転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護

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7話 ギフト発動、異世界-日本へ出発

冒険者登録も終わり、私たちは身体を休める為、宿屋『犬猫亭』に入りました。ここの主人は、獣人の祖先として知られている野生動物の中でも、犬や猫をこよなく愛する人なので、部屋の中は犬猫グッズが沢山あり、子供であれば、誰もがここでの宿泊に大喜びするだろう。

「うわあ~すっごく可愛い! もふもふなぬいぐるみもいっぱいある! 私にとっては最高の部屋ですけど、ベイツさんにとっては落ち着かないのでは?」

そんな質問に、彼は一笑する。

「心配ない。この宿の主人とは友達で、昔から俺もお世話になっているんだ。どこから情報を聞きつけたのか、『アヤナちゃんとルウリを是非うちの宿に!!』とタブレットに催促メールが届いていた」

あはは、手の早い事で。

「へえ、ちゃんと僕用の鳥籠まで用意されている。うん、精霊に対して失礼のない上質な鳥籠だ。気に入ったよ」

「あとで、御礼を言っておこうね」

家族から見放され、列車の事故で死を覚悟したのに、まさかこんな楽しい展開が待ち受けるなんて、夢にも思わなかったな。

私、生きていていいんだね。
あれ……なんか眩暈が…。

「おっと、大丈夫か?」
「ベイツさん、すい…ません」

私は、フラフラとソファへと吸いこまれる。
正直、立っていられない。身体に、力が入らない。

「無理もない。あの状況下で助かり、ここまで来れた事で、一気に気が緩んだのさ。無理せず、休んだ方がいい」

そっか、この部屋を気に入り、ここで休めると思ったから、気の張りが抜けたんだ。

「そうだね。アヤナ、少し早いけど、眠っている間にギフトを発動させておくよ」
「え…」

ルウリ、突然何を言い出すの?

「心配しないで。ギフト発動中、君の魂だけが24時間限定で日本へ行く。その間、身体は睡眠状態に入る。普通、健常者が24時間以上も寝ていると、皆が心配し、騒ぎになる」

「なるほど。今なら、事故とダンジョンからの緊張状態から抜け出せた影響で深く眠っていると言えば、皆も心配こそするが納得するわけか」

ベイツさん、納得するのはいいけど、私にも心の準備が…。

「そういうこと。現在時刻は午後4時31分。ギフト発動時刻は、翌朝9時。次に目覚めるのは、倉木家の玄関前。心の消耗を僕の魔法で回復させておくから、24時間以内に、誰と交流するか決めるんだ」

唐突に提案されたせいで、頭が全然追いつかない。
段々、眠くなっていく。

「ふふ、いってらっしゃい。到着早々、面白いことになるよ」

ルウリ…何を…。


○○○


膨大な光が私の視界に舞い込み、意識が急速に覚醒していく。目を開けると、目の前に見知った家があることに気づく。

「え、ここは!?」

間違えようがない。
前世、私の住んでいた家だ。
表札に、『七瀬』ってあるもの。

ルウリ、本当にギフトを発動させたんだ。
もう、流石に急過ぎるよ。
身体だって……あれ?
全然、疲れてないし、むしろ頭も冴えてリフレッシュしている?
そういえば、ルウリが心を回復させると言ってたような?

「展開が急だけど、私は24時間限定で、家に帰ってきたんだ」

私の姿が元の七瀬彩奈に戻っているのか不安だけど、何故か身体もあるし、服装も旅行に行った時のもので、全然汚れていない。

「これなら家に入っても問題ない」

インターホンを押そうと思ったけど、ある不安がよぎる。
私が死んでから、何年経過しているの?
みんな、私のことを忘れてないよね?

う~ん、考えても仕方ないし、こっちは本当のことを告げよう。

《ピコン》

今のって、ステータス音?
何かアナウンスがあるってことかな。
とりあえず開いてみよう。

ーーーーー

ルウリだよ。
気分はどうだい?

混乱していると思うけど、ギフト発動中における注意点を下記に記載しておいたから、よ~く読んでから、家に入ってね。

①  特別に用意した生身の身体のため、交通事故などで死亡すると、魂も身体も消滅する。今世の身体も死亡するので、呉々も死なないように。
②  異世界のことを近所の住民に話していいけど、死者が復活したと騒動になりかねないし、君自身が黒歴史継続中と思われるので、その覚悟を持って話そう。
③  彩奈が死んでから15年経過しているけど、時間の流れは異世界と一緒。
④  15年経過している以上、家族に何かが起きていてもおかしくない。覚悟を持って、家へ入るように。
⑤  今は8月10日。日本だと、お盆の時期。

以上、それじゃあ頑張ってね~~~。

ーーーーー

色々と突っ込みたいことがある。
なんで、私のステータスに入れるの?

なんで、日本や七瀬家の事情に精通しているの? そもそも、ベイツさんとルウリに苗字の七瀬については言ってない。

神鳥だから、神様に教えてもらったのかな?

あと、私が死んでから15年経過しているってことは、お父さんは53歳、お母さんは51歳、優斗が22歳だけど、何が起きていてもおかしくない…か。

今更になって気づいたけど、あの災害で、家族全員が亡くなった…なんてことはないよね? こうして《七瀬》の表札がある以上、誰かは必ず生きているはずだ。

「考え込んでも仕方ない。行こう!」

私は覚悟を決めて、インターホンを押す。
ああ、胸がドキドキする。
誰が出てくるんだろう?

「はい、どなた……え!? 嘘……」

あれ、切れちゃった。ていうか、女の子の声だったけど、明らかに子供の声だ。

玄関扉がガチャっと開くと、そこにいたのは私の知らないチャーミングな女の子だった。年齢は、私と同じくらいかな。

完全に、想定外の事態だよ。
これ、どう対応したら正解なの?

「あの…私…七瀬彩奈って…」
「本物だ…写真と同じ服装だ!! 神様が、私の願いを聞き入れてくれた!」
「え?」

状況が飲み込めません。

「お姉ちゃ~~~ん。会いたかった~~」

女の子が、私に抱きついてきた!
お姉ちゃんって……え、この子は私の妹なの!?
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