鬼の宴

さかばんばすぴす

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鬼の宴

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~●◯●~

「んで、ここに来たと。」

同意の意を示すために首を振る。

「なんか言いたいことはあるが、まあ、いいか。」

目の前にいる鬼....いや、人魂が本体らしいけど は、スピカというらしい。
色々なことを知ってたりするらしく、 困ったことがあったらここに行けばいいらしい。
…………そう説明された時のスピカは眉間にしわが あったが、気にしないでおこう。
ツギハギの体をしていて。左手に関しては浮いている。
うっそうとした森の中に建つこの屋敷に入る前に浮いた左手と人魂を見たときは
心臓が飛び出ると思った。
彼女は背もたれの長い椅子に座り、面倒くさそうに和綴じの本を置いた。

「で? 知りたいのは探し人?」

「あと、半対のことも、俺等ではどこまで話していいのか分からん。
 もちろん、お代ははらうぜ。」

それがふつうなんだよなあ、とあきれ顔で ライさんに言い、ため息をつきながら、 ボクの近くの一つの本を指す。

「?これ?」

「いや、その右、そう、それ。」

指示された本は、緑の表紙で、 達筆な文字で何かの題名らしきものが書いてある、ざらざらとした表面は、劣化してぼろぼろと少し崩れた。 それをスピカに渡すと
その中にあった二枚のしおりらしきものを取り出した。

「しょうがないから、どっちも教えてあげる。」

「?きょうは、随分あっけないな、」

いつも、どんだけしぶしぶなんだよ、 というか、よく粘れるな。
スピカはまあ、あいつのお気に入りがいるからな。と意味深なこと言いながら、
赤と黒の紙を私の前で浮かべ た。

「これは、相思札。同じ色の札は、同じ動きをする。」

藁人形が現れ、黄色の札をつけて、手に持ったもう一つの札を半分に折った。
すると、藁人形はお辞儀をするように身体をしならせた、
いや、変な角度で折れたというべきか。

「で、私は今、くるるにその札を付けた。」

つまり、札が破られたら、その人は死ぬと同レベルのダメージを受けるということ。
さらっとすごいこと言いながら、札を破る。
藁人形は粉々に砕けた。

「そこでだ、黒と赤。どちらか一つがくるるとつながっているこの札の、一つを、破れ。そうしたら、どっちも教えてやるよ。」

挑戦的な笑いとともにくるるへの死刑宣告が成された。

「おい!俺には…」

くるるの焦った声を制して、スピカが黄色の札をくるるの口元に貼った
途端、クルルの声が聞こえなくなる。

「さあどうする?生きるも、死ぬも、紙一重ってね?」

見えない足を組み直してさっきまで読んでいた本の頁を捲り、これ以上話すことはない、
と、暗黙的に言われた。

…さて、どうするか、
なんせ今のままだとただの二分の一の運任せの勝負だ。
この札について知っているかと、催促の目線を、ライさんに向けてみる。

「なにききてーんだよ…」

わかってくれて嬉しいよ、と悪い笑み。
それを遮って刹那が言う。

「一応ね、その札については、俺らは何も知らない。検知、は、できるけど、だいたいわかるだけだし、苦手だし…で、多分俺には出来ないかな。」

じゃあ、だめか、できそうだなって思ったけど。

「ちなみに、刹那と一緒で俺もわからんからな!けど、」

ライさんが流し目でスピカを見る。

「コイツが確率なんて面白くないことしないかな、」

スピカは、無言。

の、肯定かな?知らんけど。
となると、本棚に仕掛けがあるとか
見渡してみるが一面和綴じの本のみ。
何にもわからん。
あとは…外とか?
障子を開けてあけ…あけて…み
開かねえじゃねーか!!!

ドン!!!!

砂埃が舞う、
障子を持っていた手が、軽くなり、有り余った力に引っぱられ、コケる。

「い゛っだあ゛!!!」

畳が摩擦を帯びて、膝を攻撃する。
煙が、消えたとともに。

「おまえ!?障子壊しやがっ」

ライが駆け寄ってくる。
え?障子?ボクが壊した?
跡形がなくただの木片となった

「え~…怪力すぎない?」

若干引いている刹那。
鬼でも異様なくらいの怪力…半対ってこういうことか?
例えば…

「ライ…さん?」
「ん、ライでいいよ、何?」
「俺の能力?みたいなやつってって何?」

あの感じからすると、きっと各種族によって能力…みたいなやつが違うのだろう。
ライの左腕が証拠だ。

「…?っあーー半対の対の方だと思うが…」
「…何処まで言っていいのか分からないんだよな、あと、どこまでが本当かも分からない。」
「半対は、鬼と人のハーフってことなんだけど、お前らが明治のとき、この世界と、お前らの世界とで分割命令が起きた、そうやって、最近まで鬼と人が関わらなくなって、そこから、もう例はないんだよ」

わからない、ということか、
まあ、しゃーなし。

もし、あの、雪坊主で見れたのが、妖力を見つける能力ならば、
そうであれば、札も見れるはず…
ではあるが、能力ってどう使うんだ?

唱えたりするのかな…ええ…でも、違ったらただのイタイ奴だし…
そもそも、ライが唱えてないし。
うーーーーん…

考えていると、後ろから、肩を叩かれる、
えっ…くるる?うん?そ言われてみれば、いたな。
目を塞がれて、右手を掴まれて、自分の首を自分で掴む形になった。



刹那。
景色が変わる。

形容し難い、レントゲンのような景色に、ネオンの熱帯魚が泳いでいる。
前を見ると、いや、正式には’見’ていないのだが、
熱源のように、陽炎のように、めらめらと漂う’それ’は、
彼の中に、漂うそれは、

血液のような、朱だった。

「わかった?」

はっと、その声で目覚める。
スピカの声だった。

もう一度、目の前で止まった2つの札。

もし、いま、見たものが正解ならば。

「勿論」


黒の札を、

破った。







「正解。彼と結ばれていたのは赤い札だ。」

満足気に拍手をするスピカ。
ほっと息をつく。

「まさか、能力の使い方を知っているとは、さすがだね、」

くるるの口の黄色い札が剥がれる。
助かったと安堵するようにため息を彼は一つもらした。
能力発動の条件…わかんなかったし、くるるにやってもらった感じなんだけどいいのかな…
というか、なんで、くるる知ってんだよ、
説明求みたいな目で見てたら目あってたのにガン無視された。

じゃあ話すよと、もう一つの札を懐に入れながら話し始める。

「まずは半対について、半対は人間と鬼のハーフ、
 つまり、この世界でだけだけど、さっきのように、能力が使える。
 ほら、なんか、視えたでしょ、あれ。」

「君の能力はロレンチーニ器官。サメの弱電波を拾う感覚器官のことで、弱電波の代わりに妖力を拾える。」

ろれ…ロレン…知らないな、サメの器官なんか覚えてねーよ。
和綴じ本を開いて見せてくる。
そこには水墨画のさめ…いや、半人の魚がいた。

「君は鬼の種族で言うと人魚族、その中でも高等な鮫の一族だ。」
「特徴は耐久力。やばいほど硬いから半不死身とか言われてる。」

へえ~わかんねえ…でも、ならどうしてさっき障子粉砕できたんだ?
疑問を声に出す。スピカは、あー、と、少し悩みながら

「たぶん…憶測だけど、半対って鬼よりも強いんだよね。それの影響かも。」

あと、制御できてないとか。
すごいな、そー言われても実感ないけど。
自分の手を見る。
自分が何回も使って、見ているこの手が、途端に違う人の手に見えてきた。
親のどっちが鬼なのかだとか、ならどうやれば制御できるのかとか、
聞きたいことは色々あった、けど、

「えーと、あと一人の人間の居場所でしょ…私より半対に聞いたほうg…」

ゴトリ、鈍い音が反響する。
目の前にいた、スピカにあったはずの部位が、

…厳密に言えば、頭が、

畳に落ち、断面がこちらを向いた。

滲む鈍色、瞳は半開きのまま光を失い機能も停止していた。

目の前の現実に吐き気がする、
彼女の頭の所には、矢が、刺さっていた。

「…ッ、」

釘付けになった視界を強引に移動させ、弓が来た方を見る。

そこには、

くとが、弓を持ち、引いていた。

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