Tril"if"e

第一章 赤色の追憶

プロローグ 黄色は知らない。

～☆○☆～sideライ
時間を確認し、席を外す。
船の中にある通信室のお偉いさんが使う盗聴防止機能満載の電話を（無断で）借りた。

『はいはい、ったく。マジで人使い荒い。』

電話越しに声が聞こえる。相手はスピカ。

「まあ、許してって。お願いされてた大量の本は大半集めたんだから。」
『え？まじ？そんなに集まるとは思ってなかった…』

お願いと言われ、言論の自由を尊重する東方の国でしか販売されてなかったりする。
強い思想本やらを（密）輸入手続きを終えたので、それ相応の対価を求めようじゃないか。

「んで？分かった？刹那の想い人…もとおい花陽の替え玉は。」
『まかせろ。丁度私の腐れ縁がその国の偉いやつなんだよ。』

腐れ縁…ああ、いつも文通している相手かな。

『花陽っていう文字の反対、みたいな。たぶんこれ――だと思うんだけど。』
名前は…

そのあとに続いた言葉は、俺の知っている。いや、知りすぎている人物だった。

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