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5話ー虐められっ子ー

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時刻は刻一刻と過ぎ、現在はお昼時間に至る

学食に行く者や皆で集まって食べる者、イジメを受けている者…

いやいや、イジメはダメでしょ!

そう思い至った私は机に両手を置いてガタッと勢い良さ過ぎるぐらいに立ち上がり、イジメが起きている方へ駆け寄った

「ちょっと!何やってんだ!」

殺意とも呼べる負のオーラを放っていた私に怯えない者は居ない

イジメのリーダー格であろう女子はヒッと小さく恐怖の声をあげ、仲間を連れて教室から雷から逃げる犬のように出て行った

逃げる奴らを見送って虐めれていた子と私の間にしばらくの沈黙が流れる

正直気不味くなってきたのでその場を逃げようと足を運び始めたが、それは虐められっ子によって止められた

「あの…!さっきは助けてくれてありがとうございます!
それで…お名前をお伺いしても良いですか?」

若干オドオドした感じのその子は勇気を振り絞ったように聴いてきた

「別に…えっと…助けた訳でも無いし…
お礼なんか良いよ

名前は落花伊織、伊織で良いから」

お礼を言われた事に少し戸惑いを覚え、髪を指先にクルクル巻き付けながら俯いて答えた

「伊織さんですね!私は杉崎姫子です。今度お礼させて下さい」

「あ、うん…」

それだけ言ってツカツカとその場を離れて行った杉崎姫子に私は小さく頷いといた

私は知らない

教室の戸の影から誰かがそれを覗いていた事を

私はまだ知らなかった…

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ー放課後ー

キーンコーンと生徒達に欠伸と背伸びをさせる鐘の音が校内に鳴り響いた

私もそれにつられて背伸びをし、帰る準備に取り掛かる

別のクラスである優葉が教室に駆け込み、私の机に両手をついて顔を近ずけ「いおりん、一緒に帰ろ~」と言ってきた

教科書を強引にカバンへ突っ込んだ為、中に入ってたプリントの宿題がシワクチャになって焦りながら取り出す私は「いいよ!」とだけ答えてプリントの宿題救出作戦に集中した

プリントは少し破れたが無事に取り出す事が出来、「じゃ、帰ろ~」と言って優葉と学校を出たのだったが…

「あ。」

「どした」

急に金縛りにでもあったかのようにピタリと止まった私を心配する様子などさらさら無く優葉は私を見る

「ちょっと学校に忘れ物したから!1人で帰るよ、また明日!」

叫びながら走り去って行く私を優葉はヒラヒラと手を振って見送った

ちなみに私が忘れた者とは…




義兄だ。



>>第6話ー書道部でー
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