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第2章 再会と出会い
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「ロゼ、大丈夫か?疲れていないか?」
また手を繋いで廊下を歩きながらフェールは尋ねた。
「…ええ」
正直、疲れているといえば疲れている。
王太子とのお茶会は緊張したし、ランドの話はショックだった。
———分からない事が多すぎるのに、また別の世界に飛ばされるかもしれないという不安。
それが日本ならばまだいいのかもしれないけれど…全く違う世界の可能性もあるのだ。
「ロゼ」
不安が伝わったのか、フェールが手に力を込めた。
「大丈夫。俺が守るから」
「…ありがとう、お兄様」
「ロゼは何も心配しなくていい」
フェールは頷いたロゼの頭にキスを落とした。
「俺は仕事に戻らないとならないが。一緒に来るか」
「いいの?」
「父上も気にかけていたから顔を見せれば安心するだろう」
「…ええ」
兄を見上げてロゼは微笑んだ。
長い廊下を歩いていると、角から突然目の前に人影が飛び出して来た。
「ロゼ!」
フェールに引き寄せられたロゼの視界を花色が横切った。
「あ…申し訳ございません!」
声のした方を見ると侍女が頭を深く下げていた。
ふんわりとしたピンクブロンドの髪が揺れている。
「危ないだろう、気をつけたまえ」
「はい、本当に申し訳ありません…」
…あれ、この髪色は———
雫の記憶を思い出そうとすると侍女が顔を上げた。
クリッとした大きな青い瞳が、ロゼの顔を見て大きく見開かれた。
ヒロイン…!
思わずロゼは心の中で叫んだ。
その愛らしい顔立ちは、確かにゲームの主人公、ルーチェ・ソレイユだった。
本当に、彼女もいたんだ。
じゃあここはやっぱり…
「…雫…?」
信じられないという顔でルーチェが口を開いた。
「…え?」
「雫…どうしてここに……」
思いがけない言葉にロゼは目を見張った。
「…どうして…その名前を知って…」
「…え?本当に雫?本物?!」
弾かれたようにルーチェはロゼに駆け寄った。
「おい…」
「雫なの?!生きてたの?!」
制しようとしたフェールの手を振り払うとロゼの腕を掴む。
「え、あなたは…」
「私よ!ひかり!水野ひかり!」
「…ひかり?」
「雫ぅ…会いたかった———!」
親友の名を名乗ったヒロインは、ロゼを強く抱きしめた。
「で、君は何者なんだ」
空いていたティールームへ移動すると、フェールはルーチェに向いた。
「ルーチェ・ソレイユと申します」
答えてルーチェは頭を下げた。
「ソレイユ…確か子爵だったな」
「はい。侍女見習いとして今月から王宮に来ました」
「ロゼとはどういう関係だ?」
「ええと…」
「彼女は私が飛ばされた世界で友人だったの」
言い淀んだルーチェの代わりにロゼが答えた。
「友人?」
「飛ばされた?」
「…あのね、ひかり」
ロゼはルーチェを見た。
「私…本当はこの世界の人間だったの」
「え?」
「五歳の時に事故があって日本に飛ばされて…突然また戻ってきたの」
「———それって…」
ルーチェは頭の中でロゼの言葉を反芻した。
「雫は生まれ変わったんじゃなくて、あの雫のままって事?」
「生まれ変わる?」
「私は転生したのよ、この世界の住人として」
「え?」
ロゼは目を見開いた。
「それってどういう事…?」
「…どうも話が読めないのだが」
フェールが口を開いた。
「———あの、お兄様」
ロゼはフェールを見上げた。
「しばらく二人だけで話がしたいの」
少しの間思案するとフェールは小さく息を吐いた。
「俺は一度政務室に行ってくる。迎えに来るまでここから出るんじゃないぞ」
「ありがとう、お兄様」
「何かあったらすぐに来る」
ロゼの頭にキスを落とすとフェールはティールームから出て行った。
また手を繋いで廊下を歩きながらフェールは尋ねた。
「…ええ」
正直、疲れているといえば疲れている。
王太子とのお茶会は緊張したし、ランドの話はショックだった。
———分からない事が多すぎるのに、また別の世界に飛ばされるかもしれないという不安。
それが日本ならばまだいいのかもしれないけれど…全く違う世界の可能性もあるのだ。
「ロゼ」
不安が伝わったのか、フェールが手に力を込めた。
「大丈夫。俺が守るから」
「…ありがとう、お兄様」
「ロゼは何も心配しなくていい」
フェールは頷いたロゼの頭にキスを落とした。
「俺は仕事に戻らないとならないが。一緒に来るか」
「いいの?」
「父上も気にかけていたから顔を見せれば安心するだろう」
「…ええ」
兄を見上げてロゼは微笑んだ。
長い廊下を歩いていると、角から突然目の前に人影が飛び出して来た。
「ロゼ!」
フェールに引き寄せられたロゼの視界を花色が横切った。
「あ…申し訳ございません!」
声のした方を見ると侍女が頭を深く下げていた。
ふんわりとしたピンクブロンドの髪が揺れている。
「危ないだろう、気をつけたまえ」
「はい、本当に申し訳ありません…」
…あれ、この髪色は———
雫の記憶を思い出そうとすると侍女が顔を上げた。
クリッとした大きな青い瞳が、ロゼの顔を見て大きく見開かれた。
ヒロイン…!
思わずロゼは心の中で叫んだ。
その愛らしい顔立ちは、確かにゲームの主人公、ルーチェ・ソレイユだった。
本当に、彼女もいたんだ。
じゃあここはやっぱり…
「…雫…?」
信じられないという顔でルーチェが口を開いた。
「…え?」
「雫…どうしてここに……」
思いがけない言葉にロゼは目を見張った。
「…どうして…その名前を知って…」
「…え?本当に雫?本物?!」
弾かれたようにルーチェはロゼに駆け寄った。
「おい…」
「雫なの?!生きてたの?!」
制しようとしたフェールの手を振り払うとロゼの腕を掴む。
「え、あなたは…」
「私よ!ひかり!水野ひかり!」
「…ひかり?」
「雫ぅ…会いたかった———!」
親友の名を名乗ったヒロインは、ロゼを強く抱きしめた。
「で、君は何者なんだ」
空いていたティールームへ移動すると、フェールはルーチェに向いた。
「ルーチェ・ソレイユと申します」
答えてルーチェは頭を下げた。
「ソレイユ…確か子爵だったな」
「はい。侍女見習いとして今月から王宮に来ました」
「ロゼとはどういう関係だ?」
「ええと…」
「彼女は私が飛ばされた世界で友人だったの」
言い淀んだルーチェの代わりにロゼが答えた。
「友人?」
「飛ばされた?」
「…あのね、ひかり」
ロゼはルーチェを見た。
「私…本当はこの世界の人間だったの」
「え?」
「五歳の時に事故があって日本に飛ばされて…突然また戻ってきたの」
「———それって…」
ルーチェは頭の中でロゼの言葉を反芻した。
「雫は生まれ変わったんじゃなくて、あの雫のままって事?」
「生まれ変わる?」
「私は転生したのよ、この世界の住人として」
「え?」
ロゼは目を見開いた。
「それってどういう事…?」
「…どうも話が読めないのだが」
フェールが口を開いた。
「———あの、お兄様」
ロゼはフェールを見上げた。
「しばらく二人だけで話がしたいの」
少しの間思案するとフェールは小さく息を吐いた。
「俺は一度政務室に行ってくる。迎えに来るまでここから出るんじゃないぞ」
「ありがとう、お兄様」
「何かあったらすぐに来る」
ロゼの頭にキスを落とすとフェールはティールームから出て行った。
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