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青空の下で出会う鳥
青空の下で出会う鳥 1
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青空の下で出会う鳥 1
目が覚めると外から優しく柔らかな朝日が
部屋に降り注いでいた。
窓から覗く空は青く絶好の洗濯日和で、散歩日和である。
「夢…じゃないよね。あれは」
私はゆっくりと体を起こし思いっきり腕と肩を伸ばし
頭を覚醒させる。
(あの“管理人”って一体何者なんだろう…?
神様っぽいけど、神様って名乗ってないし)
まぁ仮に神様であったとして、自ら神様って名乗るのも
ちょっとおかしいよね?…多分。
“管理人”のことを考えているとドアの向こうから声が聞こえてきた。
「ソール。起きているか?」
父が私を起こしに来たようだ。
「うん、今起きたよ!」
「そうか…今日は起きれのだな」
「う、うん」
記憶を戻す前の私は朝弱かったようだ。
「朝ごはんができているから来なさい」
「はぁい」
私は部屋のドアを開け父の背中を追いかけた。
ダイニングに向かうと大木で作られたテーブルの上には
バゲットに良く似たパンと目玉焼き、野菜の入ったスープが
準備されていた。
「さ、冷めないうちに食べなさい」
「いただきます」
私は父と向かい合うように座り朝食を食べ始めた。
「美味しいか?」
「うん!とっても美味しいよ」
そう、父の作る料理はとても美味しい。
目玉焼きは絶妙な半熟でナイフで突くと卵黄がとろりと溢れ出し、
スープも野菜の旨味と優しい味がもう最高。
前世では薄味の病院食ばかりだったから色んな味を楽しめるって
とても新鮮。
「それはよかった」
「私もお父さんみたいに料理上手になれるかな?」
「あぁ、なれるさ」
「だといいなぁ!」
父は私を見て口角を上げている。
父のそんな顔を見て私も嬉しくなった。
親子との食事ってこんなにも楽しいものだったとは…。
父と2人、穏やかで楽しい朝食を私は堪能した。
一緒に後片付けをしていると父が話を切り出してきた。
「ソール、今日は辺境伯…領主様のところに行って来るから帰りは昨日と同じ位に
なると思う。留守番を頼む」
「うん、分かった」
「…くれぐれも昨日の様に外で寝るようなことはしないようにな?」
「う、うん」
父は昨日のことを釘を刺してきた。
確かに、幼女が1人外で爆睡してしていたら危ないよね。
いくら田舎とはいえど…。
でも気持ち良かったですからまたやりたいというのは内緒である。
「そうだった。ソール」
「なぁに?」
父が私に紙袋を渡してきた
「これは?」
「今日はコレットさんが来てくれる日だろ?これを渡しておいてくれないか」
(コレットさんって…誰だ?どうしよう聞いた方がいいかな?)
「えっと…」
「どうした?ソール、コレットさんはいつも家のことを手伝ってくれるから
そのお礼でこれを渡していて欲しいんだ。できるか?」
コレットさんが誰なのか分からずにいたら説明してくれた。
ありがとう!父!!
家のことを手伝って下さる方なのね!!
「うん!できるよ」
「そうか、頼むな」
父がそう言うと私の頭を優しく撫でてくれた。
その手は大きくて温かかった。
片付けが終わると父は仕事へ出掛けるべく玄関へ向かった。
「行って来る」
「行ってらっしゃい!」
私は父を見送った。
玄関のドアが閉まり鍵をかける音がした。
父が出て行った家は一瞬にして静寂の支配が始まった。
「…なんかちょっと寂しいな」
そう思ったのも、内緒である。
自分の部屋に戻った私は父が揃えてくれた本を持ち出し
リビングで読むことにした。
異世界の文字なのに読めるのはきっと前世を思い出す前の
“私“が覚えてくれたからだろう。
すると玄関のドアをノックする音が聞こえたかと思うと
ドアがバンッと勢いよく開かれた。
あれ?鍵が掛かっているはずなのだが…?
「ソールちゃん!!いるかい?」
そこには恰幅の良い絵に描いたような肝っ玉母ちゃんのような
女性が入ってきた。かと思ったらニコニコと笑顔を浮かべ私の方向かってきた。
「おはようソールちゃん!元気かい?」
「お、おはようございます!」
大きな声で挨拶されてちょっとびっくりして挨拶が吃ってしまった。
「元気にご挨拶できて偉いわね~」
「あ…ありがとうございます」
「さて、今日も張り切って掃除と洗濯しましょうね」
この人が“コレットさん“なのかな?
確証がないからちょっと怖いけど…。
一か八か、私は父から預かった紙袋を差し出した。
「あ、あのコレットさん!」
「どうしたんだい?」
よかった、この人がコレットさんだった!!
「これ、お父さんがコレットさんにって。
いつもお手伝いして貰っているからって渡して欲しって言われたの」
「も~バンブさんったらいいって言ってるのに~。
でも、ソールちゃんから渡されちゃったら受け取るしかないわね~」
そう言うとコレットさんは紙袋を受け取った。
父がお礼をしたのだ、私も何か出来ないだろうか?
「あの、コレットさん」
「なんだい?」
「私、お手伝いします!」
「そうかい?それは助かるねぇ~じゃあまずは一緒に家をお掃除
しようかね!!」
「はい!」
私はコレットさんと一緒に家の掃除を始めるのだった。
目が覚めると外から優しく柔らかな朝日が
部屋に降り注いでいた。
窓から覗く空は青く絶好の洗濯日和で、散歩日和である。
「夢…じゃないよね。あれは」
私はゆっくりと体を起こし思いっきり腕と肩を伸ばし
頭を覚醒させる。
(あの“管理人”って一体何者なんだろう…?
神様っぽいけど、神様って名乗ってないし)
まぁ仮に神様であったとして、自ら神様って名乗るのも
ちょっとおかしいよね?…多分。
“管理人”のことを考えているとドアの向こうから声が聞こえてきた。
「ソール。起きているか?」
父が私を起こしに来たようだ。
「うん、今起きたよ!」
「そうか…今日は起きれのだな」
「う、うん」
記憶を戻す前の私は朝弱かったようだ。
「朝ごはんができているから来なさい」
「はぁい」
私は部屋のドアを開け父の背中を追いかけた。
ダイニングに向かうと大木で作られたテーブルの上には
バゲットに良く似たパンと目玉焼き、野菜の入ったスープが
準備されていた。
「さ、冷めないうちに食べなさい」
「いただきます」
私は父と向かい合うように座り朝食を食べ始めた。
「美味しいか?」
「うん!とっても美味しいよ」
そう、父の作る料理はとても美味しい。
目玉焼きは絶妙な半熟でナイフで突くと卵黄がとろりと溢れ出し、
スープも野菜の旨味と優しい味がもう最高。
前世では薄味の病院食ばかりだったから色んな味を楽しめるって
とても新鮮。
「それはよかった」
「私もお父さんみたいに料理上手になれるかな?」
「あぁ、なれるさ」
「だといいなぁ!」
父は私を見て口角を上げている。
父のそんな顔を見て私も嬉しくなった。
親子との食事ってこんなにも楽しいものだったとは…。
父と2人、穏やかで楽しい朝食を私は堪能した。
一緒に後片付けをしていると父が話を切り出してきた。
「ソール、今日は辺境伯…領主様のところに行って来るから帰りは昨日と同じ位に
なると思う。留守番を頼む」
「うん、分かった」
「…くれぐれも昨日の様に外で寝るようなことはしないようにな?」
「う、うん」
父は昨日のことを釘を刺してきた。
確かに、幼女が1人外で爆睡してしていたら危ないよね。
いくら田舎とはいえど…。
でも気持ち良かったですからまたやりたいというのは内緒である。
「そうだった。ソール」
「なぁに?」
父が私に紙袋を渡してきた
「これは?」
「今日はコレットさんが来てくれる日だろ?これを渡しておいてくれないか」
(コレットさんって…誰だ?どうしよう聞いた方がいいかな?)
「えっと…」
「どうした?ソール、コレットさんはいつも家のことを手伝ってくれるから
そのお礼でこれを渡していて欲しいんだ。できるか?」
コレットさんが誰なのか分からずにいたら説明してくれた。
ありがとう!父!!
家のことを手伝って下さる方なのね!!
「うん!できるよ」
「そうか、頼むな」
父がそう言うと私の頭を優しく撫でてくれた。
その手は大きくて温かかった。
片付けが終わると父は仕事へ出掛けるべく玄関へ向かった。
「行って来る」
「行ってらっしゃい!」
私は父を見送った。
玄関のドアが閉まり鍵をかける音がした。
父が出て行った家は一瞬にして静寂の支配が始まった。
「…なんかちょっと寂しいな」
そう思ったのも、内緒である。
自分の部屋に戻った私は父が揃えてくれた本を持ち出し
リビングで読むことにした。
異世界の文字なのに読めるのはきっと前世を思い出す前の
“私“が覚えてくれたからだろう。
すると玄関のドアをノックする音が聞こえたかと思うと
ドアがバンッと勢いよく開かれた。
あれ?鍵が掛かっているはずなのだが…?
「ソールちゃん!!いるかい?」
そこには恰幅の良い絵に描いたような肝っ玉母ちゃんのような
女性が入ってきた。かと思ったらニコニコと笑顔を浮かべ私の方向かってきた。
「おはようソールちゃん!元気かい?」
「お、おはようございます!」
大きな声で挨拶されてちょっとびっくりして挨拶が吃ってしまった。
「元気にご挨拶できて偉いわね~」
「あ…ありがとうございます」
「さて、今日も張り切って掃除と洗濯しましょうね」
この人が“コレットさん“なのかな?
確証がないからちょっと怖いけど…。
一か八か、私は父から預かった紙袋を差し出した。
「あ、あのコレットさん!」
「どうしたんだい?」
よかった、この人がコレットさんだった!!
「これ、お父さんがコレットさんにって。
いつもお手伝いして貰っているからって渡して欲しって言われたの」
「も~バンブさんったらいいって言ってるのに~。
でも、ソールちゃんから渡されちゃったら受け取るしかないわね~」
そう言うとコレットさんは紙袋を受け取った。
父がお礼をしたのだ、私も何か出来ないだろうか?
「あの、コレットさん」
「なんだい?」
「私、お手伝いします!」
「そうかい?それは助かるねぇ~じゃあまずは一緒に家をお掃除
しようかね!!」
「はい!」
私はコレットさんと一緒に家の掃除を始めるのだった。
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