリスに伝えなきゃいけない事が有るんだ。」
アリスの背中を優しく押すアルバート。
「伝えなきゃいけない事?アルバ…それは何なの?」
キョトンと首を傾げるアリスを見てフッと笑みが溢れたアルバートは「それは部屋についてからね」とだけ答えた。
あるゴシックな雰囲気を放つ夜の街に2人組の子供が腕を組み、楽しそうに歩いていた。
その2人組を見た者は皆目を丸くして微笑んだ。
何故ならその2人、同じ赤毛に同じ背丈、全くと言って良い程同じ顔立ちをしていたからだ。
違う所を上げるとしたら服装と髪の長さの違い、オッドアイの左右逆転、性別の違いのみ。
そう、2人は双子。
二卵性にもかかわらず激似した容姿を持っている。
きっとお互いに変装すればどちらがどちらかなど彼ら以外分かる者など存在しないだろう。
その双子の兄の名はアルバート、妹の名をアリスと言った。
こんな幸せそうな2人だけれども、アリスには1つ悩みが有った。
それは最近アルバートの様子がおかしい事だ。
いや、元々アルバートは少し奇妙な少年だった。
アリスに異常な程の執着を見せ、男は勿論、人形やぬいぐるみでさえも持たせないと言う何とも奇妙な性質だ。
しかしアリスが悩んでいるのはそこではなかった。
問題なのはアルバートが夜な夜なアリスが寝ている間に部屋に踏み入り、寝ている彼女の髪を1本抜き取って去って行くと言う異常行為だ。
最初はアリスも寝たふりを続け、何事も無かったように振舞っていた。アルバートが異常な事を知っていたからあえて知らぬふりをしたのだ。
しかしその行為は止まる事なく続き、今も尚、続いている。
さすがのアリスも気味の悪さを感じ始めていた。
家に帰ったアリスとアルバートは軽く「ただいま」と挨拶をして上の階にある寝室を目指した。
高級で鮮やかな赤いカーペットは階段の上へと続いていて、頭上には輝くシャンデリア、横にある白い壁には名前も知らない絵師の絵画がいくつも飾られていた。
それらが全て目に見えないかのようにアルバートはアリスの後ろ姿を見つめ、口角をニィっと怪しげに上げる。
『アリス、
君は僕のモノ。
永遠に。
だから必ず、
絶対に
僕以外ミエナイようにしてアゲル…』
そんな視線に気が付きもせず、アリスは階段を上り続ける。
すると下から扉が開く音がして、男の低い声が聞こえてきた。
「おや、アリス、アルバート…帰っていたのか。
帰ったならお父さんに知らせなさいといつも言っているだろう」
その言葉にアリスは不満有り気に答えた。
「だってこのお屋敷広いんですもの。声なんて届かないわ。それにお父様を見つけるにしてもどこに居るかなんて見当もつかないし…」
プゥと頬を膨らませるアリスを見てお父様と呼ばれた男も肩を落とし、勘弁したかのように出てきた部屋へと戻っていった。
「…さぁ僕の可愛いアリス…早く部屋へ行こうよ。今日はアリスに伝えなきゃいけない事が有るんだ。」
アリスの背中を優しく押すアルバート。
「伝えなきゃいけない事?アルバ…それは何なの?」
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