37 / 38
37.あなたと共に
しおりを挟む
ティーナとアルフィンが帰った途端、ラウルに抱き上げられ…寝室へと連れて行かれた。
抵抗しようとしたけれど…体格も力も違う、魔法も全く使えない私が敵うはずもなく。
色々イタされてしまい…。
とてもさっきまで魔力を使い果たして寝たきりだったとは思えないんですけれど?!
「あー幸せだな…」
ベッドの中で私を抱きしめて嬉しそうなラウルを見ていると…これで良かったとは思うけれど。
「……嫌だった?」
少し暗い声に顔を上げる。
困ったような表情に…首を横に振った。
…行為自体は…嫌ではないけれど。
「…考えてしまって」
「何を?」
「あとどれくらい生きて…一緒にいられるんだろうって」
今までの私の身体は、呪いの影響で寿命が短かった。
呪いは解けたとはいえ…十八年間受けてきた呪いは既にこの身体も蝕んでいるはずだ。
また少しの間しかラウルと一緒にいられないかもしれない。
私が早く死んだら…ラウルはどうするんだろう。
「———それは分からないよ」
しばらくの沈黙の後、ラウルは答えた。
「でも人間、誰でもいつ死ぬかなんて分からないから。考えても仕方ないよ」
ラウルの手が優しく私の背中を撫でる。
「…死んでもこの身体は残るかな」
その温かさにもう一つの不安がぽろりと口から漏れた。
「残るよ」
きっぱりとラウルは答えた。
「本当に?」
「その事も調べたんだ。…これは推測も入ってるんだけど」
ラウルの胸へと抱き寄せられる。
「多分…アデル様や代々の魔女達の寿命は、本当はもっと短かったはずだよ」
「え?…どういう事…?」
「人間の女の子の身体が、あれだけの呪いに耐えられるはずはないんだ」
古の…封印してもなお魔力が溢れ出すほどの力を持った邪神。
その身代わりが人間の…しかも少女の身体では、確かに耐性が違いすぎる。
「二十年か…どれくらいかは分からないけど、もっと早くに死んでいたはずだ」
「…でも…実際は…」
「それだけ最初の———ララの魔力が…魂が強かったんだ」
私の魔力が…?
「とっくに肉体は力尽きていたけれど、魂の強さのおかげで生き長らえていたんだろう。だけど魂でも支えきれなくなった時に…繋ぎとめられていた肉体は消滅してしまったんだと思う」
…それは…つまり…。
「最後の数年間は…私の身体は幻だったって事?」
「そうだね…だからあっという間に消えてしまった。でも呪いが解けて魔力を失った今でも、こうやってフローラ様は生きている。…だから少なくても身体が消滅する事はないよ」
「———そう…良かった」
私はラウルの胸に頬をすり寄せた。
「あなたに…同じ悲しみを味合わせたくないもの」
「そうだね。あんな光景は二度と見たくない」
ラウルのキスが頭に落ちてくる。
「フローラ様を長生きさせる方法はこれから研究するし、もういくつか考えているから。大丈夫だよ」
「長生きさせる方法って…?」
「例えば精と一緒に魔力を注いでみるとか」
顔を見合わせて真顔でラウルが答える。
———ええと…それは…
「真っ赤になって、可愛い」
顔を綻ばせたラウルに口付けられる。
「…そういう事することばかり考えてるの?」
「仕方ないだろ、男なんだし。ずっとずっと欲しかったんだよ?」
私の頬を両手で包み込んで、拗ねたような顔を見せるラウルに子供だった頃の面影が見えたけれど…ラウルの言うずっとはその子供の頃からなんだよな…
「……マセガキ」
「それだけ貴女が魅力的だって事だよ」
聞こえないように呟いたつもりだったのに、しっかり聞こえていたらしい。
「だから一日でも早く婚約しないとね」
だから?
「きっとこの先フローラ様が欲しいと言う王族や貴族が殺到するから。早く俺のものだって知らしめないと」
———それでもあの王子のように諦めない者も多いんだろうけど。
ため息混じりにラウルが呟く。
…他は分からないけど、確かにジェラルド様は…一生諦めない気がする。
「———大丈夫よ。こうやってあなたが側にいてくれれば」
私はラウルの手に自分の手を重ねた。
「そういう人達から護ってくれるんでしょう?」
「もちろんだよ」
温もりと、優しさと、愛情と…。
この手から与えられる全てが私を護る力になるから。
「ずっと側にいてね」
「ああ」
———もう、未来は怖くない。
私は愛する人に包まれる幸せを感じながら瞳を閉じた。
抵抗しようとしたけれど…体格も力も違う、魔法も全く使えない私が敵うはずもなく。
色々イタされてしまい…。
とてもさっきまで魔力を使い果たして寝たきりだったとは思えないんですけれど?!
「あー幸せだな…」
ベッドの中で私を抱きしめて嬉しそうなラウルを見ていると…これで良かったとは思うけれど。
「……嫌だった?」
少し暗い声に顔を上げる。
困ったような表情に…首を横に振った。
…行為自体は…嫌ではないけれど。
「…考えてしまって」
「何を?」
「あとどれくらい生きて…一緒にいられるんだろうって」
今までの私の身体は、呪いの影響で寿命が短かった。
呪いは解けたとはいえ…十八年間受けてきた呪いは既にこの身体も蝕んでいるはずだ。
また少しの間しかラウルと一緒にいられないかもしれない。
私が早く死んだら…ラウルはどうするんだろう。
「———それは分からないよ」
しばらくの沈黙の後、ラウルは答えた。
「でも人間、誰でもいつ死ぬかなんて分からないから。考えても仕方ないよ」
ラウルの手が優しく私の背中を撫でる。
「…死んでもこの身体は残るかな」
その温かさにもう一つの不安がぽろりと口から漏れた。
「残るよ」
きっぱりとラウルは答えた。
「本当に?」
「その事も調べたんだ。…これは推測も入ってるんだけど」
ラウルの胸へと抱き寄せられる。
「多分…アデル様や代々の魔女達の寿命は、本当はもっと短かったはずだよ」
「え?…どういう事…?」
「人間の女の子の身体が、あれだけの呪いに耐えられるはずはないんだ」
古の…封印してもなお魔力が溢れ出すほどの力を持った邪神。
その身代わりが人間の…しかも少女の身体では、確かに耐性が違いすぎる。
「二十年か…どれくらいかは分からないけど、もっと早くに死んでいたはずだ」
「…でも…実際は…」
「それだけ最初の———ララの魔力が…魂が強かったんだ」
私の魔力が…?
「とっくに肉体は力尽きていたけれど、魂の強さのおかげで生き長らえていたんだろう。だけど魂でも支えきれなくなった時に…繋ぎとめられていた肉体は消滅してしまったんだと思う」
…それは…つまり…。
「最後の数年間は…私の身体は幻だったって事?」
「そうだね…だからあっという間に消えてしまった。でも呪いが解けて魔力を失った今でも、こうやってフローラ様は生きている。…だから少なくても身体が消滅する事はないよ」
「———そう…良かった」
私はラウルの胸に頬をすり寄せた。
「あなたに…同じ悲しみを味合わせたくないもの」
「そうだね。あんな光景は二度と見たくない」
ラウルのキスが頭に落ちてくる。
「フローラ様を長生きさせる方法はこれから研究するし、もういくつか考えているから。大丈夫だよ」
「長生きさせる方法って…?」
「例えば精と一緒に魔力を注いでみるとか」
顔を見合わせて真顔でラウルが答える。
———ええと…それは…
「真っ赤になって、可愛い」
顔を綻ばせたラウルに口付けられる。
「…そういう事することばかり考えてるの?」
「仕方ないだろ、男なんだし。ずっとずっと欲しかったんだよ?」
私の頬を両手で包み込んで、拗ねたような顔を見せるラウルに子供だった頃の面影が見えたけれど…ラウルの言うずっとはその子供の頃からなんだよな…
「……マセガキ」
「それだけ貴女が魅力的だって事だよ」
聞こえないように呟いたつもりだったのに、しっかり聞こえていたらしい。
「だから一日でも早く婚約しないとね」
だから?
「きっとこの先フローラ様が欲しいと言う王族や貴族が殺到するから。早く俺のものだって知らしめないと」
———それでもあの王子のように諦めない者も多いんだろうけど。
ため息混じりにラウルが呟く。
…他は分からないけど、確かにジェラルド様は…一生諦めない気がする。
「———大丈夫よ。こうやってあなたが側にいてくれれば」
私はラウルの手に自分の手を重ねた。
「そういう人達から護ってくれるんでしょう?」
「もちろんだよ」
温もりと、優しさと、愛情と…。
この手から与えられる全てが私を護る力になるから。
「ずっと側にいてね」
「ああ」
———もう、未来は怖くない。
私は愛する人に包まれる幸せを感じながら瞳を閉じた。
2
あなたにおすすめの小説
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
[完結]困窮令嬢は幸せを諦めない~守護精霊同士がつがいだったので、王太子からプロポーズされました
緋月らむね
恋愛
この国の貴族の間では人生の進むべき方向へ導いてくれる守護精霊というものが存在していた。守護精霊は、特別な力を持った運命の魔術師に出会うことで、守護精霊を顕現してもらう必要があった。
エイド子爵の娘ローザは、運命の魔術師に出会うことができず、生活が困窮していた。そのため、定期的に子爵領の特産品であるガラス工芸と共に子爵領で採れる粘土で粘土細工アクセサリーを作って、父親のエイド子爵と一緒に王都に行って露店を出していた。
ある時、ローザが王都に行く途中に寄った町の露店で運命の魔術師と出会い、ローザの守護精霊が顕現する。
なんと!ローザの守護精霊は番を持っていた。
番を持つ守護精霊が顕現したローザの人生が思いがけない方向へ進んでいく…
〜読んでいただけてとても嬉しいです、ありがとうございます〜
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる