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声を上げて行動しなければ何も始まらない 1
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放課後、俺は一年五組に向かった。言うまでも無く、俺は一人だった。中谷さんにメールは打った。一応、理科室に待機してもらっている。彼のことだ、きっとメールに気付かないことはあるまい。
「南条菊代っているか?」
俺は手あたり次第に声をかけた。その中の一人、おかっぱの女の子が教室に入り、一人の女を連れて来た。三つ編みをしている女が俺の前に現れた。
「南条か?」
目の前の女がこくんと頷いた。背丈は普通、女子にしては高い方かもしれない、そばかす?ニキビみたいなものが顔にある。痩せている方だが、モデル体型と言うわけでもない。要するに掴みどころのない女だった。三つ編みの女子高生。南条に抱いた感想は、それだけだ。振り返ればその瞬間に忘れてしまいそうな顔だ。
「率直に言う。お前のツイッターのアカウントを停止させてほしい」
南条の顔が一瞬曇った。
「まず、あなたは誰ですか?」
南条は意外外にも冷静だった。
「二年文芸部部長の日向。俺のことは知らない?」
「……日向さんがなぜ私の個人情報を気にするのですか?」
「南条、お前の個人情報に関しては、どうでもいい。シラを切っててもわかっているだろ、桜木ヒカルをディスってるアカウントだよ、あれをやめろ」
「桜木ヒカル?」
「とぼけんな」
俺は少しだけ声を上げた。
「この学校の生徒で桜木ヒカルだよ、小説家の」
「あ」
と彼女は言った。頭の中でやっと回路が繋がったような、とぼけた顔をした。
「思い出しました」
「大した演技だな」
俺はいつになく低い声が出た。
「裏では他人のことを落としまくっていてここではとぼけるんだな」
「本当に知りませんよ」
「ごめん、とぼけないで欲しい」
俺は焦っていた。
「アカウントを停止して欲しいだけなんだ、俺が言いたいことはね」
「何を言っているのかわかりません」
南条は相変わらず強情だった。
「貴方が私の個人情報を握っていることの方が問題です」
気が付くと周りには少なくない人間が俺たちを見ていた。南条は全く顔色を変えないのに対し、俺は苛立ちと焦りが出ていた。声も荒げてしまった。その上、俺のこの、見た目だ。バカでかい俺が大人しそうな見た目の南条を怒鳴っていると、周りは思うだろう。大分俺は分が悪くなってきているような気がした。俺は思わずラインで中谷さんに合図を出した。ヘルプのスタンプを送る。中谷さんが後ろから出てくる。
「南条さんだっけ?」
中谷さんは飄々と言う。南条は
「は、はあ」
と困惑した表情で言う。いきなり知らない男が二人も出てきたのだから無理もない。
「このアカウントに心当たりはない?」
中谷さんは例の画面を見せる。
「……」
南条はきっちり三秒見つめた。
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
「いいけど」
南条は中谷さんの携帯をいじる。かなり真剣に、、喰い気味に見ている。三十秒くらいたった後に、南条はきっぱりと言った。
「知っていますけど、知りません」
「なるほど?」
中谷さんは何かを考えるように、宙を見つめた。
「どういうことだ?」
俺は意味が分からなかった。
「このアカウントは私のですけれど、私が発言していません」
「うん、乗っ取られているね」
中谷さんが淡々と言う。
「いや、知っていたんですかい!」
俺は中谷さんに突っ込みを入れる。なんと、南条は犯人ではなかった。何となく俺は中谷さんにむかついた。
「なんとなく思っていただけだけどね、でも誰かはまだわからなくって、ただ」
「ただ?」
「南条さん、犯人に心当たりがあるでしょう?」
「……あります」
ほらね、といった表情で中谷さんはこちらを見て笑って見せる。それがまた俺をイラつかせる。
「というのも、このアカウント、初めは桜木ヒカルを肯定した発言をしているんだ。去年の段階だけどね。その一か月後に全く逆のことを言っている。おかしいな、と思って」
「わかりました。それで、犯人は誰なんだ?」
「八組の欅(けやき)理奈」
南条が携帯を見つめながら答える。
「八組」と俺。
「欅」と中谷さん。
「その子、何か部活には入っている?」
中谷さんは冷静に聞く。
「わからない、入っていないと思う……」
「もう今日は帰った、かも」
小声で中谷さんが俺に言う。
「今、その子と連絡はとれるか?」
「あ、うん。聞いてみる」
南条は早速欅とやらに連絡する。
「俺、八組に行ってきます」
言い終わらないうちに俺は走り出していた。
「はいはーい、まあ、今はじっくり南条さんから話を聞くのが先だと思うけど。って聞いてないねーー、行ってらっしゃーい」
「南条菊代っているか?」
俺は手あたり次第に声をかけた。その中の一人、おかっぱの女の子が教室に入り、一人の女を連れて来た。三つ編みをしている女が俺の前に現れた。
「南条か?」
目の前の女がこくんと頷いた。背丈は普通、女子にしては高い方かもしれない、そばかす?ニキビみたいなものが顔にある。痩せている方だが、モデル体型と言うわけでもない。要するに掴みどころのない女だった。三つ編みの女子高生。南条に抱いた感想は、それだけだ。振り返ればその瞬間に忘れてしまいそうな顔だ。
「率直に言う。お前のツイッターのアカウントを停止させてほしい」
南条の顔が一瞬曇った。
「まず、あなたは誰ですか?」
南条は意外外にも冷静だった。
「二年文芸部部長の日向。俺のことは知らない?」
「……日向さんがなぜ私の個人情報を気にするのですか?」
「南条、お前の個人情報に関しては、どうでもいい。シラを切っててもわかっているだろ、桜木ヒカルをディスってるアカウントだよ、あれをやめろ」
「桜木ヒカル?」
「とぼけんな」
俺は少しだけ声を上げた。
「この学校の生徒で桜木ヒカルだよ、小説家の」
「あ」
と彼女は言った。頭の中でやっと回路が繋がったような、とぼけた顔をした。
「思い出しました」
「大した演技だな」
俺はいつになく低い声が出た。
「裏では他人のことを落としまくっていてここではとぼけるんだな」
「本当に知りませんよ」
「ごめん、とぼけないで欲しい」
俺は焦っていた。
「アカウントを停止して欲しいだけなんだ、俺が言いたいことはね」
「何を言っているのかわかりません」
南条は相変わらず強情だった。
「貴方が私の個人情報を握っていることの方が問題です」
気が付くと周りには少なくない人間が俺たちを見ていた。南条は全く顔色を変えないのに対し、俺は苛立ちと焦りが出ていた。声も荒げてしまった。その上、俺のこの、見た目だ。バカでかい俺が大人しそうな見た目の南条を怒鳴っていると、周りは思うだろう。大分俺は分が悪くなってきているような気がした。俺は思わずラインで中谷さんに合図を出した。ヘルプのスタンプを送る。中谷さんが後ろから出てくる。
「南条さんだっけ?」
中谷さんは飄々と言う。南条は
「は、はあ」
と困惑した表情で言う。いきなり知らない男が二人も出てきたのだから無理もない。
「このアカウントに心当たりはない?」
中谷さんは例の画面を見せる。
「……」
南条はきっちり三秒見つめた。
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
「いいけど」
南条は中谷さんの携帯をいじる。かなり真剣に、、喰い気味に見ている。三十秒くらいたった後に、南条はきっぱりと言った。
「知っていますけど、知りません」
「なるほど?」
中谷さんは何かを考えるように、宙を見つめた。
「どういうことだ?」
俺は意味が分からなかった。
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「なんとなく思っていただけだけどね、でも誰かはまだわからなくって、ただ」
「ただ?」
「南条さん、犯人に心当たりがあるでしょう?」
「……あります」
ほらね、といった表情で中谷さんはこちらを見て笑って見せる。それがまた俺をイラつかせる。
「というのも、このアカウント、初めは桜木ヒカルを肯定した発言をしているんだ。去年の段階だけどね。その一か月後に全く逆のことを言っている。おかしいな、と思って」
「わかりました。それで、犯人は誰なんだ?」
「八組の欅(けやき)理奈」
南条が携帯を見つめながら答える。
「八組」と俺。
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「その子、何か部活には入っている?」
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