25 / 34
本編
23話 《カトレアとの別れ》と《次なる任務》
しおりを挟む
今日で7日目、私の任務も午前中の業務で全て終了となります。
本来であれば、金属の分別作業を実施したいのですが、鉱石から錬成された金属も少ないので、今日は従業員のみんなと共に、業務用仮説大型テント内に、大小様々な機材を運んでいます。
「うんしょ、うんしょ、結構重いです」
あの大きな瓦礫を楽に動かせたのに、今はこんな小さな物でも普通に重く感じます。あのスキルを、早く使いこなしたいです。
「うん、重い」
あの騒動以降、外で作業を続けていることもあり、カトレアから挙動不審さも無くなり、普通に会話もできています。テント内の所定の場所へ機材を置き、私たちがテントを出ると、午前の業務終了となる鐘が鳴り響きます。鐘の音を聞いたカトレアは、私との別れに気づいたのか、顔色が悪くなっていきます。
「カトレア、私の任務はこれにて終了です。街に戻らないといけません」
「うん……今日で7日目、寂しくなる。せっかく友達になれたのに」
カトレアは奴隷、その身分から脱却するには、主人に認められなければならない。彼女の主人はオルフェンさんですが、鉱山で大きな貢献を果たすとなると、今の年齢では不可能です。
「リコッタは、明日からどうするの?」
「冒険者に戻って、自分に見合った依頼を受けて生活していきます。まだ、Fランクですから」
「あの戦いを見ているから、Fランクとは思えない。ランク、上がらないの?」
「裏事情を知る人は少ないので、ランクは上がりません。でも、受付係のリットさんが『色々と優遇するわ』と言ってくれました」
というか、冒険者になってから、ずっとスキルに見合った依頼を探してくれているので、ずっと優遇されているような気がします。
「そっか…リコッタ、あのね…私にはチートスキル《家庭菜園》と《料理大全》があるの。私の夢は、このスキルで自分の店を持つこと」
全く聞いたことのないスキル名です。しかもチートスキル、そんな大事なことを私に教えてくれるということは、それだけ信頼されているのですね。
「自分の店、凄い夢じゃないですか!? カトレアが店を持ったら、絶対行きます‼︎ でも、そんな凄いスキルを持っているのに、どうして虐められていたの?」
そんなスキルがあれば、奴隷商人の人たちだって利用するはずです。
「私の家族は、みんな良い人ばかり。村全体が生活苦になったから、私は村の人たちに自分のスキルの価値を話し、奴隷として志願したの。私の価値も認められて、村には大金が入った。その一方で奴隷になった私は、そこから転落の一途だった。奴隷商人の持ち物になり、その人の屋敷で生活することになったけど、その翌日に盗賊達に侵入され、当時のご主人様が私の目の前で殺されたの。奴隷たちは盗賊の手引きで別の奴隷商人たちに次々と売られていった。私もその1人なんだけど、まだ私の資料をまとめていない事もあって、チートスキルのことを知られないまま、次のご主人様のもとへ売られたの。そこ以降は、スキルを隠しながら生き残るのに必死だった」
思った以上に、カトレアは過去に悲惨な経験をしているようです。
「スキルを隠すことばかり考えていたせいなのか、スキル《隠蔽》に目覚めたの。そのおかげで、チートスキルに関しては誰にもバレていないわ。でも、毎日毎日仲間から虐められ、信用できる人が誰1人いない状況になってしまったの。誰も信じられないからこそ、チートスキルのことを言えなかった」
下手に言ってしまうと、奴隷仲間から嫉妬され殺されていたかもしれません。
《言わない》が正しいと思います。
「でも、リコッタとオルフェンさんだけは信用できる。もう……話しているんだ。リコッタが帰った後、私は彼と今後のことで話し合うことになっているの」
あの人なら、私も信用できると思います。
「今からオルフェンさんに会いに行きますので、私からも言っておきます。時間が空いたらここへ来たりもしますから、何か困ったことがあれば、いつでも言ってください」
私は、日常生活に関わるスキルを一つも持っていませんから、店を開くことなんて無理でしょう。カトレアのスキルにどんな効果があるのか知りませんが、夢を持っているのなら協力させてもらいます。
「ありがとう」
カトレアの笑顔が眩しいです。夢を持つということは、人を輝かせるのですね。
「一旦お別れになりますが、また何処かでお会いしましょう」
「うん」
私は彼女と握手を交わし笑顔で手を振りながら、業務用大型テントの中にいるオルフェンさんの元へ向かいました。私がテントの中に入り、彼を見ると、今日もまた笑顔なので、機嫌が良いようです。私が席に座り、テーブルに置かれているものを見ると、それは依頼達成書でした。既に印鑑も押されており、記載されている報酬額を確認すると、予定額の2倍増しとなっていたので、私はその箇所を再度見直しました。
「オルフェンさん……報酬額が多過ぎるのですが?」
「あの騒動で、君とカトレアはスライムの囮になり、時間を稼いでくれたと聞いている。君たちが尽力してくれたおかげで、利益の一部が鉱山の責任者でもある私にも入ってくる。私的にはこの報酬額でも少ないが、ギルドの規定でランクの相場を超える報酬額を出せないんだ」
そうか、矛盾が生じないように、《獣人ゴルドさん》か《リットさん》のどちらかが、私とカトレアがあの戦いで貢献したことを彼に言ってくれたんだ。時間稼ぎをしたのは、本当だもの。
「そういうことでしたら受け取ります。あの…カトレアにはどういったご褒美を?」
彼女からスキルを聞いていますので、今後の事がどうしても気になります。
「彼女のスキルと夢を聞いているが、今の年齢では無理だろう。それに店を開くには、経営に関わる知識も必要となる。そこで、私は彼女に《奴隷解放》と《従業員採用》をプレゼントすることに決めた。従業員としての役割は、料理人の補助だ」
おお‼︎
そのご褒美なら、カトレアもきっと喜びます‼︎
「ありがとうございます‼︎」
「いいんだよ。君たちは命懸けで、この鉱山と冒険者たちを守ってくれたんだ。この程度の恩返しは当然だ。リコッタ、君は冒険者だから、これからも危ない橋を渡ることもある。気をつけて行動するように」
「はい、7日間ありがとうございました‼︎」
依頼内容によっては、依頼者自身が時に冒険者を裏切ることもあると聞きます。今回の依頼人でもあるオルフェンさんは、私やカトレアのことをきちんと考えてくれていますから、カトレアの今後の生活も安心でしょう。私は彼にお別れの挨拶を告げ、鉱山入口の馬車に乗り、街へと戻りました。
○○○
「え、次の依頼をもう用意してくれているのですか!?」
私がべクルトンの街の冒険者ギルドに到着すると、リットさんが手招きしてくれたので、依頼達成書を渡し報酬を貰った直後に、次の依頼を言われました。通常、Fランク冒険者は、壁に貼られている掲示板から依頼を選ぶか、受付係の人にお願いして依頼を選んでもらうの2択なのですが、私の場合、ずっと後者ばかりです。
次の依頼は、どんな内容なのでしょう?
「祝賀祭の警備よ」
リットさんから告げられた内容に、私はとても驚きました。
「警備? どう考えても、場違いなのですが?」
普通、警備って屈強な冒険者や騎士たちがやりますよね? 私のような子供が参加したら、他の冒険者方も怒ると思います。
「あなたにお願いするのは、食材や食器類の警備よ」
ますます、意味がわかりません。
「どういう意味でしょう?」
「ふふ、今から説明するわね。今回、冒険者たちが80年ぶりに出現したメタルリキッドゴーレムを、見事掌握し討伐してくれた。しかも、その大きさは国内一で、多大な利益がもたらされることが確定している。その祝賀祭が、この街に存在する全てのギルド公認で7日後に開催されるわけ」
それってつまり、あのスライムの液体金属が全ギルドで使用されるってことですか!?
「この騒動は、既に新聞で全国に報道されているわ。今後、大勢の人々が液体金属を目当てに、この街や王都などに押し寄せてきて、忙しい毎日が始まる。その前祝いをやろうということになったの」
新聞……あ、一面にデカデカとスライム討伐の件が掲載されていましたね。王家への献上品や各ギルドへの配分が決まったら、液体金属自体も分割されて、それぞれの担当場所へ運ばれ、そこからオークションなどに利用され、莫大な利益が生まれるとも書かれていました。
「液体金属の保管場所を警備するならともかく、前祝いで使用される食器類などを警備する必要性はあるのですか? あったとしても、スキル《鑑定》を持つ人々にやらせるべきでは?」
多分、リットさんの意図しているのは、毒物のことですよね。
「リコッタは賢いね。それが正当な意見なんだけど、ギルドマスターによると、過去2例の討伐において、冒険者側の方でいつも殺人事件が起きているのよ」
「殺人事件!?」
リットさんから話を聞くと、これまで警備が徹底されているギルド側の方では、警護する騎士たちの活躍で、大きな事件に発展していません。ですが、冒険者側の方で必ず殺人事件が起きています。犯人の目的は、冒険者側に配分された液体金属の独り占めです。莫大な利益をもたらすと確定している以上、討伐メンバーの誰かが必ず欲望に負けてしまう。しかも、まだ配分されていない状況でも起こるそうです。
ゴタゴタが起こらないよう、事前に冒険者側へ渡る配分量は決められているのですが、誰かが死んだ場合であっても、その大元の配分量は減りません。つまり、今回は5人いましたから、それが1人になってしまったら、5人分の配分量が全てその人のもとへいくということになります。リットさんは、討伐メンバーたちが祝賀祭で毒殺されることを恐れているのです。
「祝賀祭で毒殺されないよう、5人の冒険者たちを警備しろってことですか?」
「そういうこと。ただ、リコッタはそこまで気負う必要はないわ。獣人の私を含めたスキル《鑑定》持ちの者を5人雇うから」
祝賀祭の真っ最中に、賊が侵入することは、まず起こりえません。一番起こりえる事件は、毒殺です。鑑定持ちが5人いるのであれば、私は念のため配備されたということでしょう。
本来であれば、金属の分別作業を実施したいのですが、鉱石から錬成された金属も少ないので、今日は従業員のみんなと共に、業務用仮説大型テント内に、大小様々な機材を運んでいます。
「うんしょ、うんしょ、結構重いです」
あの大きな瓦礫を楽に動かせたのに、今はこんな小さな物でも普通に重く感じます。あのスキルを、早く使いこなしたいです。
「うん、重い」
あの騒動以降、外で作業を続けていることもあり、カトレアから挙動不審さも無くなり、普通に会話もできています。テント内の所定の場所へ機材を置き、私たちがテントを出ると、午前の業務終了となる鐘が鳴り響きます。鐘の音を聞いたカトレアは、私との別れに気づいたのか、顔色が悪くなっていきます。
「カトレア、私の任務はこれにて終了です。街に戻らないといけません」
「うん……今日で7日目、寂しくなる。せっかく友達になれたのに」
カトレアは奴隷、その身分から脱却するには、主人に認められなければならない。彼女の主人はオルフェンさんですが、鉱山で大きな貢献を果たすとなると、今の年齢では不可能です。
「リコッタは、明日からどうするの?」
「冒険者に戻って、自分に見合った依頼を受けて生活していきます。まだ、Fランクですから」
「あの戦いを見ているから、Fランクとは思えない。ランク、上がらないの?」
「裏事情を知る人は少ないので、ランクは上がりません。でも、受付係のリットさんが『色々と優遇するわ』と言ってくれました」
というか、冒険者になってから、ずっとスキルに見合った依頼を探してくれているので、ずっと優遇されているような気がします。
「そっか…リコッタ、あのね…私にはチートスキル《家庭菜園》と《料理大全》があるの。私の夢は、このスキルで自分の店を持つこと」
全く聞いたことのないスキル名です。しかもチートスキル、そんな大事なことを私に教えてくれるということは、それだけ信頼されているのですね。
「自分の店、凄い夢じゃないですか!? カトレアが店を持ったら、絶対行きます‼︎ でも、そんな凄いスキルを持っているのに、どうして虐められていたの?」
そんなスキルがあれば、奴隷商人の人たちだって利用するはずです。
「私の家族は、みんな良い人ばかり。村全体が生活苦になったから、私は村の人たちに自分のスキルの価値を話し、奴隷として志願したの。私の価値も認められて、村には大金が入った。その一方で奴隷になった私は、そこから転落の一途だった。奴隷商人の持ち物になり、その人の屋敷で生活することになったけど、その翌日に盗賊達に侵入され、当時のご主人様が私の目の前で殺されたの。奴隷たちは盗賊の手引きで別の奴隷商人たちに次々と売られていった。私もその1人なんだけど、まだ私の資料をまとめていない事もあって、チートスキルのことを知られないまま、次のご主人様のもとへ売られたの。そこ以降は、スキルを隠しながら生き残るのに必死だった」
思った以上に、カトレアは過去に悲惨な経験をしているようです。
「スキルを隠すことばかり考えていたせいなのか、スキル《隠蔽》に目覚めたの。そのおかげで、チートスキルに関しては誰にもバレていないわ。でも、毎日毎日仲間から虐められ、信用できる人が誰1人いない状況になってしまったの。誰も信じられないからこそ、チートスキルのことを言えなかった」
下手に言ってしまうと、奴隷仲間から嫉妬され殺されていたかもしれません。
《言わない》が正しいと思います。
「でも、リコッタとオルフェンさんだけは信用できる。もう……話しているんだ。リコッタが帰った後、私は彼と今後のことで話し合うことになっているの」
あの人なら、私も信用できると思います。
「今からオルフェンさんに会いに行きますので、私からも言っておきます。時間が空いたらここへ来たりもしますから、何か困ったことがあれば、いつでも言ってください」
私は、日常生活に関わるスキルを一つも持っていませんから、店を開くことなんて無理でしょう。カトレアのスキルにどんな効果があるのか知りませんが、夢を持っているのなら協力させてもらいます。
「ありがとう」
カトレアの笑顔が眩しいです。夢を持つということは、人を輝かせるのですね。
「一旦お別れになりますが、また何処かでお会いしましょう」
「うん」
私は彼女と握手を交わし笑顔で手を振りながら、業務用大型テントの中にいるオルフェンさんの元へ向かいました。私がテントの中に入り、彼を見ると、今日もまた笑顔なので、機嫌が良いようです。私が席に座り、テーブルに置かれているものを見ると、それは依頼達成書でした。既に印鑑も押されており、記載されている報酬額を確認すると、予定額の2倍増しとなっていたので、私はその箇所を再度見直しました。
「オルフェンさん……報酬額が多過ぎるのですが?」
「あの騒動で、君とカトレアはスライムの囮になり、時間を稼いでくれたと聞いている。君たちが尽力してくれたおかげで、利益の一部が鉱山の責任者でもある私にも入ってくる。私的にはこの報酬額でも少ないが、ギルドの規定でランクの相場を超える報酬額を出せないんだ」
そうか、矛盾が生じないように、《獣人ゴルドさん》か《リットさん》のどちらかが、私とカトレアがあの戦いで貢献したことを彼に言ってくれたんだ。時間稼ぎをしたのは、本当だもの。
「そういうことでしたら受け取ります。あの…カトレアにはどういったご褒美を?」
彼女からスキルを聞いていますので、今後の事がどうしても気になります。
「彼女のスキルと夢を聞いているが、今の年齢では無理だろう。それに店を開くには、経営に関わる知識も必要となる。そこで、私は彼女に《奴隷解放》と《従業員採用》をプレゼントすることに決めた。従業員としての役割は、料理人の補助だ」
おお‼︎
そのご褒美なら、カトレアもきっと喜びます‼︎
「ありがとうございます‼︎」
「いいんだよ。君たちは命懸けで、この鉱山と冒険者たちを守ってくれたんだ。この程度の恩返しは当然だ。リコッタ、君は冒険者だから、これからも危ない橋を渡ることもある。気をつけて行動するように」
「はい、7日間ありがとうございました‼︎」
依頼内容によっては、依頼者自身が時に冒険者を裏切ることもあると聞きます。今回の依頼人でもあるオルフェンさんは、私やカトレアのことをきちんと考えてくれていますから、カトレアの今後の生活も安心でしょう。私は彼にお別れの挨拶を告げ、鉱山入口の馬車に乗り、街へと戻りました。
○○○
「え、次の依頼をもう用意してくれているのですか!?」
私がべクルトンの街の冒険者ギルドに到着すると、リットさんが手招きしてくれたので、依頼達成書を渡し報酬を貰った直後に、次の依頼を言われました。通常、Fランク冒険者は、壁に貼られている掲示板から依頼を選ぶか、受付係の人にお願いして依頼を選んでもらうの2択なのですが、私の場合、ずっと後者ばかりです。
次の依頼は、どんな内容なのでしょう?
「祝賀祭の警備よ」
リットさんから告げられた内容に、私はとても驚きました。
「警備? どう考えても、場違いなのですが?」
普通、警備って屈強な冒険者や騎士たちがやりますよね? 私のような子供が参加したら、他の冒険者方も怒ると思います。
「あなたにお願いするのは、食材や食器類の警備よ」
ますます、意味がわかりません。
「どういう意味でしょう?」
「ふふ、今から説明するわね。今回、冒険者たちが80年ぶりに出現したメタルリキッドゴーレムを、見事掌握し討伐してくれた。しかも、その大きさは国内一で、多大な利益がもたらされることが確定している。その祝賀祭が、この街に存在する全てのギルド公認で7日後に開催されるわけ」
それってつまり、あのスライムの液体金属が全ギルドで使用されるってことですか!?
「この騒動は、既に新聞で全国に報道されているわ。今後、大勢の人々が液体金属を目当てに、この街や王都などに押し寄せてきて、忙しい毎日が始まる。その前祝いをやろうということになったの」
新聞……あ、一面にデカデカとスライム討伐の件が掲載されていましたね。王家への献上品や各ギルドへの配分が決まったら、液体金属自体も分割されて、それぞれの担当場所へ運ばれ、そこからオークションなどに利用され、莫大な利益が生まれるとも書かれていました。
「液体金属の保管場所を警備するならともかく、前祝いで使用される食器類などを警備する必要性はあるのですか? あったとしても、スキル《鑑定》を持つ人々にやらせるべきでは?」
多分、リットさんの意図しているのは、毒物のことですよね。
「リコッタは賢いね。それが正当な意見なんだけど、ギルドマスターによると、過去2例の討伐において、冒険者側の方でいつも殺人事件が起きているのよ」
「殺人事件!?」
リットさんから話を聞くと、これまで警備が徹底されているギルド側の方では、警護する騎士たちの活躍で、大きな事件に発展していません。ですが、冒険者側の方で必ず殺人事件が起きています。犯人の目的は、冒険者側に配分された液体金属の独り占めです。莫大な利益をもたらすと確定している以上、討伐メンバーの誰かが必ず欲望に負けてしまう。しかも、まだ配分されていない状況でも起こるそうです。
ゴタゴタが起こらないよう、事前に冒険者側へ渡る配分量は決められているのですが、誰かが死んだ場合であっても、その大元の配分量は減りません。つまり、今回は5人いましたから、それが1人になってしまったら、5人分の配分量が全てその人のもとへいくということになります。リットさんは、討伐メンバーたちが祝賀祭で毒殺されることを恐れているのです。
「祝賀祭で毒殺されないよう、5人の冒険者たちを警備しろってことですか?」
「そういうこと。ただ、リコッタはそこまで気負う必要はないわ。獣人の私を含めたスキル《鑑定》持ちの者を5人雇うから」
祝賀祭の真っ最中に、賊が侵入することは、まず起こりえません。一番起こりえる事件は、毒殺です。鑑定持ちが5人いるのであれば、私は念のため配備されたということでしょう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
180
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる