邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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2章 テルミア王国 スフィアート編

ギガントリザードとの戦い

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○○○  ロイ・クロットス  視点

さて、俺の相手はギガントリザードか。面白い、これまでなら剣撃は互角だった。だが、奴はあの図体で素早い上に、土と震の邪法を使ってくるから厄介だ。俺1人なら、確実に殺されている。今はどうかな?

「ロイ、戦う前に言っておきたい事があるの。」
「なんだ、ヒミカ、手短に言え!」

「昨日の夜、ベランダでサーシャと何を話していたの?」

おい、戦う直前に何て事を口走るんだ!冷や汗が出やがる。

「な、何の事かな?」
「とぼけても無駄。ずっと後ろの壁から、そっと見ていた。後で、お仕置きね!」

「おい、今、言うことないだろ。」

最悪の心境で、こいつと戦うのかよ。
あ、ウィルも今こんな気持ちか。すまん、悪かった。

《ヒュ~~~~~》

その時、頭上から変な音がした。上を見ると、大きな岩が降ってきた。

《ドゴーーーーーン》

「うおおお~~~、危ねー!」
「ロイ、大丈夫?」

「大丈夫じゃねえよ!ヒミカが余計な事を言うから、反応が遅れたじゃねーか。」
「ロイ、言い訳だめ。」

くそ~~、リズムが狂いまくった。

「ヒミカ、『魔力纏い』だ。」
「大丈夫、もうやってる。」

おい!

落ち着け、今は戦闘中だ。ツッコミなんかしたら、俺がギガントリザードに殺られる。
ふー、よし、いくぞ!


あの野郎、怪我は負っているものの、かなり余裕があるな。こちらも臨戦態勢だ。ウィルのように属性付与までは出来ないが、今の俺の出来る限りの『魔力纏い』を出した。ギガントリザードを見ると、やはり薄くではあるが邪力を纏っている。なるほど、同じ邪族でも強さが異なるのはそういう訳か。感謝するぜ、サーシャ、お前に教えてもらったあの力も役立てそうだ。

「かあーーーーー」《ドン》

ち、仕掛けてきたか。だが、ダッシュスピードが遅く感じる。俺が『魔力纏い』で強化されたからか。これならいける!

「おらー」

《ギーン》
お互いの剣と剣がぶつかりあった。そこから、互いに剣撃を幾度も重ね合わせたが、有効打が与えられていない。そして、僅かな隙を突き、懐に潜り込み、野郎の脇腹を斬った。

「がああ~」

これは効いたようだな。まだまだいくぜ。途中、岩石がいくつも飛んできたりもしたが簡単に避けていき、再度懐に潜り込んだ。

「もらった~~」

再度、腹を斬ろうとした瞬間、バランスを崩した。なんだと、バランスを崩すものなど無かったはずだ。足を見た瞬間、不自然な大きな窪みがあった。やられた!不味い!

「ぐわ~~~!」

くそ、バランスを崩したところで、容赦なく剣を振り下ろしてきた。

《ガーーーン》
「ロイ!!!」

俺は、地面にめり込んだものの、何とか盾で防いだ。危ねー、ギリギリだった。急いで態勢を立て直し、一旦下がった。

「ヒミカ、大丈夫だ。懐に入った時に油断しちまった、すまん。それより、あれの準備は出来たか。」

「無事でよかった。ええ、大丈夫、準備出来てる。」

「よし、やってくれ。
「いきます、『グラビティ』」

時空魔法『グラビティ』、昨日初めて聞いた時は驚いたぜ。重力を操る事で、相手を鈍らせる魔法か。合体魔法を成功させた後、ステータスを確認すると、新しく時空魔法を獲得したらしい。

ギガントリザードも気付いたようだな。明らかに、動きが鈍くなった。
さあ、反撃といくぜ!

「うおー」
「がああああ~~~」
「は、遅え、オラオラオラオラ~~」

ギガントリザードの腕、足、腹、至る所を斬りつけた。だが、5度目の斬撃をした所で、

《ギ~~ン》

なんだ、この音は?剣を見ると、剣と脇腹の間に岩石があった。いつの間に?

「ロイ、危ない!」

ちい、剣が俺の目の前に迫ってきたが、ギリギリのところで躱せた。ギガントリザードの身体が薄い岩に覆わていく。あの野郎、ウィルと同じで邪力に属性付けて纏っていやがる。グラビティの影響下だから、防御を高めたのか。なら、こちらは攻撃を高めるまでだ。俺は、剣に魔力を集め水属性と震属性を加えた。サーシャから教わった奥手の一つ『ウォータープレスブレード』だ。圧縮させた水に回転と振動を加える事で、攻撃力を大幅に強化させる。

む、あの野郎、何か仕掛けてくるな。盾を装備している左腕をこちらに向けてきた。身構えた途端、盾が回転しながら飛んできやがった。剣でなんとか弾いたが、盾が回転を止めず、俺達に襲いかかってきた。

「ヒミカ、シールドを張っておけ。あの魔法の準備をしておけ。」
「でも、グラビティが」

「解除して構わん。」
「その間、時間稼ぎをしておくぜ。あわよくば倒す。」
「うん、わかった。」

それにしても、あの野郎、前に戦った時はこんな隠し玉持っていなかったはずだ。個々によって強さが違うという事か。『ウォータープレスブレード』を覚えておいて良かったぜ。なかったら、俺の胴体は剣ごと切断されていたな。む、盾を左腕に戻した。グラビティが解除されたことに気づいたか!

「ぐわ~~~」

ついに本気になったな。やはり属性付き邪力を纏ったせいで、さっきより断然速い。そうこなくちゃな。

「おらー、いくぜー!」

剣と剣がぶつかり、今度は膠着状態となった。強い、だが邪力の纏い方が甘い。その剣と盾、斬らせてもらうぜ。奥の手の一つ『心眼』を使った。あの時、ベランダでサーシャと話して正解だった。俺は、もっと強くなりたい。そうヒミカを守れる強さが欲しいとサーシャに打ち明けた。あいつは真剣に聞いてくれて、俺に『ウォータープレスブレード』と『心眼』を教えてくれた。


『ウォータープレスブレード』は、極めればギガントリザードを一刀両断させる力があるらしいが、さすがにそこまでは至っていない。状態維持させるだけで、かなり疲れる。

『心眼』は、異世界の召喚者だけが持つユニークスキルなみに強い。元々このスキルは、俺自身に潜在的に備わっていたものらしい。鍛えれば、生物無生物問わず、相手の弱点を知ることが出来る。だが、こちらも開眼して間もないため、無生物の弱いところはわかるが、生物となるとまだまだ修行が必要だ。しかも、現時点だと瞬間的にしか使えないため、使い所が難しい。今が、使うべき時だな。


「悪いな、ギガントリザード、その剣と盾が邪魔だ。はあ~~」

ギガントリザードの剣と盾を斬り刻んでやった。予想通り、驚いて隙だらけとなった。再度、スキルを使った瞬間、目に痛みを感じたが、腹の最も弱いところが見えた。

は、戦闘中にスキルのレベルが上がったか!だが、このスキル、現状だと、1度の戦闘で2回の使用が限界だな。

俺は、そこに全力の一撃を刺し込んだ。

「ぐ、ぐ、かあー」

奴が崩れ落ちた。急いで剣を抜き、その場を離れた。

「今だ、ヒミカ!」
「はい、『ミスリルアサレイションソード』、いけ~~!」

魔法『ミスリルアサレイションソード』、ヒミカが考えた新型魔法だ。細く砕かれたミスリルにヒミカの魔力を付与し、そこに雷・震の属性付与を行い、ミスリルを極限まで回転振動させる。付与されたミスリルは長さをある程度調節でき、今は蛇のようにしなっている。そして、ギガントリザードに向かって動き、縦横無尽に何の抵抗もなく斬り刻んだ。恐ろしい威力だな。

「なんとか勝ったな。俺の方は、まだまだ修行が必要か。」

「そんな事ない、ロイも凄かった。私の場合、あの魔法を使う時だけ、制御維持が凄く大変だから隙だらけになる。お互いまだまだだね。」

「確かにな。さっきの魔法は、合体魔法と違うのか?」

「全然違う。あの魔法は、ミスリルという大きな土台に雷と震属性を一時的に付与しただけの無属性魔法、制御は難しいけど、合体魔法程ではないの。合体魔法は、土台すらないから、全てを自分でイメージし制御しなければならない。それが出来なかったから、今まで苦労した。」

「成る程な。どちらにしても、凄い事に変わりはない。」

「ロイ、あの2つの魔法とスキル、サーシャに教えてもらったの?」

「ああ、昨日ベランダで話しをして、訓練場に行って教えてもらった。もっと強くなって-------を守りたいからな。」

「最後、なんて言ったの?」

恥ずかしくて言えるか!

「さ、さあ、ウィルも終わったみたいだから、合流しようか。」
「ふふ、----ありがとう。」

今なんて言った?小声で聞こえなかったぞ。

「なんか言ったか?」
「ううん、なんでもない。」

よし、こっちの任務は、これで終了。あとは、掃討戦とボスを残すのみだ。
バーンさん、頼んだぜ!
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