Tril"if"e

さかばんばすぴす

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第一章 赤色の追憶

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side くと

刹那、とは、仏教の言葉らしい。
元々はサンスクリット語と言われる、この国とは違う言葉を無理やり漢字にしたもの。

刹那の長さは多くの見解があって、指を弾く間が65刹那とか、
それと同じようなきわめて短い時間である“念”は60か90刹那。
現代的には、1/75秒が1刹那である。とか。

そんないろいろな解釈に、通じていえるのは。
人間の“認識領域”を超えた時という事。
そして、その名を冠した彼は、目の前を走っていた彼は。

それを体現するかのように、自分も、それ以外の周りの人間もの認識領域を超えて、


数十メートル先のライを弾き飛ばした。

数秒の間が空き。同時に。刹那のマフラーの鈴が鳴った。

「っっぇえ?!刹那?」

困惑の声を私は挙げる。

え?そんな早かったっけ?火事場の馬鹿力ってやつ?
いや、火事じゃないけど。元火事場だけどね。

「おい!くと!」

混乱する私に、なぜか落ち着いているライが声をかける。

「銃弾が飛んできた場所を見つけろ!」
「わかっt…「ライの今の場所から6時の方向!」ちょ、きのすけ!」

私が調べようとしたことを瞬時に言いながら、きのすけはその方向に走ってゆく。

「っち、おい!きのすけ!俺らが分かってんのばれるだろ!」
「多分もう聞こえてないぞ。あれ。」

くるるはスコープで敵の位置のリアルタイムを確認しながらつぶやく。

「ああ!もう、あいつは…って!あぶっねぇ!」

二発目の銃弾をちゃんと回避して、ってまあ、ライの上にいた力尽きた刹那は無事ではない程度に土にたたきつけられたけど。

「っいってえ!!おい!ライ!命の恩人にどんな態度だよ!」
「いや、あの角度からだったらギリ致命傷で済んだからお前は必要なかった。」
「しんでんじゃねーか!」

思考モードのライに、また銃弾が飛んでくる。

その殺意は、ライには、届かない。

「まあ、そんなジョークはやめにして、もし、俺が死にそうになっても。」
「こうやって防いでくれるだろ?」

殺意は鉄塊となって、地に落ちる。
落とした犯人の刹那は、不機嫌そうに眉間にしわを寄せて肯定の沈黙を作った。

「よし!くとはくるるのナビゲートできのすけと挟み撃ちで助けろ!もちろん敵をな。」

うん、あの感じ殺しそうだしね…さすがに国外で…殺人は…国際問題まっしぐらだし…

「おけ!」
「くるるは、あそこに敵が来るようにしろ!」
「…まじか、やるの?」

ライの差し示した方向は、丁度韋駄天宗教の本拠地の後ろ。
狙撃手が、狙撃できないようにするには。

簡単なことだ。自分たちを見えなくすればよい。

「まあ、ここの神様の了解が取れたら…ねえ?」

にやりとライは、刹那の方に向く。
刹那も、楽しそうに、にやりと笑った。

「残念ながら僕は神様じゃあない、只の人だ。」
「だから?」
「…だから、もちろん、崇め奉る場所なんて、あったら罰当たりだよね?」

その答えを聞くと、満足げにライは指示を出す。

「いまあそこには人もいない、神もいない、そして…神だった人もいない。」
「空き家に火の不始末を押し付けに行くぞ。」

精度の堕ちた銃弾が着弾すると同時に。私たちは行動を開始する。

12年ぶりの赤い花が、咲く時が来た。

ー裏話ー
さあて!前回で一番書きたかったところが終わってモチベーションがクソだゾ☆
大体あと3話ぐらいで締めたいです。
そういえば過去を想起してみますと、鬼灯葉月というゴロの悪い名前ではなく、
最初期は葉月真(ハヅキマコト)という名前にするつもりだったそうです。もう遅い。
…くっ…もしかしたら変わっている…かも。
あと花陽で”かよう”って言います。まあ、”かよ”でも”はなよう”でも何でもいいけど。
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