鬼の宴

さかばんばすぴす

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鬼の宴

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~○◉○~ Sideくるる

「み~いっけ!」

黒い物体は俺を見るやいなや、走り出してくる。
振りかざされた矢をすんでのところでかわした。

廊下を走り抜ける。
頭だけの幽霊を連れて。数百の横殴りの矢たちをぬけて、
…っておおいな!!
どれがあたってもいいのか、当たっちゃだめなのかが本当に分からない。
今のとこ、逃げそびれた矢が刺さらないとこからみて、普通の矢みたいだな。
ドキドキ弾幕ゲームだ。コンティニューできないけど。

「っ!なあ!幽霊!」
「厳密に言えば人魂じゃい!!なんだ!!」
「あの生き物知っているか?」

俺は知らない、と、暗黙に伝えながら飛んできた矢を薙ぎ払った。

「知ら…ない、けど、たぶん、君と私が知らないってことは…」
「新種…か?」

未確認の分類。
取り憑くということから発見は難しいと考えるのが妥当か?

「陰陽師、君が標的だ。つまり、あいつは君を人と認識している。」

息を切らし薄暗い一室で息を殺す俺の隣で的にさえなっていない顔だけの人魂が喋った。

「それか私が弱そうに見えるか。」

「…まあ、戦力にも数えられていないぐらいだからな。」

ずっと俺にヘイトが向いている…少し可哀想な気がしてきた。
取り憑くという性質上健康体に取り憑きたいのだろう。
…それか…………いや、そんなわけないよな…

「嫌な予感。」

同感だ、でも予感もクソもなくこのままだと死ぬけどな。

打開策は。

廊下の直線状に見えないほどの距離を置いたところで、一室の隅に隠れて休憩する。
 
「人魂の方はなんかできるか?」
「え…まあ、家潰すぐらいなら。」

スケールでけえよ。

「それは置いといて…少しヘイトを集めてくれたら、あいつの動きを止められる。」
「具体的に、」
「…私の体がさっきのところにあるでしょ?それで札を一発入れる。」

端的だな。まあ、いいけど。
屋敷の作り的に円形状の廊下があるだけだ。
…そう考えると一つ一つの部屋小さいな、
これ、隠し部屋あんぞ。
まあ、そんな事はいいとして、きっともう少しすればたどり着くはずだ。

「時間止めている時に俺が処理すればいいんだな。」

了解、と言いながら意を決して廊下へ出た。

ぎょろりと、焦点の合っていない目が、こちらを視認した。

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