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第3章 呪い
00:SIDE S
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「アイリス!」
朽ちた祭壇の前に跪いたままのアイリスの姿を見つけ、フラビオは駆け寄った。
戦争の始まりから終わりまで、あっという間だった。
女神の加護を失った王国は脆く崩れ去った。
王侯貴族達は倒され、市民達がせめて神殿を守ろうと抵抗したけれど、あっけなく隣国の軍によって蹂躙されてしまった。
女神像は破壊され、かつて美しさを誇っていた白亜の神殿はみるも無残な姿となってしまった。
戦争が始まるとフラビオは他の神官達と共に、恋人であり唯一女神の声を聞くことの出来る巫女アイリスを逃がそうとしたのだが、彼女は神殿から離れる事を頑なに拒んだ。
王が討たれた日も、女神像が破壊された日も、アイリスはただひたすらに祈り続けていた。
「アイリス、もうこれ以上はダメだ…行こう」
肩に手をかけ、覗き込んだその顔に一瞬違和感を覚え…フラビオは気づいた。
「目の色が…」
複雑な色彩を帯びていた瞳が、青いそれに変わっていた。
「———力を封印したの」
フラビオを見上げてアイリスは言った。
「封印…?」
「最後の神託が下ったわ」
「最後の…それは…」
「〝血を残せ〟と」
空のように青い瞳がフラビオを見つめた。
「女神への信仰を、忠誠を繋いでいけば…いつか再び、女神がこの地へ戻ってくる時が来るかもしれないと」
「…そう言ったのか」
「ええ。いつか女神の声を聞くこの力を…虹の瞳を持つ子が生まれるまで、私はこの血を残していくわ。それが私の、巫女としての最後の仕事なの」
「そうか…分かった」
頷くと、フラビオはアイリスを立ち上がらせた。
「他の神官や残った市民達へ伝えよう。彼らの未来への希望となる女神の言葉を」
「ええ」
「それから、僕達は安全な場所へ行くんだ。アランブール王国に受け入れてもらえるよう話は付けてある」
フラビオはアイリスを抱きしめた。
「結婚して、沢山子供を産んで…彼らがいつかこの地に戻って来られるよう祈り続けよう」
「ええ…」
「それから…君を幸せにするから」
「…ありがとう、フラビオ」
見つめ合い笑みを交わす。
身体を離すと、フラビオはアイリスに手を差し出した。
「行こう」
「ええ」
二つの足音が消えると、後は長い長い沈黙が残るばかりだった。
————————————————
ちなみにですが、イリスやアイリスの瞳の色は「アースアイ」で検索していただくと出てきます。
朽ちた祭壇の前に跪いたままのアイリスの姿を見つけ、フラビオは駆け寄った。
戦争の始まりから終わりまで、あっという間だった。
女神の加護を失った王国は脆く崩れ去った。
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女神像は破壊され、かつて美しさを誇っていた白亜の神殿はみるも無残な姿となってしまった。
戦争が始まるとフラビオは他の神官達と共に、恋人であり唯一女神の声を聞くことの出来る巫女アイリスを逃がそうとしたのだが、彼女は神殿から離れる事を頑なに拒んだ。
王が討たれた日も、女神像が破壊された日も、アイリスはただひたすらに祈り続けていた。
「アイリス、もうこれ以上はダメだ…行こう」
肩に手をかけ、覗き込んだその顔に一瞬違和感を覚え…フラビオは気づいた。
「目の色が…」
複雑な色彩を帯びていた瞳が、青いそれに変わっていた。
「———力を封印したの」
フラビオを見上げてアイリスは言った。
「封印…?」
「最後の神託が下ったわ」
「最後の…それは…」
「〝血を残せ〟と」
空のように青い瞳がフラビオを見つめた。
「女神への信仰を、忠誠を繋いでいけば…いつか再び、女神がこの地へ戻ってくる時が来るかもしれないと」
「…そう言ったのか」
「ええ。いつか女神の声を聞くこの力を…虹の瞳を持つ子が生まれるまで、私はこの血を残していくわ。それが私の、巫女としての最後の仕事なの」
「そうか…分かった」
頷くと、フラビオはアイリスを立ち上がらせた。
「他の神官や残った市民達へ伝えよう。彼らの未来への希望となる女神の言葉を」
「ええ」
「それから、僕達は安全な場所へ行くんだ。アランブール王国に受け入れてもらえるよう話は付けてある」
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「結婚して、沢山子供を産んで…彼らがいつかこの地に戻って来られるよう祈り続けよう」
「ええ…」
「それから…君を幸せにするから」
「…ありがとう、フラビオ」
見つめ合い笑みを交わす。
身体を離すと、フラビオはアイリスに手を差し出した。
「行こう」
「ええ」
二つの足音が消えると、後は長い長い沈黙が残るばかりだった。
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ちなみにですが、イリスやアイリスの瞳の色は「アースアイ」で検索していただくと出てきます。
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