異世界召喚ラノベに否定的な俺が、召喚されたので逃げることを考える

ほんわか

文字の大きさ
1 / 29

第1話「異世界召喚? 勝手にやってくれ」

しおりを挟む
「異世界召喚なんて、都合のいい話が現実にあるわけねぇだろ」
俺、神崎勇斗は友人たちと大学のサボり仲間としてカフェでダラダラしていた。話題は最近流行っている異世界召喚系のラノベやアニメ。

「でもさ、もし召喚されたらどうする?」
友人の中村がニヤニヤしながら聞いてきた。

「んなもん、即逃げるだろ。知らねぇ奴らのために命張るとか、冗談じゃねぇ。俺だったら召喚された瞬間、スキルでも金でも何でも奪ってトンズラするね」

俺の言葉にみんなが笑い出す。もちろん、本気でそんなことが起きるなんて思っちゃいない。俺たちは現実の世界で普通に生きていくだけだ──あの日までは、そう思っていた。


---

夜、コンビニで缶コーヒーを買い、スマホをいじりながら帰宅していると、突然視界が眩い光で覆われた。

「……なんだ?」

気づくと、足元に光の円陣が浮かび上がり、俺の身体がふわりと宙に浮いた。

「お、おい! なんだこれ!?」

次の瞬間、目の前に広がったのは、豪華な大広間。天井がやたら高くてシャンデリアがキラキラしてる。目の前には玉座があり、そこに座る年老いた男が俺を見ている。周りには鎧を着た騎士たちや、派手な衣装の貴族っぽい連中が立ち並んでいた。

「おお! 異世界より来たりし勇者よ!」

玉座に座る国王らしき男が俺に向かって叫ぶ。

「……は?」

何言ってんだこいつ。俺はただ帰宅途中だっただけだぞ。

「そなたは、この世界を救うために選ばれた英雄である!」

国王の言葉に、俺は頭が真っ白になった。まさか、本当に異世界召喚されるなんて……いや、そんなバカな話があるか? 冗談だろ?


---

状況が飲み込めないまま、俺は適当に質問を繰り返したが、どうやら俺は「魔王」を倒すために召喚されたらしい。そして、元の世界に戻る方法はないときた。

「はぁ!? 帰れねぇ!?」
「その代わり、そなたにはこの世界最高の力を与えた。我々とともに魔王を討伐してくれ」

俺はしばらく黙った後、静かに言った。
「……無理だ」

その一言で、大広間の空気が凍りついた。

「どうしても戦いたくない。俺、勇者なんてガラじゃねぇし、人のために命張るとか絶対ムリ」
「しかし、そなたが戦わねば、この国は滅びるのだぞ!」
「知らねぇよそんなの。俺にとっちゃどうでもいい話だ」

周囲の騎士たちがざわざわと動き出す。完全に空気を読まない俺の態度が気に入らないのは分かるが、知ったこっちゃない。

「なぁ、俺を呼んだのはお前らだよな? だったら、元の世界に帰してくれよ」
「帰還は不可能だ……」

ため息をつく国王を見て、俺は頭を抱えた。何が「勇者」だ。こんな理不尽な話、誰が真面目に取り合うか。


---

その日の夜、俺は城の一室に案内された。豪華なベッドや調度品が揃った部屋だが、俺の頭の中は「どうやって逃げるか」しか考えていなかった。

「戦えってのは無理だとしても、逃げるには準備がいるよな……」

俺には、この世界に来たとき「剣聖」と「賢者」というスキルが与えられていた。どちらもぶっ壊れレベルの強さを持つスキルだが、そんな力を見せれば絶対に利用される。だから隠すしかない。

「まずは金だな。金がなきゃ何もできねぇ」
装備や旅費を稼ぎつつ、目立たない範囲で実力を鍛えておく必要がある。そしてタイミングを見計らって、この城を抜け出す。それが俺の唯一の生き残る道だ。

「絶対、逃げてやるからな……!」

そう決意しながら、俺の異世界での逃亡劇が幕を開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。 異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。 役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。 隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。 戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。 異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。 まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。 ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。 それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。 次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。 その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。 「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」 ※カクヨムにも掲載中です。

処理中です...