邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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1章 テルミア王国 王都編

王への謁見

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気付くと、そこは教室ではなかった。どこか広い地下室?かな。私の周りにはクラスメート達がいて、直径10mほどの円形の台座の上に私達はいる。そして、台座の外側におそらくだけど、姫・大臣・魔法使い・騎士達、総勢10名程がいて、全員喜びを分かち合っていた。

「姫様、勇者召喚成功です。おめでとうございます。」
「ええ、ガロット、成功しました。これで、他の国々も喜んでくれるでしょう。」

姫様、年齢は私達と同じくらいか、癒し系美人だ。ガロット、年齢は40代、見た感じ魔法使いかな?本当に異世界召喚だったか。周りを見ると、何人か気付きだしてる。全員が気付く前に、少しでも情報を収集しなくちゃ。こういう時こそ、冷静になって対処しないと、ネット小説でも大抵の主人公は皆んなそうしてるしね。て、あれ、異世界の言葉が理解できる。もしかして、召喚時に、私達の中に異世界の言葉が組み込まれたのかもしれないわね。なんせ、女神が関わっているからね。

そうそう、確かステータスとかいうと、自分だけに数値が見れるんだよね。小声で言おう。

「ステータス」

あ、出てきた。ふと思ったけど、ネット小説じゃあこういう展開の時、必ず役立たずがいるのよね。それに、ここに来る直前に聞いたあの声、嫌な予感がするな。私は、そっと自分のステータスを見た。すると、

名前    清水 茜
年齢    16
レベル    1
攻撃     77
防御     60
素早さ    76
運        0
魔力     100

スキル               無能
ユニークスキル  フリードリーム

称号     女神から嫌われし者
女神からの一言  
    下級兵士は平均能力値150なのよね~。
    あなた以外は、全員最低でも300以上あるよ。残念、役立たず!

----的中した~!私が役立たずか。この一言は余計よ。スキルの無能て何よ、ふざけてるの。落ち着こう、まだわからないわ。もしかしたら、すべてのスキル・魔法を無にするとかいうチートスキルかもしれない。そうだ、こういう時、そこに触れたりすれば、説明が出てくるはず。よし表示された。


無能  
   このスキルを持っている者は、どんな血を滲むような努力をしようとも、
   何も獲得することができない。

フリードリーム    
   自分の精神世界でのみ、どんな事でも出来る。
 
女神から嫌われし者 
    女神に嫌われているため、絶対に幸せになることは出来ない。


---ふざけるなー!、どこから突っ込めばいいのよ。私が何をした!召喚されて早々、死ねと言っているようなものだ。無能て、そのままの意味なの。女神に嫌われたら、どうしようもないじゃない。しかもユニークスキルも役立たずだわ。こんなもの、誰だって出来るわよ。いきなり詰んだし。普通なら、このユニークスキルがとんでもないものだったりするのに、これじゃあ動きようがない。みんなが気付いた!姫からの説明が始まるみたいね。

「異世界の皆様方、この世界スフィアタリアへようこそ。私は、テルミア王国第一王女マリア・テルミアと言います。」

みんなが戸惑っている時、桜木君が一歩踏み出した。

「俺は、桜木春人と言います。俺達は、異世界に召喚されたという事ですか?」
「はい、詳しくは我が国の王がお話し致します。」

みんなが騒ぎ出そうとしていたが、桜木君が一喝したことで、全員冷静になれたようだ。渋々ながら、王の間へ移動する事になった。みんなは、どんな能力を得たのだろうか、気になる。少なくとも、私よりマシだろう。どう行動したらいいのかわからない。とにかく様子を見よう。一度でも選択を間違えたら死ぬわね。王の間へ到着した。王は予想通り、私達より高い位置にいて見下ろしている。やはり王だけあって、威圧感がある。見た感じ、カリスマ性も高そうだ。

「異世界の者達よ、私がこの国の王、ファンス・テルミアだ。此度は無理に召喚したことをお詫びする。本当に申し訳ない。」

あれ、予想外だわ。小説では、王様は傲慢な奴で、私達の事を戦争に利用するためだけに呼んで、奴隷の腕輪をはめ込んだりするはずだけど、本当に心から謝罪してるわ。みんなも驚いてるわね。

「皆、私に文句を言いたいだろう。だが、その前にこちらの状況を説明するので聞いてもらいたい。」

桜木君が返事をしてくれた。

「本来なら、色々と言いたい事もありますが、まずは王様の話をお聞きしたいと思います。」

「うむ、感謝する。君達を召喚した理由は、ただ1つ。数年後に復活すると言われている邪王を復活する前に再封印してもらいたい。邪王を再封印するには、勇者だけが装備できる聖剣が必要なのだ。」

「王様、発言を、お許し頂きたい。俺は桜木春人と言います。つまり、その聖剣を装備できるのは、異世界からの召喚者の中の誰かということですか?」

桜木君も、単刀直入に聞くなー。私だったら不敬罪適用されて、その場で処刑だったかもね。運0だし。

「理解が早くて助かる。そうだ、この異世界召喚は、邪王が蘇る時期に合わせて行っている。およそ、100年おきに邪王の封印は弱まり、その都度、聖剣で再封印してもらっているのだ。無論、成功した後は、召喚者達を元の世界に戻す算段となっている。」

ネット小説とは違うわね。でも、信用できるかは、現時点では何とも言えないわね。それにしても、魔王じゃなくて邪王か。みんなも不思議に思ってるわね。あ、竜崎君がなんか言いそうだ。

「なあ王様、倒すんじゃなくて再封印でいいの?」

「王に向かってなんて言い方を。」「あいつを牢屋に」

周りが騒ぎ出した。普通、王様にあんな言い方したら不敬罪だものね。竜崎君は、知ってか知らずか、嫌な笑い方をしている。

「よい、皆の者、落ち着け。そうだ、再封印だ。邪王を聖剣で倒す事は可能だ。だが、500年前の戦いにおいて、世界が滅亡の危機にさらされた。邪族によって人が死ねば死ぬ程、邪王は強くなる。その時点で、途轍もない強さだった邪王だ。恐らく戦えば、たとえ勝てたとしても、全種族において大打撃を喰らうだろう。それは避けたい。文献によれば、封印はできたものの、当時の人口の1/4が死滅したそうだ。」

「マジかよ。なるほど、納得したわ。あと1つ、魔王は倒さなくていいのか?」

竜崎君はアホなのかな。ほら、周りがもっと騒ぎ出した。状況を読みなさいよ。魔王という言葉がでてこない時点で、なんとなく想像つくでしょう。

「こいつ、魔王様に何という不敬を、王、この竜崎という男を今この場で切り捨てるべきです。」

ちょっと、切り捨てるはやり過ぎでは?竜崎本人も、かなり焦ってるわね。

「おい、ちょっと待ってくれ。俺達の世界では、人や動物を苦しめるのは魔族、その親玉が魔王というのが常識なんだよ。悪かったよ、こちらでもそうなんだろと思い込んじまった。」

この発言に、一応皆納得してもらえたみたい。

「竜崎と言ったな。今回だけは許そう。だが、次に魔王様や魔族を馬鹿にするような発言をした場合、いかなる理由があろうとも、公開処刑にする。いいな!」

えー、この世界の魔族の立ち位置がわからないわ。言い方からすると、私達人間よりも、かなり高貴な位置にいるのは間違いないわね。

「悪かったよ。次からは発言に気をつける。」

これには、竜崎も驚いたみたいね。あ、桜木君が動き出すみたいね、

「王様、内容は分かりましたが、私達にそんな能力があるとは思えないのですが?」

「異世界からの召喚者には、女神さまから特別な能力を授かっているはずだ。今日は召喚されたばかりだから、まずは自分の能力を把握することに専念しなさい。ステータスオープンと言えば、自分だけに見れるはずだ。マリアよ、召喚者達を個別の部屋に行かせなさい。明日、能力の事で話し合おう。」

こうして、私達25人は各々の部屋へと案内された。なんでも、召喚者用の部屋があるらしい。

そして、今、私は部屋の中で1人でいる。

やばい、どうしよう。明日になったら、間違いなく城から追い出される。誰か、『強奪』とかいうスキルで、無能を奪って欲しい。そんな都合のいい展開はないだろうな。憂鬱だ。せめて、この世界の常識を教えてもらってから町に出たいな。懇願するしかないか。
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