だからこの恋心は消すことにした。

朝比奈未涼

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12.任務

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アランとの会話により、淡い期待を抱いた数日後。
私はカイとエイダンと共に離宮のある王都から離れ、隣街ユルへと任務で訪れていた。
以前から問題になっていた魔物関連の任務の為に、だ。

この街で多発する魔物関連の事件。その対応に今、この街担当の魔法使いたちが追われているのだが、数の多さ、そして強さにより被害が膨れ上がっているらしい。
そこでこの国お抱えの最高階級の魔法使いたちの出番という訳だ。

今回の任務は1週間と長丁場を予定している。
当然、魔法使いたちにもこなさなければならない予定があり、1週間もの間、離宮を離れ、任務に当たるのは非常に難しい。
何とかいろいろなところに手を回し、時には協力を仰ぎ、予定を調整した結果、今回の任務に参加できたのはカイとエイダンだけだった。



「2人とも1週間と長丁場ですがどうぞよろしくお願いします」



王都とは違い、異国情緒のある街並みをカイとエイダンと歩きながら、私は両隣の2人に交互に視線を向ける。



「もちろん!任せてよ、ラナ!」



するとカイはいつもの明るい表情で、



「…まあ、やれるだけやるよ」



エイダンはどこか気怠げにそう言った。

この2人の様子からわかるようにカイは任務に協力的で、エイダンはあまり乗り気ではない。
カイは無条件で今回の任務に参加してくれたが、エイダンはもちろんきちんと条件付きで今回の任務に参加していた。

エイダンの条件はこの1週間の任務後、自分に2週間の休暇を与え、王都から離れた海の街、ロロマーナで過ごさせること、だった。
もちろんその2週間の間に過ごすホテル…それも超がつく高級ホテルの手配まで要求し、さらにその休暇に私が同行することまで求めてきた。
それを国王様に伝えると、


「強力な魔法使いの力を借りられるのならどんな要求も呑もう」


と、すぐに頷き、手配を私に任せた。

なので、この任務が終わると私は海の街ロロマーナへと行かねばならない。もちろん同行するだけでロロマーナでもできる仕事を私はするつもりだ。

エイダンは私のことが好きだから私の同行を願ったのかな…。

そう思うと何だか嬉しくなり、思わず頬が緩んだ。



「何、間抜けな顔してるの?」

「かわいいね」

「…そうかもね」



私の顔を見て最初こそ揶揄うような表情を浮かべていたエイダンだったが、カイに笑顔で同意を求められて、冷めた表情で頷く。

そんな2人を見て私は、



「失礼しました。少し気が緩んでいました」



と、言って、顔に力を入れて、キリッとした表情を作ると心の中で自分に一喝を入れた。

色恋などでふわふわてしている場合ではない。
任務には危険がつきものだ。しっかりと気を引き締めていかなければ、みんなの足を引っ張り、最悪の事態になりかねないのだ。

…しっかりしなけば。



*****



話には聞いていたが、この街には本当にたくさんの魔物関連の事件が多発していた。
ユルに来てもう3日目だが、正直、魔法使いたちは朝から晩まで働きっぱなしで例え、カイとエイダンがいたとしても圧倒的に手が足りていない。
さすがにずっと働かせる訳にもいかないので、カイとエイダンは時間分担をして交互に魔物対応に当たるようにしていた。

時刻は午後8時。
エイダンと入れ替わるようにやっと休憩時間になったカイを誘い、私は自分たちが宿泊しているホテルのレストランでカイと共に夕食を食べていた。



「カイ、それは本当ですか?」



目の前にある立派なステーキを切る手を止め、私はまじまじとカイを見つめる。



「うん。魔物の発生箇所には微妙だけど同じ魔力の気配を感じたんだ」

「…そうですか」



カイの真剣な表情の証言を聞き、私はフォークとナイフをテーブルに置き、顎に手を当て、視線を伏せた。

他の街ではなく、この街だけに集中して現れる魔物。
確かエイダンも「同じ感じがする」と言っていた。
私も動ける時は魔法使いたちと一緒に動き、現場を目撃している。
私が見た例しかないのが心許こころもとないが、魔物が生き絶える時、魔物は必ず紫の光を放っていた。
共通点と言える共通点はないが、同じ魔力の気配があり、最期には紫に光る。

…これは情報を整理した方が良さそうだ。
意図的に誰かが魔物を発生させている可能性がある。



「…ラナ、話は変わるんだけどさ」



今回の任務について思案していると、カイが言いにくそうに口を開く。
急に改まった態度でこちらを見るカイに私は首をかしげた。

一体どうしたのだろうか?





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