鬼の宴

さかばんばすぴす

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鬼の宴

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~●〇●~
なりそこない、それは、仏の堕とし物。
天にて仏に見放された者のなれの果て。
妖とは従来感情から生まれるものであり、体の作り的には鬼に近い。
しかし、なりそこないは珍しいことに仏に近い妖だ。
鬼は、仏に手を出せない。
仏は、妖に手を出せない。
その両方の力を持ち合わせるなりそこないは、どちらからも手を出せない

『…まアそんな彼らも、鬼や仏には手を出せないからね、本当は。』
「今回に限っては、幸福に幸福が重なった感じか…」

ライが苦虫を嚙み潰したような顔で言う。
体を乗っ取れる能力、向陽ノ弓、そして、人間の登場。
それらすべてがなくてはならない大切なピースで、
すべてを集める想定はしていないものだ。

『人間は、ある程度の人間は無力で、それに対抗する手段がない、
しかし、ごく一部の人間は、祓うことができ、仏であろうが妖であろうが手を出せる』

「その人間を日向弓で捕まえて、体を乗っ取り、自分は鬼を殺せるようになる。」

最悪の手順を、総まとめで刹那が指おり話す。

「お前は、とりつくことができなかったのだろうな。」

ライの言葉に納得する。
鬼の血が入っているということが何かに関与しているのだろう。

「こーゆー風に仏様の加護があるからこっちもうまく使えなかったんだろうね、」

ひりひりしているであろう頬をさすりながら刹那は言った。
そうだろうな、それで、より無防備なくるるを、

『ちなみに、一番やばいのが、今日がその決行日ってこと』
「?なんで…って。あ、」

…そうだ、一年に一度のお祭り、鬼の宴、鬼は、密集したあの場所に集まっている。
大量殺戮にはもってこいのロケーションだ。

「っはやく行こう!!」

自分が言う前に刹那がせかしてくる。

「ちょっと待て、どこに行くんだよ、」
「そりゃあ、もちろん会場に!」
「何にも持ってないし、すべもない、もうちょっと考えて動け!!」

冷静さを少し取り戻した刹那は、小さく深呼吸してから。

「すべって行っても、何をすればいいのか…勝ち目がないでしょ、ぼくたちに、」
『…一応、ある。』

鬼火は持ち主の声と共鳴するように、不安に揺れていた。

『そうあい札、それがくるる…さんの中にまだある。
それを使えば、祓えるかもしれない。』

赤色に染まる札が、自分の前に出てくる。

「これを、ボクが?」
「現状一番有利なのは君だしね。あと、札の力は使用者に依存する、人間と鬼、二つの力を持つ君が一番いいでしょうね。」

『いわゆるカウンターだよ、切りかかってきたらこれを破らせろ。』

意を決して、深く頷き、札を手にした。
切り札が手の中にあると考えると少し緊張で震える。
…倒し方はあることを知った。
あとは…

パァン

夜の中に、光が差す。
一輪の花が夜空を彩った。

祭りの最期を占める花。
何百と跳ねる炎色反応。
最高に、みんなの視線が、集まる催し。

「やばっ!もう戌の刻!」

刹那が焦るように言う。そうだ!花火だ!
自分だったら、いま、行動を起こす。
視線が集まり、発火物がどこにあるのかが分かり、
一番のトラウマを与えられる時間。

「場所を考えている暇はなかったか…とりあえず避難喚起を急ぐぞ!」
『中央の実行委員にも言っておくが、あまり期待しないでくれ、』

考えている暇などない、今は、少しでも被害が少ないように祈るだけだ。
大輪の火花の方向に、夏の虫のように、飛び込んだ。

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