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5章 猫の恩返し
56話 スパイ捜索活動を開始するわ *ミケーネ視点
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今、私-三毛猫のミケーネは、主催者側のテントにいる。フリード様から課された私の任務、それは[スパイを見つけ出すこと]。元々、ご主人様のコーティング剤を狙うスパイをとっ捕まえることを第一に動いていたのだけど、テンタクルズオクトパスという魔物が絡んだせいなのか、フリード様が…『ここは、同盟国となっている獣人の国ともかなり近いです。現在の周辺諸国との関係次第で、別任務を持ったスパイが乗り込んでくるかもしれません』と言っていたわ。
少し大袈裟に感じたけど、私の住む街は[大樹の暴走][レストラン-クザンの食材偽装][フェルデナンド家の壊滅]に共通して絡んでいるせいもあって、現在注目を浴びている。そこに[フードフェスタ]という大規模イベントがあることで、他国のスパイにとっては街内に比較的侵入しやすい状況となっているみたい。交易都市と呼ばれているこの街に侵入して、国の現状を深く知ろうとしているのかもね。
フリード様は、これまでの旅の最中にも、こういった大きなお祭りに参加し、人と関わったせいで、いくつかの事件に巻き込まれた経験があるみたい。巻き込まれた腹いせで、その原因を探っていったら、国内もしくは国外の大物がどの事件にも絡んでいたとも言っていた。
それを聞いた私は…
[そういった経験談から街を気にしてくれるのはありがたいのですが、猫が人様の情勢に、そこまで介入していいのですか?]
と質問したら・・・彼は高々とこう言い放ったのよ。
《ほほほほ、私は自分の欲求を満たすため、常に自己中心的に動くのです。正直、この国の情勢なんて微塵も興味ありませんよ。ですが、この街の存在の有無に関わるのであれば、話は別です。折り合いの悪い他国の奴らにとって、この街の存在が厄介だと思えば、必ず何らかの横槍を入れてくるでしょう。それで、この街が滅んでしまったら、身も蓋もありません。だから、事を起こされる前に、我々の手で奴らを消せばいいのです》
その話を聞いた時、私はフリード様を心底恐ろしいと感じ、同時に尊敬の念も抱いた。フリード様は、咲耶と御自分と猫たちのためだけに動いている。この国の未来なんて私も興味ないけど、結局のところ、この国が滅びる事態に陥れば、それだけ治安も悪化し、猫も生きにくい環境になってしまう。それを回避するために、私たちはスパイを見つけ出さないといけないのよ。
ただ、スパイ猫の中でも、私が一番優秀ということもあり、フリード様から直々に任命されたのは嬉しいのだけど、コーティング剤の場合、展示箱の設置場所や機密情報の保管されている建物の内部と外部を見張っていれば、産業スパイも見つかると思う。でも、私の場合は、どうやって見つけるの? フリード様に相談したら、『簡単なことですよ。開幕記念の際、あなたは主催者のテントに入っていなさい。あとは、周りが勝手に動くでしょうから、あなたはその中から怪しい人物を見つけ出し、後をつけて何を狙っているのかを探りなさい』と言われたわ。
今のところ、テント内に怪しい野郎はいない。咲耶は、アルバス・オルバインという領主と話し合っているようね。あ、咲耶やベイツ、他の者たちも動き出したわ。そろそろ、式典が始まるのね。テント内の中でも、私は魔物の入っている小型マジックバッグの保管されている区画にいるけど、どう行動しよう? あら、領主たちは移動しているのに、2名の人間だけはここに残っているのね。この人たちって私たち猫の目から見ても、ただのアルバイトのようなか感じにしか見えないのだけど、ここの管理を任せて大丈夫なの?
「全ての小型マジックバッグの点検終了~ギリギリ間に合った~。魔石の状態も良好だ」
こんなギリギリまで、点検していたの?
随分、熱心ね。
「お疲れ~~、あとはイベント参加者たちにこれらを渡せばいいだけだな。露店出店者以外で、今年は何人参加するかな?」
「出来れば、大勢参加してほしい」
「だな。おっと、領主様の挨拶が始まった」
「フェスタの開幕だ。こっちも、気を引き締めよう」
この2人は、マジックバッグを参加者たちに渡す係のようね。バッグ自体も小型で子供でも持てる物だから、テーブルの上には沢山並べられているし、その下にはバッグで埋め尽くされた大きな箱が2つもある。テーブルの端には、2冊のノートが置かれており、ここにバッグを貸した人の名前などを記載するようね。
「皆、よく集まってくれた。天気は快晴、絶好のフェスタ日和だ。今日は大樹マナリオ様の求める社の完成記念式典でもある。4日前、大樹様は巫女-咲耶を通じて、社完成記念として、これまで天候不良とされていた地域一帯に、恵の雨、恵の風、恵みの晴れといった各地域の農民たちの望むものをもたらして下さった。そして、フェスタ開幕日から終了日までの3日間、この街の快晴を約束して下さった。大樹様のためにも、このフェスタを成功させようではないか‼︎」
領主様も、力が入っているわね。咲耶が来て以降、かなり忙しい日々が続いているはずよ。あなたに齎されたもの全てが、この領全体を活性化させるもの。精霊の力なんて早々手に入らないし、個人ではなく、その力を領全体に行き渡らせることなんて、高位の精霊でないと不可能だわ。咲耶、精霊様、フリード様が街に滞在する限り、領主様の評価は、今後もうなぎ登りになるはずよ。
あら? テンタクルズオクトパスの件も話し終えたようね。
咲耶から聞いた事前情報に間違いはないようで安心したわ。
・露店出店者たちは強制参加
・小型マジックバッグに関しては、フェスタ最終日の午後3時までに返却すること
・肉自体の腐るまでの時間が16時間以上であれば、返却を受け付ける。
・16時間を切っている場合、身の返却だけが不可となる。
・返却不可となった肉に関しては、自己責任で処分すること。
・時間の判定に関しては、スキル[解析]で実施する。
領主様の挨拶が終わったということは、いよいよ咲耶の出番ね。
あの子、どんな挨拶をするのかしら?
「次に、大樹の巫女となった咲耶を紹介しよう。彼女がいなければ、この街の存続自体が危うくなっていたことは、記憶に新しいだろう。さあ咲耶よ、皆に言葉をかけてあげなさい」
「は…はい‼︎」
あの子、緊張で手足がおかしなことになっているわよ。
元伯爵令嬢と聞いているけど、外見からだと貴族に微塵も見えないわ。
「た…大樹の巫女となった咲耶と言います‼︎ 大樹マナリオも、今日のフェスタを迎えることができて嬉しいと言っています。その証拠に、東の方向を見てください‼︎」
東? 咲耶の指差す方向を見ると、ここにいる全員が息を飲む。
嘘でしょ? 大樹様と話し合える証拠として、これを見せるの?
こんなの天候を操作させないと、絶対にできない所業よ。
あはは、咲耶もやるわね。即興で思いついたのか、予め話し合っていたのかは不明だけど、この快晴の天気でこれを見せられたら、半信半疑の人々だって、大樹の巫女としての咲耶を認めるでしょうね。
巨大な虹が街の近辺から発生して、スムレット山の方へどんどん伸びていく。こんな神秘的な光景、生まれて初めてだわ。
咲耶のおかげで、私の気分も晴れ渡った。
それじゃあ、スパイ探しの再開といきましょう。
少し大袈裟に感じたけど、私の住む街は[大樹の暴走][レストラン-クザンの食材偽装][フェルデナンド家の壊滅]に共通して絡んでいるせいもあって、現在注目を浴びている。そこに[フードフェスタ]という大規模イベントがあることで、他国のスパイにとっては街内に比較的侵入しやすい状況となっているみたい。交易都市と呼ばれているこの街に侵入して、国の現状を深く知ろうとしているのかもね。
フリード様は、これまでの旅の最中にも、こういった大きなお祭りに参加し、人と関わったせいで、いくつかの事件に巻き込まれた経験があるみたい。巻き込まれた腹いせで、その原因を探っていったら、国内もしくは国外の大物がどの事件にも絡んでいたとも言っていた。
それを聞いた私は…
[そういった経験談から街を気にしてくれるのはありがたいのですが、猫が人様の情勢に、そこまで介入していいのですか?]
と質問したら・・・彼は高々とこう言い放ったのよ。
《ほほほほ、私は自分の欲求を満たすため、常に自己中心的に動くのです。正直、この国の情勢なんて微塵も興味ありませんよ。ですが、この街の存在の有無に関わるのであれば、話は別です。折り合いの悪い他国の奴らにとって、この街の存在が厄介だと思えば、必ず何らかの横槍を入れてくるでしょう。それで、この街が滅んでしまったら、身も蓋もありません。だから、事を起こされる前に、我々の手で奴らを消せばいいのです》
その話を聞いた時、私はフリード様を心底恐ろしいと感じ、同時に尊敬の念も抱いた。フリード様は、咲耶と御自分と猫たちのためだけに動いている。この国の未来なんて私も興味ないけど、結局のところ、この国が滅びる事態に陥れば、それだけ治安も悪化し、猫も生きにくい環境になってしまう。それを回避するために、私たちはスパイを見つけ出さないといけないのよ。
ただ、スパイ猫の中でも、私が一番優秀ということもあり、フリード様から直々に任命されたのは嬉しいのだけど、コーティング剤の場合、展示箱の設置場所や機密情報の保管されている建物の内部と外部を見張っていれば、産業スパイも見つかると思う。でも、私の場合は、どうやって見つけるの? フリード様に相談したら、『簡単なことですよ。開幕記念の際、あなたは主催者のテントに入っていなさい。あとは、周りが勝手に動くでしょうから、あなたはその中から怪しい人物を見つけ出し、後をつけて何を狙っているのかを探りなさい』と言われたわ。
今のところ、テント内に怪しい野郎はいない。咲耶は、アルバス・オルバインという領主と話し合っているようね。あ、咲耶やベイツ、他の者たちも動き出したわ。そろそろ、式典が始まるのね。テント内の中でも、私は魔物の入っている小型マジックバッグの保管されている区画にいるけど、どう行動しよう? あら、領主たちは移動しているのに、2名の人間だけはここに残っているのね。この人たちって私たち猫の目から見ても、ただのアルバイトのようなか感じにしか見えないのだけど、ここの管理を任せて大丈夫なの?
「全ての小型マジックバッグの点検終了~ギリギリ間に合った~。魔石の状態も良好だ」
こんなギリギリまで、点検していたの?
随分、熱心ね。
「お疲れ~~、あとはイベント参加者たちにこれらを渡せばいいだけだな。露店出店者以外で、今年は何人参加するかな?」
「出来れば、大勢参加してほしい」
「だな。おっと、領主様の挨拶が始まった」
「フェスタの開幕だ。こっちも、気を引き締めよう」
この2人は、マジックバッグを参加者たちに渡す係のようね。バッグ自体も小型で子供でも持てる物だから、テーブルの上には沢山並べられているし、その下にはバッグで埋め尽くされた大きな箱が2つもある。テーブルの端には、2冊のノートが置かれており、ここにバッグを貸した人の名前などを記載するようね。
「皆、よく集まってくれた。天気は快晴、絶好のフェスタ日和だ。今日は大樹マナリオ様の求める社の完成記念式典でもある。4日前、大樹様は巫女-咲耶を通じて、社完成記念として、これまで天候不良とされていた地域一帯に、恵の雨、恵の風、恵みの晴れといった各地域の農民たちの望むものをもたらして下さった。そして、フェスタ開幕日から終了日までの3日間、この街の快晴を約束して下さった。大樹様のためにも、このフェスタを成功させようではないか‼︎」
領主様も、力が入っているわね。咲耶が来て以降、かなり忙しい日々が続いているはずよ。あなたに齎されたもの全てが、この領全体を活性化させるもの。精霊の力なんて早々手に入らないし、個人ではなく、その力を領全体に行き渡らせることなんて、高位の精霊でないと不可能だわ。咲耶、精霊様、フリード様が街に滞在する限り、領主様の評価は、今後もうなぎ登りになるはずよ。
あら? テンタクルズオクトパスの件も話し終えたようね。
咲耶から聞いた事前情報に間違いはないようで安心したわ。
・露店出店者たちは強制参加
・小型マジックバッグに関しては、フェスタ最終日の午後3時までに返却すること
・肉自体の腐るまでの時間が16時間以上であれば、返却を受け付ける。
・16時間を切っている場合、身の返却だけが不可となる。
・返却不可となった肉に関しては、自己責任で処分すること。
・時間の判定に関しては、スキル[解析]で実施する。
領主様の挨拶が終わったということは、いよいよ咲耶の出番ね。
あの子、どんな挨拶をするのかしら?
「次に、大樹の巫女となった咲耶を紹介しよう。彼女がいなければ、この街の存続自体が危うくなっていたことは、記憶に新しいだろう。さあ咲耶よ、皆に言葉をかけてあげなさい」
「は…はい‼︎」
あの子、緊張で手足がおかしなことになっているわよ。
元伯爵令嬢と聞いているけど、外見からだと貴族に微塵も見えないわ。
「た…大樹の巫女となった咲耶と言います‼︎ 大樹マナリオも、今日のフェスタを迎えることができて嬉しいと言っています。その証拠に、東の方向を見てください‼︎」
東? 咲耶の指差す方向を見ると、ここにいる全員が息を飲む。
嘘でしょ? 大樹様と話し合える証拠として、これを見せるの?
こんなの天候を操作させないと、絶対にできない所業よ。
あはは、咲耶もやるわね。即興で思いついたのか、予め話し合っていたのかは不明だけど、この快晴の天気でこれを見せられたら、半信半疑の人々だって、大樹の巫女としての咲耶を認めるでしょうね。
巨大な虹が街の近辺から発生して、スムレット山の方へどんどん伸びていく。こんな神秘的な光景、生まれて初めてだわ。
咲耶のおかげで、私の気分も晴れ渡った。
それじゃあ、スパイ探しの再開といきましょう。
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