元構造解析研究者の異世界冒険譚

犬社護

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10歳〜アストレカ大陸編【戴冠式と入学試験】

オーキスVSミーシャ

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○○○ オーキス視点

シャーロットには、驚かされることばかりだ。彼女は僕の命の恩人でもある。出会ったばかりの頃は、公爵令嬢らしい高貴な振る舞いがあった。でも、ハーモニック大陸から帰還した彼女からは、そういった雰囲気を感じられなくなった。転移後の出来事に関しては、僕もある程度聞いている。

その内容の殆どが、この大陸でも滅多に起こり得ないような出来事ばかりだった。そういった多くの事件に遭遇していれば、貴族らしさだって無くなるはずだ。でも、彼女はこの2年で再度貴族教育を受けたせいもあって、皆のいる前では貴族的な優雅な振る舞いを見せている。

貴族らしく振る舞う彼女、親しい友人達の中でだけ見せる平民的な彼女、僕はどちらのシャーロットも【好き】だ。そして、さっきの試合で見せたシャーロットの戦略、4つの初級魔法を合体させるなんて考えたこともなかった。相手の放った魔法へのイメージを上回るだけでなく、4つの魔法の威力を丁寧に操作し、1つにまとめるためには相当な魔力操作が必要とされるはずだ。

彼女はあの試合で、それをいとも簡単にやってのけた。彼女の行為がどれ程高度なものかを理解している受験生は、何人いるだろうか? 理解していない者は、例外なく不合格となるだろう。

そして、わざわざ僕達に聞こえるように放ったスキルと魔法、頭上から降ってくるタライ、目の前に出現する落とし穴、落下地点周囲の材質変化、僕・フレヤ・リーラの場合、定期的にシャーロットやマリル様と会い訓練を重ねていったことで、魔法概念を一から教え込まれ柔軟性を高めていったからこそ、落とし穴の中の惨状を理解できた。でも、僕ら以外は誰も理解できていなかった。

あんな発想、誰も思い浮かばない。

国同士の戦争にて、個人個人の戦い方なんてどうでもいい。その時の相手の大将を殺せば、それだけで戦況は変化するのだから。

…………言葉の意味は、僕も理解できるんだ。

でも、僕自身が戸惑っている。

《あれって、騎士として許される行為なのか?》
《正々堂々とは、かけ離れているよな?》
《でも、そんな理屈は実戦で通用しない。これが実戦だったら、ヒーリア先生は死んでいる》

《そもそも戦争の際、魔法以外で地形を利用し、火・水・土などで敵を死に至らしめる軍略行為だって、今回のものと似たようなものだ。それを個人に対して行っただけなのだから……別段おかしなことではない……はず……でも……》

今、僕の目の前に、対戦相手のミーシャがいる。
シャーロットの戦い方を見習うべきなのか、正直迷う。

戦いにおいて、この迷いはまずい。
でも、それはミーシャも同じだ。
彼女からは、そういった迷いを見受けられない。


………今は、シャーロットの忠告をあえて無視しよう。こんな状態で戦ったら、ミーシャにも失礼だ。試験が終わってから、改めて考えよう。


ミーシャは、獣人だ。獣人は一般的に魔法の使用を苦手としているものの、敏捷性が高く、近接戦闘が得意と習った。しかし、彼女の能力判定試験を見ていたけど、彼女は僕と同じ近距離も遠距離も得意とするタイプで、おそらく力量も僕と同じくらいだろう。そして、彼女の身長は僕よりも数センチ程度低いだけ。互いに、戦いやすい相手ともいえる。小手先の戦術はいらない。

だから……試合開始と同時に、全力で行く!

「互いの準備は整ったようだね~。ミーシャは木製の杖、オーキスは木刀。試合条件は、先程の試合と同じだからね~~。対戦相手に、魔法か打撃を二度直接与えれば勝利だよ~~それでは~~始め!」

キョウラク先生の合図と共に、僕はミーシャに向けて走る。どうやら相手も、僕と同じ考えのようだ。ミーシャは剣術だけでなく、杖術も扱えるのか。杖術は杖を巧みに扱う事で、相手の攻撃を華麗に受け流し、その隙をついて攻撃する武術と習った。

学園での初めての模擬戦、シャーロットも見ている。
負けられない!

「はあ!」
「やあ!」

ミーシャは僕の剣を杖で軽く受け流し、手を組み替えそのまま次の攻撃態勢に入っている。やはり、攻防の切り替えが早い!

「【ウィンドインパクト】」

僕はすかさず、木刀を左手で持ち、余った右手で拳サイズの円形風魔法【ウィンドインパクト】を杖にぶつける。予測したのか、ミーシャは武器強化を行い、魔法が杖に直撃する瞬間、後方にジャンプした。

その行動により、魔法効果の影響もあって、彼女は10m程後方に飛ばされる……いや飛んだというべきかな。しかも、衝撃の一部を強化した杖で受け流しているせいもあって、本人へのダメージはゼロか。

「ミーシャ、反応速度が速いね」
「オーキスもね」
彼女は少しだけ微笑むと同時に、僕から距離をとる。

「オーキス…いくよ…【ウォーターボール】」

拳サイズの水弾5発が彼女の周囲に現れる。彼女の魔力操作は、先の試験でわかっている。

……くる!!

え? 1発だけが僕の顔面目掛けて飛んできているけど、速度が遅い。
これなら、余裕で回避できる。
何か、意図があるのか?

「え…な!?」

回避したと思ったら、2発目の水弾が1発目のすぐ後方にある!
しかも、軌道が変化して、1発目よりも速い速度で僕に迫ってくる!
魔法の扱いが上手い! 

く、回避した1発目も軌道を変化させて、僕の後方から速度を上げて襲ってきた。
残りの水弾も左右から!
くそ!
全弾回避しても、僕を追尾してくる。

「これは…まさか、ヒーリア先生の!?」
「さっきのヒーリア先生の操作を真似てみた」

思った以上に、魔力操作が上手い! 
5m程離れた距離から、5発の水弾が再び僕目掛けて襲ってきた。

「面白いね……こうするよ!」

《僕が5発の水弾を回避し、ミーシャ目掛けて突進する》……という気配と魔力付きの幻をミーシャに見せる。本体である僕自身は、幻よりも気配や魔力を押し殺し、水弾を回避し後方に下がる。

……よし、水弾が幻に向かっている! 思った通りだ!

「それ…悪手…挟み撃ちで私の……え?」
ミーアが杖を空ぶり、幻と重なったところで、水弾が彼女に襲いかかる。

「幻!? 本物は……どこ!?……正面!」

水弾が彼女に直撃すると思ったが、寸前のところで止まり、再度5発が僕に向かってくる。……予想通りの行動だ。しかし、焦っているからか、5発全てが前方から同速度で同時に襲ってくる。

こちらも……仕掛ける!

「ファイヤーウォール!」

水が蒸発したところで、魔法を解除すると、彼女は元いた位置から姿を消していた。
……くる!!

気配遮断が上手いけど、辛うじてわかるぞ。

ミーシャが僕の背後に周って、こちらへ向かってくる。死角からの移動だから、僕が気づいていないと思っているだろうけど甘い!

彼女が僕の間合いに入り、攻撃態勢に入ったところで、僕は瞬時に身体を回転させた。

「え……ぐあ!?」

よし、僕の木刀が彼女の脇腹にヒットした!

「く…負けない」
激痛のせいか、彼女は顔を少し歪めている。

「それはこちらも同じだ」

ミーシャは体勢を崩しながらも、僕に対して杖による連続攻撃を放ってくる。僕も木刀でいなしながら、連続攻撃を放つ。

……強い。

僕自身、この2年でCランク下位(能力値平均220)の力量を身につけたけど、力はほぼ互角だ。人間や獣人の能力限界は250、彼女も相当な鍛錬を重ねてきたのか。

そっちがファイヤーウォールの死角を利用するのなら、僕も君の死角を利用する!

「オーキス…強い。同年代で、私の動きに反応できるのは、貴方が初めて」
「そりゃあ、光栄だね」

連続攻撃をミーシャの視界左側に8割、右側に2割程、主に上半身に集中させる! 彼女の後方に、威嚇の【ウィンドインパクト】を浮遊させた。感覚的な意識をそちらへ向けさせれば、後方には下がれない!

「1つ1つが…重い…う!」

よし、僕の力の方が上だ。攻撃が重いせいで、防御に徹している。防御自体も左右に集中している。これなら……いける! 

「オーキスが消えた!?」

ミーシャからはそう見えるだろうな。これまで視界の上段からの攻撃を集中させてきた。彼女の注意は上へ向いている。僕がしゃがんだ事で、一瞬の空白ができた。この隙を見逃さない! 木刀ばかりを意識しているからこそ、拳の攻撃が活きる!

「はああぁぁぁ~~~~」

至近距離からの真下から真上への右アッパー攻撃、防げるものなら防いでみろ! 

「しまっ……」

………僕の右アッパーがミーシャの顎に直撃する寸前、彼女は反射的に杖を顎の下に置いた。あの至近距離でも、反応できるとは思わなかった。

そのまま強引にアッパーを炸裂させ、彼女を後方に吹っ飛ばし、待機させていた【ウィンドインパクト】に直撃させ倒れこむ。杖は彼女の1m程手前に落ち、バウンドしている。

倒したか?

「う…まだ…」

やはり、杖で防御した分、ダメージが浅い! 
そのまま、杖を拾いに行こうとしている?
まだ、勝負を諦めていないのか!?

『いいか…オーキス、模擬戦でも実戦でも絶対に油断するな。【これで勝てる】と思い込んだ瞬間こそが油断となる。相手側は絶体絶命に陥っても、必ず何らかの策を講じてくると思え』

ガロウ隊長から教わった言葉が頭に浮かぶ。わかってますよ、隊長!
僕が全力でミーシャの前に立ち塞がり、そこで木刀を彼女に突きつければ僕の勝ちだ!

「トドメだ!」
僕が前へと走り出すと同時に、ミーシャも体勢を崩しながらも、杖を拾いに行こうとする。

「…諦めない」
僕と彼女の距離が2mを切り、僕の間合いに入った!

彼女の眉間の手前で木刀を止めれば、ミーシャも二度の攻撃を受けたと判断して降参するはずだ!

僕が彼女の眉間へ向けて《突き》を放ち、【勝った!】と思った瞬間……

《グニュウ~》
「ほお…お…お」
「あ…狙いが…ズレた」

こ…声が…出ない。か…全身が小刻みに震え前へ進めない。僕は攻撃されたのか?そうだ…僕の下腹部に…突然衝撃が走り、何かが……めり込んだんだ。

一体……何が?

そ~っと顔を下へ向けると、ミーシャの手が杖の端っこを地面に向けて押さえている。
そして、その杖が僕の……股間にグニャリと嵌っていた。

え……杖?
こんな…使い方があるなんて…あ…奇抜な発想……

僕は、そのまま崩れ落ちた。杖から解放された瞬間、激痛が股間を襲う。

「おお…な…ん…で…杖が…ぬおおお」
ミーシャ……こんな攻撃方法があるなんて……

「ごめん…オーキスが速いから…焦って…狙った位置がズレた」

偶然決まったとかではなく……位置がずれたにせよ……咄嗟にこんな攻撃を放て……あああああ~~。

「それまで! いや~参ったね~、咄嗟の攻撃とはいえ、まさか杖のバウンドを利用して、オーキスの股間へカウンター攻撃するとはね~。男ならば誰であろうと一撃で沈むね~~。ただ、言いにくいんだけど、さっきのウィンドインパクトが二撃目の攻撃判定とみなし、オーキスの勝利となるんだけど………この光景を見たら、誰が見てもオーキスの敗北だよね~~~」

こ…れで、僕の勝ちって……嫌…すぎ…る。こんな…情けない…勝利…嫌だ。
く…そ…言葉が…出ない。

「う~~ん、もうオーキスの敗北でいいよね~~。この勝負、ミーシャの勝利! オーキスの敗因は、《これで勝つ》と思い込み、視野が瞬間的に狭くなり、彼女の顔しか見ていなかったことだね~」

あの時、ガロウ隊長の言葉が思い浮かんだのは、【危機察知スキル】が反応していたからなのか……察知の仕方に問題あるだろ…ああああああ……

「シャーロット様のおかげ。普通に戦えば…オーキスの方が強い。だから……奇抜な策を使った」

ちらっと…ミーシャを見ると、彼女はシャーロットの方を向いてVサインをしていた。
シャーロット…今の僕を……見ないで…くれ。

「なるほどね~、つまりオーキスの敗因は、シャーロットの所為でもあるんだね~」

いや…先生…僕が未熟なだけ…シャーロットは……悪くない……ダメだ…おお…声が…出ない。学園初めての模擬戦で、こんな敗北は…嫌…だ。


○○○ シャーロット視点


ああ~~やってしまった~~~!!!

オーキスが両足を内股にし股間を両手で押さえながら、地面に転がり猛烈に苦しんでいる。まさか、彼が私の言った忠告で敗北するとは思わなかった~~~!

初めての学園での模擬戦だったのに、男にとって1番屈辱的な勝ち方……じゃなくて負け方を経験させてしまった~~! 周囲にいる男子はオーキスを笑うどころか、同情的な目で見ているのが唯一の救いだよ。あ、1人の男子が彼のもとへ向かっている。あれは……試験前オーキスと話し込んでいた貴族の子供だ。

確か…アーバン・クディチス子爵令息だ。
早く彼の股間を【ヒール】で回復させてあげて。
何やら話し込んでいるけど、盗み聞きするのは失礼だよね。

小説ならば、【勇者】であるオーキスが初の学園模擬戦で優雅に勝ち、学園生達に顔を覚えられる展開になるんだろうけど、現実はそう上手くいかないか~~。

オーキスは違う意味で、顔を覚えられただろうね。

「オーキス…悲惨。シャーロット様が先の練習試合で、アドバイスを与えたからですよ」
う、フレヤからの指摘、ごもっともです。

「あはは…ごめん。オーキスにとって、一生記憶に残る試合になったかな?」

「シャーロット、フレヤ。オーキスのことを考えたら、あれでいいかもしれない。この負け方なら、【《騎士団の秘蔵っ子》も所詮は人の子、女の子の放った股間攻撃に一発撃沈!】という笑い話になって、みんなもオーキスと接しやすくなると思うわ」

リーラ、怒るのかと思ったら意外と冷静だ。
その通りなんだけど、オーキスとしては複雑だろうな~。

「リーラ様、駆けつけなくていいんですか?」
「フレヤ…私は行かないよ。オーキスにとっては、いい経験だもの」

リーラ、オーキスのことをきちんと考えてくれている。
ここで伯爵令嬢の彼女が動けば、皆の持つオーキスへの哀れみも霧散してしまう。

「ふ…いい気味よ。オーキスと魔法勝負して【毎回毎回】負かされて、上から見下されるあの屈辱を……あいつも味わえばいいのよ! 負け方も最高だし、良い薬になるわ!」

ちょっとリーラ、本音はそこなの!

「リーラ様……意外と根に持つんですね」

フレヤも、リーラの言動に少し呆れている。

私達4人は、王都王城に定期的に集まって訓練を実施している。最低でも週に1度、模擬戦も行なっているけど、リーラはオーキスに勝ったことがない。試合後、リーラも笑顔で《また負けちゃった》と言っていたけど、内心相当悔しかったのか。

「あ! 私がオーキスを治療したら……やめとく。男子に任せる」

「それが無難です。負傷した場所に問題ありますから。要らぬ誤解を受けてしまいます」

フレヤと同じ意見だよ。あ、オーキスの治療が終わったようだ。オーキスはクディチス子爵令息にお礼を言い、ミーシャのいる場所へ向かう。ここからだと、オーキスの背中しか見えないから、彼の表情がわからない。

あんな負け方をした後、彼はミーシャに対しどんな対応をするのかな? 

「ミーシャ……負けたよ。君はヒーリア先生の戦闘技術だけでなく、シャーロット様の助言も取り入れたんだね。僕も聞いてはいたけど、この模擬戦では動きを阻害すると思い考えないようにしていた。それが、《勝負の分かれ目》だったようだ」

あ、オーキスも気づいたのか、私達受験生にもわかる立ち位置に移動してくれた。
おお、屈辱的な敗北なのに、彼の笑顔が爽やかだ。

「今回…私は勝ったけど…次はわからない」
「次は…僕が勝たせてもらうよ。……もう油断はしない」

おお、互いに握手した。

オーキスにとって辛い敗北を味わったけど、素直に受け入れたことで1歩成長したようだ。まあ、敗北の原因の大半は、【私の行動】にあるよね。

あとで、オーキスに謝罪しておこう。

私達4人の受験はこれで終了したけど、能力判定試験で私とフレヤの邪魔をしてきた奴が誰なのか判明していない。犯人は校舎屋上にいるから、まずは小声でフレヤに事情を説明しよう。

「フレヤ、私とヒーリア先生との試合で、妨害行為があったの。本校舎屋上から私個人に向けて、重力魔法【グラビトン】が放たれたわ」

「え! 全然、気配を感じませんでした! シャーロット様、その者は今も魔法を行使しているのですか?」

彼女は、小声で話す私の言葉に驚きを隠せていない。

「戦闘中、私が魔法を跳ね返したの。今頃屋上で苦しんでいるはず。どうする、今から行ってみる?」

1人だったら間違いなく行くんだけど、相手側も私の情報を持っているはずだ。私の友人達に手出ししてくる場合もある。ここは、ドールマクスウェルに任せるべきかな。

「それはダメです。護衛のドールマクスウェルかドールXXに頼むべきかと」
フレヤも、私と同じ対処方法を選ぶんだね。

「そうだね。2体は何か起きた時のため、訓練場の端に待機させているから、すぐに通信してマクスウェルに屋上へ行ってもらおう」


……オーキスとミーシャの試合後、番号を呼ばれなかった受験生達はその場で解散となった。次、この学園に訪れるのは合格発表日となる3日後だ。解散後、私とフレヤは、オーキスとリーラにお手洗いへ行ってくると言い、人気のない場所で【光学迷彩】スキルで姿を消し、上空100mへと飛んだ。


そして、今日起きた出来事を【グローバル通信機】で国王陛下とヘンデル教皇に伝えた。2人は酷く驚き、詳細な事情を聞きたいと仰っられたため、王城内にある国王陛下の執務室で再度話すことが決定する。ただ、陛下達自身が、私達に何かを仕掛けてきたはずなのに、話した時の2人の声色から、本気で驚いていたことが私にもフレヤにも伝わってきた。

何か手違いが発生したのだろうか?

話を終えた後、私達はオーキスとリーラと合流し一緒に帰ることにした。

それと同時並行して、マクスウェルに屋上へ行ってもらったけど、結果は芳しくなかった。屋上の床には人型の大きな凹みがあるだけで、周囲には誰もいなかったのだ。

私は魔法をスキルで跳ね返す際、魔法を消されないよう、重力魔法のイメージをかなり増幅させている。【凹みがある】ということは、相手に魔法を跳ね返したけど、それを自分の力で打ち破ったことを意味している。あの時、私の魔力も加算しておくべきだった。

私のイメージを打ち破る程の刺客が、国内に存在することだけは確かだ。何者かはわからないけど、相当な手練れだ。国王陛下に聞けば、正体も教えてくれるはず!

リーラをマクレン家別邸へ送り届けた後、王城に行き真意を問い正そう。
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