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第一章 赤色の追憶

（４）

～❀☆❀～side　ライ

その話を聞いたのは、くとからだった。

「スピカによると、船に乗ったのは違う人で、花陽は庇われて、逃げているらしいよ。」

殴り書き（それにしては綺麗）を手から奪い。目を通す。
住所は、ここから乗り継いで２日から３日というぐらいか。

彼女が俺に言ったということは。きっと、刹那にプラスな話ではない。

「もう、死んでるのか？」
「うん…不治の病。肺炎っていうんだけどね。」

住所を見る。
いや、住所っていうか、コレは、多分集団墓地だ。
…言った方がいいのか、悩んでいるのだろう。
こちらが奪った紙を奪い返しに来ない。

あいつが、もし、この場所に行ったとしても、出会えるのは魂じゃなくてガワの骸だけだ。
それでも、きっと、彼ならば。こういうのだろう。

「行くとするか…ここ、個人で来るには出費痛いし。このくらいなら許されるよなあ？」

知らないで楽しく生きるより、知って苦しくとも、それを背負い生きてゆきたい。
どんなにフラッシュバックに苦しめられて。
夢で彼女が自分を攻め立てて。
舌を嚙みちぎり、首を絞めてズタズタになろうとも。

もう、忘れたくはないから。

数十回に及ぶ汽車の乗り換えをやっているうちに楽しくなったくるるによる適切なナビゲートにより、順調におれたちはその地へと赴いた。