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第一章 赤色の追憶
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~❀☆❀~sideライ
きっと、あれは、運命だったのだろう。
「まぁた出禁かよぉ…」
小金持ちから金をあらかた巻き上げて、カジノ出禁を食らった帰り道、
じめじめしたレンガを歩いてゆく、
産業革命が最初に始まったこの場所は、
どうにも排煙と汚水のせいで人間が生きていくような場所ではない。
次はこの国以外に言ってもいいかもしれない、
貨物船に忍び込んで数日間船の中で逃走生活も面白そうだ。
自分の顔を模したちっとも似ていない張り紙の懸賞金部分に赤マーカーで
『もう少し値を上げて♡』と落書きする。
数日風雨にさらされたポスターは赤が滲み書きにくい。
「なぁ小僧、何をしているんだ?」
後ろから声がかかる。
違う、後ろじゃない。
二つ…いや、一つ先の路地、
続いて複数の殴る音、
路地裏の三下が坊主にカツアゲをしているのだろう、
通常運転の街に、スルーをしようとする。
でも、違和感があった。
ものの刹那で、その声がなくなったのだ。
君子危うきに近寄らず、これを守るのが、一番なのだろう。
いつもならそうするつもりだった。
いつもなら。
少し、湿っていて、小雨が降って、
肌寒いのに傘を差さないこちらの紳士共に飽き飽きしていて
通常に、異常を求めてしまった。だから。
…そこには、血まみれの不良とそれ以上に赤に染まった我を忘れた狼が、倒れていて、
狼の髪には、見たこともない美しい花が咲いていた。
忘恩{ぼうおん} 恩を忘れること、恩知らず。
きっと、あれは、運命だったのだろう。
「まぁた出禁かよぉ…」
小金持ちから金をあらかた巻き上げて、カジノ出禁を食らった帰り道、
じめじめしたレンガを歩いてゆく、
産業革命が最初に始まったこの場所は、
どうにも排煙と汚水のせいで人間が生きていくような場所ではない。
次はこの国以外に言ってもいいかもしれない、
貨物船に忍び込んで数日間船の中で逃走生活も面白そうだ。
自分の顔を模したちっとも似ていない張り紙の懸賞金部分に赤マーカーで
『もう少し値を上げて♡』と落書きする。
数日風雨にさらされたポスターは赤が滲み書きにくい。
「なぁ小僧、何をしているんだ?」
後ろから声がかかる。
違う、後ろじゃない。
二つ…いや、一つ先の路地、
続いて複数の殴る音、
路地裏の三下が坊主にカツアゲをしているのだろう、
通常運転の街に、スルーをしようとする。
でも、違和感があった。
ものの刹那で、その声がなくなったのだ。
君子危うきに近寄らず、これを守るのが、一番なのだろう。
いつもならそうするつもりだった。
いつもなら。
少し、湿っていて、小雨が降って、
肌寒いのに傘を差さないこちらの紳士共に飽き飽きしていて
通常に、異常を求めてしまった。だから。
…そこには、血まみれの不良とそれ以上に赤に染まった我を忘れた狼が、倒れていて、
狼の髪には、見たこともない美しい花が咲いていた。
忘恩{ぼうおん} 恩を忘れること、恩知らず。
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