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10歳〜アストレカ大陸編【旅芸人と負の遺産】
オトギ・ミツルマの目的 《後編》
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オトギさんの目的を聞いた時、私は自分の耳を疑った。
「あなたは、魔物から人間に生まれ変わりたいのですか?」
彼は真剣な面持ちで静かに頷く。
「ああ。俺は元々人間族で生きていた時も合わせると128歳になる」
「128歳!? 私やシャーロットよりも断然歳上!?」
フレヤ、驚くのも良いけど、それ以上言っちゃうとオトギさんも不審がるからやめてね。
「2人なら知っていると思うが、魔物【デュラハン】の生まれ方というのは2タイプある。1つ目、誰かを強く恨んだまま死んだ場合、人はゴーストと化す。その根源となる恨みを保持したまま誰彼構わず人を殺していくと、魔物として進化していき、やがてデュラハンへと変貌する」
うん、これは私もフレヤも知っている。
「2つ目、人が死んだ際の怨み自体が余りにも凶悪であった場合、全ての過程を飛び越え【デュラハン】へと跳躍進化する」
うん、これも知っている。
以前、精霊様から教わった内容と一致しているね。
「俺は……その2タイプのどれでもない。所謂、通常の概念を飛び越えてデュラハンになってしまったんだ」
「「ええ!?」」
どういうこと!?
私も、その2タイプしか知らないよ?
「俺の生まれ故郷は、ランダルキア大陸中央部にある。約120年前、その地域一帯は小さな国家が乱立していて、あちこちで紛争が多発し、《国が滅び、新たな国が生まれる》の繰り返しだった。俺のいた国はその中でも飛び抜けて、治安が悪かった。周囲の人々全てが生き残るため、常に食糧を求めていた。【自分以外は全て敵】と言っても過言ではない。そのせいで、暴力、強奪、裏切りなんかは日常茶飯事だったよ」
そういう状況ならば、恨みを抱いたまま死んでもおかしくないよね?
フレヤも、同じ疑問を抱いたのか首を傾げている。
「俺は衛生環境も治安環境も全て悪い中、16歳までなんとか生き延びることができたものの、結局地域一帯を覆う程の伝染病が発生し、俺も感染して死んだ。ミーシャの村を救いたかったのも、俺の故郷のような悲劇を起こしてほしくなかったからだ」
自分自身が伝染病で死んだのか。ミーシャの村は滅んでしまったけれど、オトギさんが彼女を救出したことで、狂獣病は根絶され、ガーランド法王国は救われた。
【真の救世主】は、オトギさんだね。
「死後、俺は白い霧に包まれた何処かの空間にいた。そして、声だけが俺に語りかけてきた。《あの乱れた国の中でも、君の魂は綺麗だ。転生させてあげたいのだが、君は何を望む》だったかな?」
私とフレヤは、互いに顔を見合わせる。
その声の主って、絶対ガーランド様だ。
「それまでの人生、俺は人の汚い部分だけを目の当たりにしてきた。ただ、その中でも強く記憶に刻み込まれている経験がある。あの時の事は、今でも鮮明に覚えている。当時12歳だった俺は、1人の竜人族と1体のデュラハンと話し合う場面に遭遇した。戦闘の巻き添えを喰らいたくないから、岩陰に隠れじっと眺めていたな。デュラハンは竜人族の男よりも強く、男もそれを瞬時に理解したのか、《正々堂々、スキルと剣だけで勝負しようぜ》と提案し、奴もその提案に乗った事で、剣術だけの戦いが始まった」
流れからすると、竜人族が正々堂々1対1でデュラハンと戦い勝利を収めたのかな?
「俺はその戦いを魅入ったことで、複数の人が自分以外にも潜んでいることに気づけなかった」
うん?
「戦闘中、男がバランスを崩した瞬間、デュラハンが剣を大きく振りかぶる。俺がデュラハンの勝ちだと思った瞬間、突如光属性の魔剣を装備した女4人組がデュラハンの背後にある茂みから姿を現し、剣で奴を刺し貫いた」
正々堂々じゃないよ!?
思いっきり卑怯なんですけど?
「大きなダメージを負ったデュラハンは、どういうわけか魔法を使わず、その後も剣だけで戦闘を続行させた。その後、5人組となった竜人族共は剣も魔法も使い、デュラハンをリンチしたことで勝利を収めることができた。その後の会話こそ、俺にとって衝撃的だった。『お前達に騎士道精神というものはないのか!?』『は、そんなもの生きていく上で必要ない!信じるテメエがマヌケなんだよ。このご時世、信じる奴がバカを見るんだ』『そうよ、そうよ、魔物のくせに馬鹿なんじゃないの。正直に生きていたら、私の両親のように殺されるわ』『あんたの魔石なら高く売れるわ』」
うわ~~、どっちが魔物かわからないよ。竜人族の言い分もわかるけど、見ている側からすれば、【人の醜悪さ】だけが印象に残る。
「日々紛争を続ける国々で生きてきたデュラハン自身も、それは理解しているはずだ。にも関わらず、奴は当初の誓いを破ることなく、戦いを続行して負けた。あの時、俺はデュラハンの精神に惚れたね。《俺の求める人間はコレだ!》と思ったよ」
それにしても、その話の展開で何故デュラハンに転生したの?
「だから、俺は声の主にその経験を話し、デュラハンの精神の素晴らしさを伝えた。そして、『俺は、そういった騎士道精神を重んじる平民か貴族に転生したい』と訴えようとした直前、信じられない言葉が返ってきた」
ちょっと待ってよ。
まさかとは思うけど、この後の展開は……
「『素晴らしい!! 君がデュラハンに対しそこまで深い敬意を抱いていたとは! 実に素晴らしい! デュラハンは負の集合体だが、特別に今の体を素体にして作り上げるか』この言葉を聞いた瞬間、嫌な予感がよぎった。だから、すぐに返答しようと思ったが……『うん、これでいいだろう。通常のデュラハンは光属性に対しやや耐性があるものの、今の身体を素体にしたことで、光属性に対し完全耐性となり回復や浄化魔法も使用可能となっぞ! 君に、《デュラハン改》としての新たな人生を送ろう。頑張りたまえ』と捲し立てられ、俺の意識は反論する前に暗くなり、気づけば何処かの山の中にいた」
ガーランド様~~~、あんた何してくれてんの~~~!
自分の作ったデュラハンが人間に褒められたことで興奮し早とちりして、オトギさんの記憶を保持させたまま【デュラハン】に転生させたんだ~~!!!
もう、最悪だよ!
オトギさん自身が【負の遺産】だったのか!
「シャーロット、ガーランド様を殴りたいわ。顔が変形するくらいボコボコにしたいわ」
「フレヤ……同意見よ」
ガーランド様、人の話を最後まで聞かないとダメでしょうが!
デュラハンに転生したい人間なんているわけないでしょうが!
ああ~殴りたい!
あの神~~~!
「やはり、あの声の主はガーランド様なのか?」
私とフレヤは、静かに頷く。
「はい、その通りです。オトギさんはデュラハンになった後、どう行動したんですか?」
私はデュラハン転生後の彼の行動が気になったので、静かに問い掛ける。
「初めはショックだったが、頭を切り替えて魔物生活を堪能したよ。魔物である以上、人を斬らないとレベルも上がらない。元々、人との戦いに明け暮れていたこともあって、今更俺に躊躇いなど微塵もなかった。幸い、生まれ変わった場所は自分の死んだ場所と近い位置にあった。だから、俺は自分に襲いかかってくる人共の中でも、あのデュラハンを殺した卑怯極まりない冒険者のような連中だけを正々堂々斬りまくった。その中には、あの時のデュラハンを殺した連中もいたな」
ある意味、仇はとったんだね。
「俺は戦いに明け暮れ、ふと気付いた時、周囲一帯には屍の山だけが残り、誰もいなくなっていた。早い話、俺自身が小国全てを滅ぼし紛争を止めていたんだよ」
紛争を無くすくらい戦いに明け暮れていたのか。
オトギさんにとっても、孤独な戦いだったのかもしれない。
「その地域一帯で顔を覚えられたこともあって、俺は穏やかな生活を求め、場所を移動した。俺としては《デュラハン》としてのスキルを活かし、人々の心を和ませ笑わせる職につきたいと思い、《旅芸人》となって多くの手品を大陸各地で披露することにしたんだ」
戦闘ばかりを繰り返していたからこそ、彼の心が安寧を求めていたのかもしれない。
「旅芸人としてずっと生活を続けていたが、定期的に俺に襲いかかってくる連中もいた。当時、人間族のオトギで生活していたんだが、紛争地帯に住む貴族共が俺に多額の懸賞金をかけていたのさ」
紛争をなくすほど暴れたのなら、貴族に目をつけられてもおかしくない。
貴族共に、相当な恨みを持たれていたんだね。
「俺自身、こういった襲撃には慣れているから難なく対処できるんだが、街の人々にとっては脅威と感じてしまう。襲撃以降、皆の態度が必ず余所余所しくもなる。だから、襲撃が起こる度に、俺は街を転々と移動していった。襲撃者達を討伐し、懸賞金をかけた貴族共を根絶やにしていったことで、やっと穏やかな生活に戻れると思ったんだが、どうも俺にはステータスに見えない【災難】スキルがあるようでね。行く先々で、何らかのトラブルに巻き込まれた」
トラブル……もしかして、デュラハンと関係があるのかな?
従魔でもない魔物が人と共存することで、自分自身に不幸を呼び込むのだろうか?
それとも、オトギさんが単にトラブルに巻き込まれやすい体質なのかな?
「トラブルの元となる原因は多種多様で、貴族が主に絡んでいたな。これまでの経験を踏まえ、俺は他者との繋がりを必要最低限に抑えている。あまり親しくし過ぎると、その人達が事件に巻き込まれてしまうからだ」
その方針だと、オトギさん自身の友達も少ないんじゃあ?
彼がデュラハンである以上、恋愛なんて以ての外だよね。転々と移動していく旅芸人だから、深い繋がりも持つ必要性もないのだろうけど、それって寂しくないのだろうか?
「俺は自分の身に降りかかる火の粉に関して、徹底的に叩き潰すことにしている。奴等の本拠地に直接出向き、証拠をあぶり出してから、国に与える影響を度外視して、《貴族》もしくは《組織》自体を壊滅させていった。それを何度も何度も行なっていくと、国の上層部に目をつけられ、終いには俺を暗殺しようと目論む国家も現れた」
オトギさんとしては、降りかかる火の粉を取り払っただけ。
でも、やり方が直線的すぎる!
だから、国に目をつけられたんだ。
「転々と旅を続けながら、襲いかかる火の粉を全て払いのけているうちに、誰も来なくなった。そんな生き方をしてきたせいか、気づけば【蒼青の悪魔】という二つ名が付けられていた。デュラハンになって約100年、魔物であることをひた隠しにしていたせいもあって、ランダルキア大陸内では【エルフ族の変異体】と思われている」
老けることなく、100年生き続けていたらそう思われるよ。
彼は、現状の生き方に疲れているのだろうか?
「シャーロット、俺は人間に生まれ変わって、普通の生活を営みたいんだ。好きな女と結ばれ子供を作り、幸せな生活を築いていき、子供や孫達に見守られながら死にたいんだよ! 人間になれば、柵もできる。俺自身も変われるはずだ。頼む、俺を人間にしてくれ!」
瘴気を基に創られる魔物にも、寿命というものは存在する。ただし、ゴースト族に限り、その常識は当てはまらない。ゴースト族は瘴気と恨みの集合体、完全に消滅させるには、《魔物自身が恨みの根源となる人物を殺し恨みを浄化させる》《誰かに討伐される》、この2つの条件のうち1つを満たせばいいのだけど、ガーランド様が特別に制作したデュラハンであるため前者は論外、オトギさんの強さは戦いに明け暮れたせいもあって、ステータス999を超えている。通常であれば、後者も不可能だ。
故に、不老不死の状態に近い。
彼の熱意も本物だ。
出来れば、オトギさんを人間に種族変更させたい。
しかし、私の構造編集にも、限界がある。
オトギさんのステータスの種族欄には、種族《ゴースト族・デュラハン改》と明記されている。
この【ゴースト】という部分を【ニンゲン】に変更出来たとしても、128歳という年齢のため編集した瞬間、老化で死ぬ可能性が高い。かといって、【デュラハン】の部分を構造編集しても、ゴースト族のままだから意味がない。
構造編集するのなら《ゴースト族・デュラハン改》全体だね。
さて、この問題をどう克服しようか?
「あなたは、魔物から人間に生まれ変わりたいのですか?」
彼は真剣な面持ちで静かに頷く。
「ああ。俺は元々人間族で生きていた時も合わせると128歳になる」
「128歳!? 私やシャーロットよりも断然歳上!?」
フレヤ、驚くのも良いけど、それ以上言っちゃうとオトギさんも不審がるからやめてね。
「2人なら知っていると思うが、魔物【デュラハン】の生まれ方というのは2タイプある。1つ目、誰かを強く恨んだまま死んだ場合、人はゴーストと化す。その根源となる恨みを保持したまま誰彼構わず人を殺していくと、魔物として進化していき、やがてデュラハンへと変貌する」
うん、これは私もフレヤも知っている。
「2つ目、人が死んだ際の怨み自体が余りにも凶悪であった場合、全ての過程を飛び越え【デュラハン】へと跳躍進化する」
うん、これも知っている。
以前、精霊様から教わった内容と一致しているね。
「俺は……その2タイプのどれでもない。所謂、通常の概念を飛び越えてデュラハンになってしまったんだ」
「「ええ!?」」
どういうこと!?
私も、その2タイプしか知らないよ?
「俺の生まれ故郷は、ランダルキア大陸中央部にある。約120年前、その地域一帯は小さな国家が乱立していて、あちこちで紛争が多発し、《国が滅び、新たな国が生まれる》の繰り返しだった。俺のいた国はその中でも飛び抜けて、治安が悪かった。周囲の人々全てが生き残るため、常に食糧を求めていた。【自分以外は全て敵】と言っても過言ではない。そのせいで、暴力、強奪、裏切りなんかは日常茶飯事だったよ」
そういう状況ならば、恨みを抱いたまま死んでもおかしくないよね?
フレヤも、同じ疑問を抱いたのか首を傾げている。
「俺は衛生環境も治安環境も全て悪い中、16歳までなんとか生き延びることができたものの、結局地域一帯を覆う程の伝染病が発生し、俺も感染して死んだ。ミーシャの村を救いたかったのも、俺の故郷のような悲劇を起こしてほしくなかったからだ」
自分自身が伝染病で死んだのか。ミーシャの村は滅んでしまったけれど、オトギさんが彼女を救出したことで、狂獣病は根絶され、ガーランド法王国は救われた。
【真の救世主】は、オトギさんだね。
「死後、俺は白い霧に包まれた何処かの空間にいた。そして、声だけが俺に語りかけてきた。《あの乱れた国の中でも、君の魂は綺麗だ。転生させてあげたいのだが、君は何を望む》だったかな?」
私とフレヤは、互いに顔を見合わせる。
その声の主って、絶対ガーランド様だ。
「それまでの人生、俺は人の汚い部分だけを目の当たりにしてきた。ただ、その中でも強く記憶に刻み込まれている経験がある。あの時の事は、今でも鮮明に覚えている。当時12歳だった俺は、1人の竜人族と1体のデュラハンと話し合う場面に遭遇した。戦闘の巻き添えを喰らいたくないから、岩陰に隠れじっと眺めていたな。デュラハンは竜人族の男よりも強く、男もそれを瞬時に理解したのか、《正々堂々、スキルと剣だけで勝負しようぜ》と提案し、奴もその提案に乗った事で、剣術だけの戦いが始まった」
流れからすると、竜人族が正々堂々1対1でデュラハンと戦い勝利を収めたのかな?
「俺はその戦いを魅入ったことで、複数の人が自分以外にも潜んでいることに気づけなかった」
うん?
「戦闘中、男がバランスを崩した瞬間、デュラハンが剣を大きく振りかぶる。俺がデュラハンの勝ちだと思った瞬間、突如光属性の魔剣を装備した女4人組がデュラハンの背後にある茂みから姿を現し、剣で奴を刺し貫いた」
正々堂々じゃないよ!?
思いっきり卑怯なんですけど?
「大きなダメージを負ったデュラハンは、どういうわけか魔法を使わず、その後も剣だけで戦闘を続行させた。その後、5人組となった竜人族共は剣も魔法も使い、デュラハンをリンチしたことで勝利を収めることができた。その後の会話こそ、俺にとって衝撃的だった。『お前達に騎士道精神というものはないのか!?』『は、そんなもの生きていく上で必要ない!信じるテメエがマヌケなんだよ。このご時世、信じる奴がバカを見るんだ』『そうよ、そうよ、魔物のくせに馬鹿なんじゃないの。正直に生きていたら、私の両親のように殺されるわ』『あんたの魔石なら高く売れるわ』」
うわ~~、どっちが魔物かわからないよ。竜人族の言い分もわかるけど、見ている側からすれば、【人の醜悪さ】だけが印象に残る。
「日々紛争を続ける国々で生きてきたデュラハン自身も、それは理解しているはずだ。にも関わらず、奴は当初の誓いを破ることなく、戦いを続行して負けた。あの時、俺はデュラハンの精神に惚れたね。《俺の求める人間はコレだ!》と思ったよ」
それにしても、その話の展開で何故デュラハンに転生したの?
「だから、俺は声の主にその経験を話し、デュラハンの精神の素晴らしさを伝えた。そして、『俺は、そういった騎士道精神を重んじる平民か貴族に転生したい』と訴えようとした直前、信じられない言葉が返ってきた」
ちょっと待ってよ。
まさかとは思うけど、この後の展開は……
「『素晴らしい!! 君がデュラハンに対しそこまで深い敬意を抱いていたとは! 実に素晴らしい! デュラハンは負の集合体だが、特別に今の体を素体にして作り上げるか』この言葉を聞いた瞬間、嫌な予感がよぎった。だから、すぐに返答しようと思ったが……『うん、これでいいだろう。通常のデュラハンは光属性に対しやや耐性があるものの、今の身体を素体にしたことで、光属性に対し完全耐性となり回復や浄化魔法も使用可能となっぞ! 君に、《デュラハン改》としての新たな人生を送ろう。頑張りたまえ』と捲し立てられ、俺の意識は反論する前に暗くなり、気づけば何処かの山の中にいた」
ガーランド様~~~、あんた何してくれてんの~~~!
自分の作ったデュラハンが人間に褒められたことで興奮し早とちりして、オトギさんの記憶を保持させたまま【デュラハン】に転生させたんだ~~!!!
もう、最悪だよ!
オトギさん自身が【負の遺産】だったのか!
「シャーロット、ガーランド様を殴りたいわ。顔が変形するくらいボコボコにしたいわ」
「フレヤ……同意見よ」
ガーランド様、人の話を最後まで聞かないとダメでしょうが!
デュラハンに転生したい人間なんているわけないでしょうが!
ああ~殴りたい!
あの神~~~!
「やはり、あの声の主はガーランド様なのか?」
私とフレヤは、静かに頷く。
「はい、その通りです。オトギさんはデュラハンになった後、どう行動したんですか?」
私はデュラハン転生後の彼の行動が気になったので、静かに問い掛ける。
「初めはショックだったが、頭を切り替えて魔物生活を堪能したよ。魔物である以上、人を斬らないとレベルも上がらない。元々、人との戦いに明け暮れていたこともあって、今更俺に躊躇いなど微塵もなかった。幸い、生まれ変わった場所は自分の死んだ場所と近い位置にあった。だから、俺は自分に襲いかかってくる人共の中でも、あのデュラハンを殺した卑怯極まりない冒険者のような連中だけを正々堂々斬りまくった。その中には、あの時のデュラハンを殺した連中もいたな」
ある意味、仇はとったんだね。
「俺は戦いに明け暮れ、ふと気付いた時、周囲一帯には屍の山だけが残り、誰もいなくなっていた。早い話、俺自身が小国全てを滅ぼし紛争を止めていたんだよ」
紛争を無くすくらい戦いに明け暮れていたのか。
オトギさんにとっても、孤独な戦いだったのかもしれない。
「その地域一帯で顔を覚えられたこともあって、俺は穏やかな生活を求め、場所を移動した。俺としては《デュラハン》としてのスキルを活かし、人々の心を和ませ笑わせる職につきたいと思い、《旅芸人》となって多くの手品を大陸各地で披露することにしたんだ」
戦闘ばかりを繰り返していたからこそ、彼の心が安寧を求めていたのかもしれない。
「旅芸人としてずっと生活を続けていたが、定期的に俺に襲いかかってくる連中もいた。当時、人間族のオトギで生活していたんだが、紛争地帯に住む貴族共が俺に多額の懸賞金をかけていたのさ」
紛争をなくすほど暴れたのなら、貴族に目をつけられてもおかしくない。
貴族共に、相当な恨みを持たれていたんだね。
「俺自身、こういった襲撃には慣れているから難なく対処できるんだが、街の人々にとっては脅威と感じてしまう。襲撃以降、皆の態度が必ず余所余所しくもなる。だから、襲撃が起こる度に、俺は街を転々と移動していった。襲撃者達を討伐し、懸賞金をかけた貴族共を根絶やにしていったことで、やっと穏やかな生活に戻れると思ったんだが、どうも俺にはステータスに見えない【災難】スキルがあるようでね。行く先々で、何らかのトラブルに巻き込まれた」
トラブル……もしかして、デュラハンと関係があるのかな?
従魔でもない魔物が人と共存することで、自分自身に不幸を呼び込むのだろうか?
それとも、オトギさんが単にトラブルに巻き込まれやすい体質なのかな?
「トラブルの元となる原因は多種多様で、貴族が主に絡んでいたな。これまでの経験を踏まえ、俺は他者との繋がりを必要最低限に抑えている。あまり親しくし過ぎると、その人達が事件に巻き込まれてしまうからだ」
その方針だと、オトギさん自身の友達も少ないんじゃあ?
彼がデュラハンである以上、恋愛なんて以ての外だよね。転々と移動していく旅芸人だから、深い繋がりも持つ必要性もないのだろうけど、それって寂しくないのだろうか?
「俺は自分の身に降りかかる火の粉に関して、徹底的に叩き潰すことにしている。奴等の本拠地に直接出向き、証拠をあぶり出してから、国に与える影響を度外視して、《貴族》もしくは《組織》自体を壊滅させていった。それを何度も何度も行なっていくと、国の上層部に目をつけられ、終いには俺を暗殺しようと目論む国家も現れた」
オトギさんとしては、降りかかる火の粉を取り払っただけ。
でも、やり方が直線的すぎる!
だから、国に目をつけられたんだ。
「転々と旅を続けながら、襲いかかる火の粉を全て払いのけているうちに、誰も来なくなった。そんな生き方をしてきたせいか、気づけば【蒼青の悪魔】という二つ名が付けられていた。デュラハンになって約100年、魔物であることをひた隠しにしていたせいもあって、ランダルキア大陸内では【エルフ族の変異体】と思われている」
老けることなく、100年生き続けていたらそう思われるよ。
彼は、現状の生き方に疲れているのだろうか?
「シャーロット、俺は人間に生まれ変わって、普通の生活を営みたいんだ。好きな女と結ばれ子供を作り、幸せな生活を築いていき、子供や孫達に見守られながら死にたいんだよ! 人間になれば、柵もできる。俺自身も変われるはずだ。頼む、俺を人間にしてくれ!」
瘴気を基に創られる魔物にも、寿命というものは存在する。ただし、ゴースト族に限り、その常識は当てはまらない。ゴースト族は瘴気と恨みの集合体、完全に消滅させるには、《魔物自身が恨みの根源となる人物を殺し恨みを浄化させる》《誰かに討伐される》、この2つの条件のうち1つを満たせばいいのだけど、ガーランド様が特別に制作したデュラハンであるため前者は論外、オトギさんの強さは戦いに明け暮れたせいもあって、ステータス999を超えている。通常であれば、後者も不可能だ。
故に、不老不死の状態に近い。
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出来れば、オトギさんを人間に種族変更させたい。
しかし、私の構造編集にも、限界がある。
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この【ゴースト】という部分を【ニンゲン】に変更出来たとしても、128歳という年齢のため編集した瞬間、老化で死ぬ可能性が高い。かといって、【デュラハン】の部分を構造編集しても、ゴースト族のままだから意味がない。
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