Tril"if"e

さかばんばすぴす

文字の大きさ
30 / 35
第一章 赤色の追憶

(6)

しおりを挟む
~❀☆❀~side 刹那
「…っぶっはっはっはあぁあはっは!!!!」
「もう笑うな!!!クソ野郎!!!」
「だって…あそこまでいって…ひと…ちがいっっ…」

帰りの船で掘り返される旅の思い出は、大半がこれだった。
そして、ライがつぼりまくる。うるせえよ!

「まぁ…あの人違いということでも分かったのは確かだし。」

行ってよかったんじゃね?
金平糖を一粒かみつぶしながら、きのすけはテキトーにフォローしやがった。

「問題は刹那があった花陽はどこにいるかなんだよねえ…」

くとが不思議そうに尋ねた。

「いや、それは多分。」
『船に乗った生贄の方の花陽。』

僕と、ライと、くるるの声が重なる。
話を聞く限りではあるが。少しながら確信もあった。
もし、生贄を交換するのであれば、
その真実を知っている人は限られる。
お偉いさんと、生贄と花陽。
きっとその数人で話すだろう。
そこで、悲しみに暮れるとしたら。
庇った者と、庇われた者だ。
そして花陽はいないので。自ずと庇った方がということになるだろう。

「船は違法渡航だとすると記録が残っていない、そうなると出会える可能性はゼロに近しいのは変わりがないが。」
「しかも生きているという根拠もない。どうしてわざわざその人にしたのかという特異性がある限り、たぶんそれ相応の待遇は受けているはずだけど。替え玉がばれちゃあ即死亡だと思うしな。」

くるるとライの冷静な分析に、必死に思い出す。
何か言ってなかっただろうか?新しく鮮明に思い出した昔の会話思い出す。
…いや、わからない。

でも。

「きっと会えるよ。」

そんな気がした。
根拠もない、ヒントもない。理解できないその勘が、
出会いは有ると叫んでいた。

自分の日本刀に触る。
この刀はずっと愛用しているものだ。
それと交差させるように新しい日本刀がつるされている。
花陽と、その替え玉には面識があったようで、逃げる時、服をすべて交換したようだった。
つまり、その日本刀は、僕の出会った花陽の使っていた日本刀。
他の刃よりも薄く。脆く。切れ味に特化したその刃は、無名の作家が作ったものだった。

彫られていた、その刃には一言…
『流転輪廻のその先にて』
と、彫られていた。

ー裏話ー
入れようとした刹那が思い出した花陽との記憶

黒色の素早いあいつを平気でつかんで見せびらかした後。
水没させて水攻めだときゃっきゃしてたことだ。

そうです、花陽、ソイツです。
モデルの答え合わせは俺のラインにでもどうぞ。
マジで伏線張り忘れが多くて萎える。
過去に戻りたい。
日本刀の名前は『言葉之剣』(ことはのつるぎ)
音(言葉)よりも速いスピードで切り裂くことからつけられたとか…
言葉は刃にもなるが、闇を切り裂き誰かを守ることもできます。
いろいろ言いたいことがあるので続きはエピローグの後で。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私は逃げ出すことにした

頭フェアリータイプ
ファンタジー
天涯孤独の身の上の少女は嫌いな男から逃げ出した。

政略結婚の意味、理解してますか。

章槻雅希
ファンタジー
エスタファドル伯爵家の令嬢マグノリアは王命でオルガサン侯爵家嫡男ペルデルと結婚する。ダメな貴族の見本のようなオルガサン侯爵家立て直しが表向きの理由である。しかし、命を下した国王の狙いはオルガサン家の取り潰しだった。 マグノリアは仄かな恋心を封印し、政略結婚をする。裏のある結婚生活に楽しみを見出しながら。 全21話完結・予約投稿済み。 『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『pixiv』・自サイトに重複投稿。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?

行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。 貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。 元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。 これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。 ※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑) ※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。 ※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...