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第120話 ガルド王国
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ヒカリはリンドの国を後にした。
「とりあえず、林道に沿って西に向かうかな」
ふわりと空を飛びながら進んでいく。林を抜け、川を越え、いくつか小さな村を見下ろした頃、遠くに大きな町が見えてきた。
「おー、もふもふだ!」
初めて見る獣人族に、ヒカリは興奮して声を上げた。耳がぴんと立った者、しっぽをふわふわと揺らす者、筋骨たくましい者から小柄な者まで様々だ。
「本当にいろんな種類がいるんだなぁ」
興味津々で、ヒカリは町の中をふわふわと漂いながら散策を始めた。よく見ると、獣人族以外の種族もちらほらといる。人間族やエルフ族、ドワーフ族と思われる姿も見かけた。
「意外と、他種族も住んでるんだな」
そう呟きながら進んでいると、人混みの中で目を引く建物を見つけた。多くの冒険者風の者たちが出入りしている。
「ちょっと行ってみるか」
興味をそそられ、ヒカリはその建物へと入っていった。中は賑やかで、朝から酒を飲んでいる者たちもいる。
「やっぱり、冒険者ギルドか」
掲示板に目を向けると、さまざまな依頼が貼り出されていた。
「レッドウルフ討伐に、ブラックベア討伐……他にも素材集めに護衛依頼……色々あるな」
そんな中、妙にこちらをチラチラと見てくる視線に気が付いた。
「ん?……なんか視線感じるな」
振り向くと、杖を持った獣人族の女性がいた。年の頃は二十歳くらい、肩には小さな光の精霊がちょこんと座っている。
「光属性の後衛ってところかな?」
そう見立てながら、ヒカリは女性に近づき、声をかけた。
「はじめまして、お嬢さん。俺に何かご用ですか?」
突然の声掛けに、女性は目を丸くして驚いた。
「あ、え? 掲示板を見てる精霊なんて初めて見ました!」
ヒカリは肩をすくめ、にっこりと笑った。
「たしかに。普通、精霊は依頼なんか興味ないもんな」
笑いながらそう言うと、女性も緊張がほぐれたのか、微笑み返してきた。
「これから何か依頼を受けるところ?」
「はい、リーダーがどの依頼を受けるか考えてるところなんです」
「あ、そうだ。自己紹介がまだだったね。光精霊のヒカリです」
女性はまた少し驚いた様子を見せながらも、丁寧に頭を下げた。
「私は魔道士のソフィアです。よろしくお願いします、ヒカリさん」
「ソフィア、ちょっと聞きたいんだけど、獣人族の王ってどこにいるか知ってる?」
いきなりの質問に、ソフィアはきょとんとした顔をした。
「えっと、ここからさらに西に行ったところに王都があります。たぶん、そこにいらっしゃるかと……」
「なるほど。ありがとう!」
ヒカリは満足げに頷くと、ソフィアに手を振ってギルドを後にした。
「さて、王都目指してひとっ飛びだ!」
空へ舞い上がり、ヒカリは西へと向かって飛び始めた。
王都が見えてきたのは、それから数十分後のことだった。
遠くからでもわかるほどに高い城壁に囲まれ、内部には立派な城がそびえていた。
「おお、さすが王都だな。デカい!」
感心しながら近づき、城門近くに降り立つ。しかし、城門を守る衛兵たちにはヒカリの姿は見えていない様子だった。
「……まあ、見えないのはいつものことか」
軽く肩をすくめて、城門をすり抜ける。内部は整然としており、兵士たちが行き交い、役人らしき者たちが忙しそうに書類を運んでいる。
「さて、王様はどこかな」
ふわふわと城の中を飛びながら、ヒカリは目立つ部屋を探す。そして、ひときわ豪華な扉を見つけた。
「たぶん、ここだな」
こっそり扉の隙間から中を覗き込むと、玉座に腰かけた大柄な獣人族の男が見えた。立派なたてがみと威厳ある眼差し。間違いなく王だろう。
「おっ、いたいた。あの腕に……」
王の左腕には、確かにブレスレットが輝いていた。
ヒカリはそっと近づき、ブレスレットの状態を探る。
「……うーん、魔力はちゃんとあるな。でも、やっぱり弱くなってる」
そう呟きながら、ヒカリは慎重に自らの魔力をブレスレットに注いだ。
すると――
淡い金色の光が、部屋全体を満たした。
「うわっ、目立つ!」
あわてて王の背後に隠れたが、王も周囲の護衛たちも金色の光に驚いて立ち上がっていた。
「何だ今の光は!? 敵襲か!?」
「異常魔力反応!警戒態勢を!」
怒号が飛び交い、城の中は一時騒然となった。
(やば……さすがにやりすぎたかも)
ヒカリは苦笑しながら、そっと城から脱出することにした。
「……よし、逃げろっ!」
ヒカリは、王都の空へと一気に飛び上がった。
王都の外れに降り立ったヒカリは、大きく息をついた。
「ふぅ、ブレスレットの確認はできたけど……なんかまた面倒なことになりそうだな」
西の地平線を見つめながら、次の目的地を考える。
「さてと……次はドワーフの国、イグニス王国か。地図によると南西だな」
小さく呟き、ヒカリは再び空へと飛び上がった。
「行くぜ、イグニス王国!」
その姿は、再び光の尾を引きながら、遥かな空へと消えていった。
「とりあえず、林道に沿って西に向かうかな」
ふわりと空を飛びながら進んでいく。林を抜け、川を越え、いくつか小さな村を見下ろした頃、遠くに大きな町が見えてきた。
「おー、もふもふだ!」
初めて見る獣人族に、ヒカリは興奮して声を上げた。耳がぴんと立った者、しっぽをふわふわと揺らす者、筋骨たくましい者から小柄な者まで様々だ。
「本当にいろんな種類がいるんだなぁ」
興味津々で、ヒカリは町の中をふわふわと漂いながら散策を始めた。よく見ると、獣人族以外の種族もちらほらといる。人間族やエルフ族、ドワーフ族と思われる姿も見かけた。
「意外と、他種族も住んでるんだな」
そう呟きながら進んでいると、人混みの中で目を引く建物を見つけた。多くの冒険者風の者たちが出入りしている。
「ちょっと行ってみるか」
興味をそそられ、ヒカリはその建物へと入っていった。中は賑やかで、朝から酒を飲んでいる者たちもいる。
「やっぱり、冒険者ギルドか」
掲示板に目を向けると、さまざまな依頼が貼り出されていた。
「レッドウルフ討伐に、ブラックベア討伐……他にも素材集めに護衛依頼……色々あるな」
そんな中、妙にこちらをチラチラと見てくる視線に気が付いた。
「ん?……なんか視線感じるな」
振り向くと、杖を持った獣人族の女性がいた。年の頃は二十歳くらい、肩には小さな光の精霊がちょこんと座っている。
「光属性の後衛ってところかな?」
そう見立てながら、ヒカリは女性に近づき、声をかけた。
「はじめまして、お嬢さん。俺に何かご用ですか?」
突然の声掛けに、女性は目を丸くして驚いた。
「あ、え? 掲示板を見てる精霊なんて初めて見ました!」
ヒカリは肩をすくめ、にっこりと笑った。
「たしかに。普通、精霊は依頼なんか興味ないもんな」
笑いながらそう言うと、女性も緊張がほぐれたのか、微笑み返してきた。
「これから何か依頼を受けるところ?」
「はい、リーダーがどの依頼を受けるか考えてるところなんです」
「あ、そうだ。自己紹介がまだだったね。光精霊のヒカリです」
女性はまた少し驚いた様子を見せながらも、丁寧に頭を下げた。
「私は魔道士のソフィアです。よろしくお願いします、ヒカリさん」
「ソフィア、ちょっと聞きたいんだけど、獣人族の王ってどこにいるか知ってる?」
いきなりの質問に、ソフィアはきょとんとした顔をした。
「えっと、ここからさらに西に行ったところに王都があります。たぶん、そこにいらっしゃるかと……」
「なるほど。ありがとう!」
ヒカリは満足げに頷くと、ソフィアに手を振ってギルドを後にした。
「さて、王都目指してひとっ飛びだ!」
空へ舞い上がり、ヒカリは西へと向かって飛び始めた。
王都が見えてきたのは、それから数十分後のことだった。
遠くからでもわかるほどに高い城壁に囲まれ、内部には立派な城がそびえていた。
「おお、さすが王都だな。デカい!」
感心しながら近づき、城門近くに降り立つ。しかし、城門を守る衛兵たちにはヒカリの姿は見えていない様子だった。
「……まあ、見えないのはいつものことか」
軽く肩をすくめて、城門をすり抜ける。内部は整然としており、兵士たちが行き交い、役人らしき者たちが忙しそうに書類を運んでいる。
「さて、王様はどこかな」
ふわふわと城の中を飛びながら、ヒカリは目立つ部屋を探す。そして、ひときわ豪華な扉を見つけた。
「たぶん、ここだな」
こっそり扉の隙間から中を覗き込むと、玉座に腰かけた大柄な獣人族の男が見えた。立派なたてがみと威厳ある眼差し。間違いなく王だろう。
「おっ、いたいた。あの腕に……」
王の左腕には、確かにブレスレットが輝いていた。
ヒカリはそっと近づき、ブレスレットの状態を探る。
「……うーん、魔力はちゃんとあるな。でも、やっぱり弱くなってる」
そう呟きながら、ヒカリは慎重に自らの魔力をブレスレットに注いだ。
すると――
淡い金色の光が、部屋全体を満たした。
「うわっ、目立つ!」
あわてて王の背後に隠れたが、王も周囲の護衛たちも金色の光に驚いて立ち上がっていた。
「何だ今の光は!? 敵襲か!?」
「異常魔力反応!警戒態勢を!」
怒号が飛び交い、城の中は一時騒然となった。
(やば……さすがにやりすぎたかも)
ヒカリは苦笑しながら、そっと城から脱出することにした。
「……よし、逃げろっ!」
ヒカリは、王都の空へと一気に飛び上がった。
王都の外れに降り立ったヒカリは、大きく息をついた。
「ふぅ、ブレスレットの確認はできたけど……なんかまた面倒なことになりそうだな」
西の地平線を見つめながら、次の目的地を考える。
「さてと……次はドワーフの国、イグニス王国か。地図によると南西だな」
小さく呟き、ヒカリは再び空へと飛び上がった。
「行くぜ、イグニス王国!」
その姿は、再び光の尾を引きながら、遥かな空へと消えていった。
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