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何に於いても変わることは避けられない 2
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帰り道、俺は鈴木とどうしようか話し合った。
「結局、あとはお金だよね」
鈴木が身もふたもないことを言う。環境としては予備校も悪くないが、結局はそこだった。
「うん。でも、ここだけ見て決めるのは早急じゃないかな。他の予備校を見てもいいと思うし」
「予備校は高いからなあ」
鈴木が下を向きながら言う。
「そうだ、日向君の知り合いは? どんな人なの?」
「あ、実は……俺の彼女なんだ」
俺は意を決して、でも嫌味っぽく聞こえないように言った。鈴木が一瞬固まった。
「学祭の時に知り合ったんだ。彼女、すごい本を読むんだ。もしかしたら俺以上に読書家かもしれない」
「へえ?」
鈴木が笑う。でもなんか変だ。確かに俺は、鈴木は伊月のことが好きで、失恋を経験したことも知っている。鈴木には今、付き合っている異性がいないことも知っている。でも、鈴木が伊月は別れたことを知っているかどうかはわからない。
「俺の彼女、めちゃくちゃ頭いいみたいなんだ。俺も今日知ったんだけど」
あ、「俺の彼女」なんて言葉、嫌味っぽいだろうか、いや、そんなことはないよな、うん、でもヘンかな?いや、でももう行ってしまったことだしどうしようもないっていうか、
「あ、伊月は別れたらしいよ。知っていた?」
「あ、そう、なんだ」
鈴木が髪の毛を耳にかけて下を向いた。
「へえ」
会話が空虚だった。それ以降、鈴木は何を聞いても、何を言ってもどこか言葉に力が入っていないように感じた。俺はなんか変な空気にさせてしまったのかもしれない。それに、なんか気を使われているのも若干わかってしまうので、こちらとしても気まずい。
帰り道の会話では、歯車がどこかでずれてしまったように、なんとなくかみ合わなかった。空気を戻そうとあがけばあがくほど、二人とも無理をして精神的に共倒れしそうになっていった。お互いがお互いに傷つけ合い、疲弊しているようだった。その日はそのままお開きになった。俺は鈴木のことが気がかりなまま、帰路に着いた。
その夜、俺は鈴木に連絡を取ってみた。
【何か悩んでいることとかあるのか?あれば言ってほしい】
既読。
そのまま三分間、沈黙が続いた。
とても長い時間に感じられた。俺はその間に世界史のワークを開いていたが、人物名だけが目に入り、それが何をした人なのかはさっぱり頭に入ってこなかった。
【悩んでいるわけじゃないの】
鈴木から連絡が来た。俺は食い気味に携帯を覗く。
【ただ、誰かと共有したいの、私の気持ちを】
【共有できていないのか?】
【日向君はいろんな人と仲良くなれて、本の世界を通じてそうやって人と知り合えることができて、すごいと思う。私は孤独で、誰も捜索の苦しみなんかわかってくれないんじゃないかって思うことがある】
泣いているブタの絵文字が送られてくる。
【でも、お前のおかげで若狭も佐伯も俺も小説を書くようになったんだぞ】
と俺は返信する。
【鈴木が小説を書かなかったら、伊月が俺たちを誘わなかったら、今の俺たちは無かったと思う。それは鈴木が小説を書くということを行動に移したからできたことなんだ。だから、今の俺があるのは鈴木のおかげなんだ。前も言ったけど、俺は鈴木にすごい救われている。物語に救われることがあるんだ】
既読。
沈黙。
三分間それは続いた。
【小説の続きを思いついたから、今、電話しないか?】
思い切って声をかけてみる。と、すぐさま向こうから連絡が来た。
「ごめんね、突然連絡して」
鈴木のいつもの声だった。少し普段より早口だ。
「大丈夫、俺も連絡しようと思っていたし」
「ありがとう」
「俺の小説の話をしていいか?」
「どうぞ」
「『こめたろう』の続きなんだ。」
俺は語り始めた。
「結局、あとはお金だよね」
鈴木が身もふたもないことを言う。環境としては予備校も悪くないが、結局はそこだった。
「うん。でも、ここだけ見て決めるのは早急じゃないかな。他の予備校を見てもいいと思うし」
「予備校は高いからなあ」
鈴木が下を向きながら言う。
「そうだ、日向君の知り合いは? どんな人なの?」
「あ、実は……俺の彼女なんだ」
俺は意を決して、でも嫌味っぽく聞こえないように言った。鈴木が一瞬固まった。
「学祭の時に知り合ったんだ。彼女、すごい本を読むんだ。もしかしたら俺以上に読書家かもしれない」
「へえ?」
鈴木が笑う。でもなんか変だ。確かに俺は、鈴木は伊月のことが好きで、失恋を経験したことも知っている。鈴木には今、付き合っている異性がいないことも知っている。でも、鈴木が伊月は別れたことを知っているかどうかはわからない。
「俺の彼女、めちゃくちゃ頭いいみたいなんだ。俺も今日知ったんだけど」
あ、「俺の彼女」なんて言葉、嫌味っぽいだろうか、いや、そんなことはないよな、うん、でもヘンかな?いや、でももう行ってしまったことだしどうしようもないっていうか、
「あ、伊月は別れたらしいよ。知っていた?」
「あ、そう、なんだ」
鈴木が髪の毛を耳にかけて下を向いた。
「へえ」
会話が空虚だった。それ以降、鈴木は何を聞いても、何を言ってもどこか言葉に力が入っていないように感じた。俺はなんか変な空気にさせてしまったのかもしれない。それに、なんか気を使われているのも若干わかってしまうので、こちらとしても気まずい。
帰り道の会話では、歯車がどこかでずれてしまったように、なんとなくかみ合わなかった。空気を戻そうとあがけばあがくほど、二人とも無理をして精神的に共倒れしそうになっていった。お互いがお互いに傷つけ合い、疲弊しているようだった。その日はそのままお開きになった。俺は鈴木のことが気がかりなまま、帰路に着いた。
その夜、俺は鈴木に連絡を取ってみた。
【何か悩んでいることとかあるのか?あれば言ってほしい】
既読。
そのまま三分間、沈黙が続いた。
とても長い時間に感じられた。俺はその間に世界史のワークを開いていたが、人物名だけが目に入り、それが何をした人なのかはさっぱり頭に入ってこなかった。
【悩んでいるわけじゃないの】
鈴木から連絡が来た。俺は食い気味に携帯を覗く。
【ただ、誰かと共有したいの、私の気持ちを】
【共有できていないのか?】
【日向君はいろんな人と仲良くなれて、本の世界を通じてそうやって人と知り合えることができて、すごいと思う。私は孤独で、誰も捜索の苦しみなんかわかってくれないんじゃないかって思うことがある】
泣いているブタの絵文字が送られてくる。
【でも、お前のおかげで若狭も佐伯も俺も小説を書くようになったんだぞ】
と俺は返信する。
【鈴木が小説を書かなかったら、伊月が俺たちを誘わなかったら、今の俺たちは無かったと思う。それは鈴木が小説を書くということを行動に移したからできたことなんだ。だから、今の俺があるのは鈴木のおかげなんだ。前も言ったけど、俺は鈴木にすごい救われている。物語に救われることがあるんだ】
既読。
沈黙。
三分間それは続いた。
【小説の続きを思いついたから、今、電話しないか?】
思い切って声をかけてみる。と、すぐさま向こうから連絡が来た。
「ごめんね、突然連絡して」
鈴木のいつもの声だった。少し普段より早口だ。
「大丈夫、俺も連絡しようと思っていたし」
「ありがとう」
「俺の小説の話をしていいか?」
「どうぞ」
「『こめたろう』の続きなんだ。」
俺は語り始めた。
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