異世界召喚ラノベに否定的な俺が、召喚されたので逃げることを考える

ほんわか

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第27話: 「灰色の塔の戦い」

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灰色の塔に近づくにつれ、霧がどんどん濃くなり、視界がほとんど効かなくなってきた。
「見えねぇな……エリス、どっちだ?」
俺が霧をかき分けながら尋ねると、エリスが馬を止め、周囲を見渡していた。
「この霧は、ただの霧ではありません。魔法によるものです。注意してください、何かが潜んでいるかもしれません」

「またかよ……こんな霧、今すぐ吹き飛ばせればいいんだけどな」
俺は剣を握り直し、ゆっくりと進んだ。

「勇者様、私が霧を晴らす魔法を試してみます。その間、警戒をお願いします!」
エリスが詠唱を始めた瞬間、霧の中から低いうなり声が聞こえてきた。

「来るぞ!」俺が叫ぶと、霧の中から黒い影が現れた。それは狼のような形をした魔物だったが、全身が霧で覆われていて実体がないように見える。

「また厄介な奴らか……!」
俺は剣を振るい、霧の魔物に切りかかったが、刃は霧を裂くだけで手応えがない。
「くそっ、どうやって倒せばいいんだ!?」

「光の魔法が効果的です! 私が援護します!」
エリスが光の矢を放つと、魔物が一瞬だけ消滅した。

「おお、さすがだな! でも、一匹じゃ済まねぇだろ?」

俺が剣を構え直した瞬間、霧の中からさらに多くの魔物が現れた。

「数が多い……勇者様、このままでは厳しいです!」
エリスが焦った声で言う。

「わかってる! けど、逃げるわけにもいかねぇ!」
俺は剣聖の力を解放し、剣に光を宿らせた。「これならどうだ……!」
光を放つ剣で次々と魔物を切り裂いていくが、霧は途切れることなく湧き続ける。

「勇者様、塔の中に入るしかありません! 外にいる限り、敵の数は無限に増え続けます!」

「ちっ、わかったよ! みんな、突っ込むぞ!」

俺たちは魔物を振り切りながら、塔の入口へと突進した。

塔の中は外よりもさらに異様な雰囲気だった。壁には古い文様が刻まれ、天井からは不気味な青白い光が漏れている。

「……ここも魔法で覆われてるのか?」

「はい。この塔自体が、何らかの魔法陣の一部として機能しているのかもしれません」
エリスが慎重に周囲を見渡しながら言う。

「ってことは、黒装束の奴らがここを狙う理由もそれか」

「おそらくそうです。塔の中心部に何かがあるはずです。急ぎましょう!」

俺たちは奥へと進んでいった。

塔の中心部にたどり着くと、そこには巨大な魔法陣が描かれていた。その中央には黒装束の男が立ち、何かの呪文を唱えている。

「お前か! またお前らかよ!」
俺が剣を構えて叫ぶと、男はゆっくりと振り返った。

「ふふ、ようやく来ましたか、勇者様。この塔の力は、我々の目的にとって不可欠なものなのです」

「お前らの目的が何だろうと知ったこっちゃねぇ! さっさとその手を止めろ!」

俺が突進しようとした瞬間、男が手をかざし、魔法陣から巨大な魔物が召喚された。その姿は、霧でできたドラゴンのように見えた。

「またかよ……でかいな」
俺は剣を握りしめながら一歩下がった。
「エリス、どうする? これ、どう見ても普通の攻撃じゃ通じねぇだろ」

「はい……恐らく、魔法陣が力を供給しています。魔法陣を壊さない限り、倒すのは難しいでしょう!」

「俺が魔法陣を狙う間、あいつを引きつけられるか?」

「やります! みんな、援護を!」
エリスが騎士たちに指示を出し、光の魔法でドラゴンを牽制し始めた。

俺は剣を光らせながら魔法陣へと突進した。
「これで終わりだ!」
剣を振り下ろして魔法陣を破壊しようとしたその時、黒装束の男が俺の前に立ちはだかった。

「簡単に壊せると思ったのですか?」

「どけっ!」
俺は剣を振るが、男は巧みに避けて反撃の魔法を放ってくる。黒い刃のような攻撃を受け流しながら、俺は叫んだ。
「エリス、どうにかしてこいつをどかせないか!」

「今、準備します!」
エリスが再び詠唱を始め、強力な光の魔法を放った。その光が男を一瞬だけ怯ませる隙に、俺は魔法陣に剣を叩き込んだ。

「これで終わりだ……!」
剣が魔法陣を貫いた瞬間、塔全体が揺れ始め、霧のドラゴンが消滅していった。

「封印の力が……また阻止されるとは」
黒装束の男が悔しげに呟き、闇の中へと姿を消した

「ふぅ……これでひとまず終わったのか?」
俺は剣を地面について息を整えた。

「はい、魔法陣は破壊されました。でも、また別の場所で奴らが動き出す可能性は高いです」
エリスが言う。

「ほんと、次から次へとだな……」

俺たちは疲れた体を引きずりながら、灰色の塔を後にした。だが、黒装束の男が残した言葉が、頭から離れなかった。
「封印の力が……また阻止されるとは」

(こいつら、一体どれだけの場所を狙ってるんだよ。これじゃ、いつになったら終わるのかわからねぇ)

心の中に残る不安を振り払うように、俺は静かに馬を走らせた。
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