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声を上げて行動しなければ何も始まらない 2
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俺は何も考えずに走っていた。
八組は校舎が違うから少し遠い。少し運動不足気味なのがたたって息が切れる。
走っている間、誰かに話しかけられた。
「あ、日向君」
聞きなれたか細い、高い声。俺が今一番会いたくない相手。俺は振り返る。
「あ、ああ」
鈴木が立っていた。いつものように。背が低いからどうしても俺を見ると上目遣いになってしまう。穏やかな、いつもの鈴木だ。
「どこ行くの?」
「ちょっと、先生に頼まれて……」
「なんか用事?今、まだ部活に誰もいなくて、」
「うん、幼児はすぐ終わるから先、行ってて」
俺は全速力で走った。別校舎に入り、八組に入る。教室には五、六人の男子が集まって何かを話していた。
「ごめん、いま、欅っている?」
息も切れ切れに俺は大きな声を出した。
「欅?帰ったんじゃない?」
灰色のリュックを背負った一人の男子がのんびり言う。
「俺たちしかいないけど」
「わかった」
まだ呼吸が整わない。
「ありがとう」
予想通り欅はいなかった。俺は南条と中谷さんのところへ戻った。
「私と理奈は同じ中学で」
南条は話し始めた。
「私も理奈も桜木ヒカル先生のことを入学前からご存知でした。すごいと思っていました、純粋に。私も理奈も読書が好きでした。たまたま同じ作家さんたちを好きだったことから、仲良くなったんです。私は去年、理奈に相談して読んだ本を記録できるように読書用アカウントを作ったんです」
南条はそこで一度言葉を区切り、俺と中谷さんを見た。俺は南条を真直ぐ見ていて、中谷さんは腕を生みながら目をつぶっていた。
「中学の頃からちょくちょく本を読んできました.。高校でも本を読んで過ごすつもりでした。でも、同時に憧れだったチアリーディング部にも入りたくて。入ったもののその練習が思ったよりもきついもので、なかなか読書ができなくなっていました。そのため、このアカウントは放ったらかしになってしまったんです。最後に私は発言したのは四カ月以上前だと思います。そこからこのアカウントを見ることさえしなくなっていて……今日見たらこんなことになっていました」
「完全に乗っ取られているねえ」
中谷さんは目をつぶりながら言う。
「その読書アカウントを知っているのが欅ってことか?」
「はい、このアカウントをリアルで知っているのは理奈だけです。だから、信じたくないけど、理奈かなって」
「へええ、俺以外にも乗っ取れるやつがいたんだ」
中谷さんは怖いことを普通に言う。
「中谷さんのすごさは置いておいて、欅が犯人っていう確証はあるのか?」
「確証も何も、本人が校舎内にいる写真がアップされているんだから、間違いなくここの高校に出入りしている人に限られるよね」
冷静に中谷さんが言う。
「もう一回このアカウントを見させてほしい」
俺たちは中谷さんのPCを使って(光の速さで中谷さんはそれを出した)もう一度検証した。光の画像は確かに校舎内で写されていた。階段の手すりと壁の色がここの校舎と同じ色だったからだ。
「これでこの高校に関係ない人は除外できる」
「欅以外にこのアカウントを知っている奴は本当にいないのか?」
「いないと思いますけど、正直わからないです」
「このアカウントを実際にフォローしている人数は三十五人だ。俺がいちいち調べてもいいけど、正直言って面倒」
「真正面から欅に聞く方が効率的、ってことか」
「ま、そゆこと」
「それ、わかってて今までのこと、俺に言わなかったんですよね、先輩?」
「先輩?」
と南条が不思議そうに言った。
「あ、中谷さんは三年生だから」
中谷さんは見た目だけで言えばまるきり中学生だから、南条が勘違いするのも無理はない。
「まあね、僕、先輩だから。君らより」
「えええっ、そうだったんですね、ごめんなさい、私、てっきり……」
「その話は、置いといて」
語気を強め、半ば強引に中谷さんが話を戻した。
「明日、その欅さんに話をしに行こう。作戦を立てる。南条さんも明日来てくれないか?」
「良いですけど、部活があるので……今ももう遅刻していますし、昼休みじゃだめですか?」
「俺はいつでも」
と中谷さん。
「俺もその方が都合がいい」
鈴木にばれる心配が少ないので、その方が好都合だ。
「明日の昼休み、話したいことがあると欅に連絡しておいてくれ、南条」
俺は南条に頭を下げる。
「疑って悪かった」
「いえいえ」
南条も首を振る。
「私もこんなことになっているなんて思ってもいなかったので」
「すまない」
「……日向? 中谷さん?」
後ろから声がした。これも聞き覚えのある声だ。よく通る爽やかな声。
「生徒会の仕事は終わったのか?」
俺はゆっくり振り返った。
八組は校舎が違うから少し遠い。少し運動不足気味なのがたたって息が切れる。
走っている間、誰かに話しかけられた。
「あ、日向君」
聞きなれたか細い、高い声。俺が今一番会いたくない相手。俺は振り返る。
「あ、ああ」
鈴木が立っていた。いつものように。背が低いからどうしても俺を見ると上目遣いになってしまう。穏やかな、いつもの鈴木だ。
「どこ行くの?」
「ちょっと、先生に頼まれて……」
「なんか用事?今、まだ部活に誰もいなくて、」
「うん、幼児はすぐ終わるから先、行ってて」
俺は全速力で走った。別校舎に入り、八組に入る。教室には五、六人の男子が集まって何かを話していた。
「ごめん、いま、欅っている?」
息も切れ切れに俺は大きな声を出した。
「欅?帰ったんじゃない?」
灰色のリュックを背負った一人の男子がのんびり言う。
「俺たちしかいないけど」
「わかった」
まだ呼吸が整わない。
「ありがとう」
予想通り欅はいなかった。俺は南条と中谷さんのところへ戻った。
「私と理奈は同じ中学で」
南条は話し始めた。
「私も理奈も桜木ヒカル先生のことを入学前からご存知でした。すごいと思っていました、純粋に。私も理奈も読書が好きでした。たまたま同じ作家さんたちを好きだったことから、仲良くなったんです。私は去年、理奈に相談して読んだ本を記録できるように読書用アカウントを作ったんです」
南条はそこで一度言葉を区切り、俺と中谷さんを見た。俺は南条を真直ぐ見ていて、中谷さんは腕を生みながら目をつぶっていた。
「中学の頃からちょくちょく本を読んできました.。高校でも本を読んで過ごすつもりでした。でも、同時に憧れだったチアリーディング部にも入りたくて。入ったもののその練習が思ったよりもきついもので、なかなか読書ができなくなっていました。そのため、このアカウントは放ったらかしになってしまったんです。最後に私は発言したのは四カ月以上前だと思います。そこからこのアカウントを見ることさえしなくなっていて……今日見たらこんなことになっていました」
「完全に乗っ取られているねえ」
中谷さんは目をつぶりながら言う。
「その読書アカウントを知っているのが欅ってことか?」
「はい、このアカウントをリアルで知っているのは理奈だけです。だから、信じたくないけど、理奈かなって」
「へええ、俺以外にも乗っ取れるやつがいたんだ」
中谷さんは怖いことを普通に言う。
「中谷さんのすごさは置いておいて、欅が犯人っていう確証はあるのか?」
「確証も何も、本人が校舎内にいる写真がアップされているんだから、間違いなくここの高校に出入りしている人に限られるよね」
冷静に中谷さんが言う。
「もう一回このアカウントを見させてほしい」
俺たちは中谷さんのPCを使って(光の速さで中谷さんはそれを出した)もう一度検証した。光の画像は確かに校舎内で写されていた。階段の手すりと壁の色がここの校舎と同じ色だったからだ。
「これでこの高校に関係ない人は除外できる」
「欅以外にこのアカウントを知っている奴は本当にいないのか?」
「いないと思いますけど、正直わからないです」
「このアカウントを実際にフォローしている人数は三十五人だ。俺がいちいち調べてもいいけど、正直言って面倒」
「真正面から欅に聞く方が効率的、ってことか」
「ま、そゆこと」
「それ、わかってて今までのこと、俺に言わなかったんですよね、先輩?」
「先輩?」
と南条が不思議そうに言った。
「あ、中谷さんは三年生だから」
中谷さんは見た目だけで言えばまるきり中学生だから、南条が勘違いするのも無理はない。
「まあね、僕、先輩だから。君らより」
「えええっ、そうだったんですね、ごめんなさい、私、てっきり……」
「その話は、置いといて」
語気を強め、半ば強引に中谷さんが話を戻した。
「明日、その欅さんに話をしに行こう。作戦を立てる。南条さんも明日来てくれないか?」
「良いですけど、部活があるので……今ももう遅刻していますし、昼休みじゃだめですか?」
「俺はいつでも」
と中谷さん。
「俺もその方が都合がいい」
鈴木にばれる心配が少ないので、その方が好都合だ。
「明日の昼休み、話したいことがあると欅に連絡しておいてくれ、南条」
俺は南条に頭を下げる。
「疑って悪かった」
「いえいえ」
南条も首を振る。
「私もこんなことになっているなんて思ってもいなかったので」
「すまない」
「……日向? 中谷さん?」
後ろから声がした。これも聞き覚えのある声だ。よく通る爽やかな声。
「生徒会の仕事は終わったのか?」
俺はゆっくり振り返った。
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