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3章 ガルディア帝国 マルコ遺跡編
ゾンビハウス攻略-6 束の間の休息
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サーシャ視点に戻ります。
○○○
地下だから下水道を想像したけど、普通に人が掘ったかのような地下道だった。部屋もいくつかあったけど、何故か刀ばかり置いてあった。多分、刀のコレクターなんだろう。ただし、屋敷の主人の目利きはゼロだ。殆どがガラクタばかり、いくつか優秀な物があったからもらっておいたけどね。
あー、早く地上に戻ってお風呂に入りたい。地下に落とされてから、戦うのはネズミのゾンビばかり。余りに数が多いので鬱陶しいから、途中から聖属性を纏った衝撃波だけで、手当たり次第に浄化しまくっている。ただ、数が少しずつ減少しているのはわかるんだけど、それでも多過ぎるから、最後は聖属性を纏った『威圧』で全匹浄化してやった。一体、何匹いたのだろうか?
《屋敷敷地内のゾンビが全て一掃されました。このまま任務を続行しても意味がないので、第1任務クリアとみなします。10分後、第2任務の入口に転移させます。》
お!ゾンビを全て浄化しても、任務クリアになるんだ。ネズミのゾンビも、全部浄化したら全く出てこないから、もしかしたらと思ったけど、これで地上に戻れる。まあ、ゾンビがいなくなったら、脱出する醍醐味が激減するからね。多分、ゾンビハウス作った奴も、一応裏設定でクリア条件に入れていたんだろう。フィン達と合流して、情報交換しておこう。さて、次の第2任務は何かな?今度は街からの脱出とか、誰かを救出しろとかだろうか?
あ、転移が始まった。やっと合流だ。
----転移先には、全員集合していた。
「ふー、やっと合流出来たわね。」
「にゃ!し、師匠、な、なんかネズミ臭いです。」
フィンだけでなく、イリス、ジン、リッカも鼻を押さえている。あれだけの大群がいたら、そりゃ臭いでしょうね。私だってわかっているわよ!
「仕方ないでしょ。地下に落ちたら、ネズミゾンビの大群がいたのよ。そりゃあ臭くなるわよ。イリスも落とし穴に落ちてたら、ネズミまみれになっていたのよ。」
その途端、イリスの顔が真っ青になった。
「いやー!お姉様!、助けてくれてありがとうございます。ネズミは大の苦手なんです。」
「じゃあ、もし落ちてたら、イリスゾンビになっていたわね。あら?その小太刀どうしたの?魔剣じゃなくて、魔刀じゃないの。」
「お姉様、あの実は-----」
イリスから事情を聞くと、フィンが無茶をしたようね。5人抜きね、しかも最後の相手はフィンより格上か。
「フィン、強くなるためとはいえ、無茶は駄目よ。死んだら、そこで終わりよ。まあ、でもよくやったわ。確かに、ゾンビハウス手前で確認したステータスより強くなっているわ。」
ご褒美として、頭を撫でてやった。
「えへへ、師匠、ありがとうございます。最後の試合のお爺ちゃんゾンビにもお礼を言われました。」
え、お礼!自我が残っているという事は、魂が身体の中に留まっているということ。つまり、ゾンビハウスのゾンビ達は元人間で、どこからか拉致されたということだ。そして、拉致された後、邪族達に捕まらず、自我を多少残しつつ設定をやらされていたということか。始めに話しかけられた庭園の侍ゾンビは、自我が残っていたのか設定なのかは微妙なところね。
「なるほど。そのゾンビは、魂が身体の中に残っていたのでしょうね。フィンが勝ったことで、設定から外されて、自我が完全に解放されたんだわ。だから、お礼を言ってくれたんでしょう。良くやったわね、フィン。」
「はい!」
もしかしたら、次の任務の敷地内にも、魂をゾンビに中に宿した人がいるかもしれない。注意しておきましょう。なんとか設定だけを除去して、何があったのか聞いておきたいところね。それが出来れば、いちいち、他人の家に潜り込んで手掛かりを探す必要がなくなるかもしれない。
「そうそう、イリス、その魔刀の限界まで聖属性の魔力を込めてみなさい。そうすれば、魔刀の魔力とイリスの魔力が重なって強力な聖刀になるわ。ゾンビハウスが終わったら、もっと強力にしてあげる。」
「はい、早速やってみます!」
イリスが聖属性の魔力を魔刀の限界まで込めると、魔刀は黒く光り輝いてから、徐々に青白く光り輝くようになり、光は収まった。
「うわ~、お姉様、凄く綺麗です!」
「それが、本来の小太刀【十六夜】なんでしょうね。」
さて、周辺にはゾンビはいない。森の中、1本道が続いている。ここを歩けということね。そうだ、先に情報を聞いておこう。
「ジン、私が落ちた地下はネズミだらけで、屋敷に関係する情報は一切なかったけど、そっちは何かあった?」
「はい、いくつか重大な事がわかりました。」
ふーん、ジンから聞いたこと、私が考えた仮説をまとめると、こんな感じかな。
ジンから聞いた情報
1) ゾンビ達の中には魂を宿した者もいて、未来永劫囚われの身となっている。
2) 聖属性で浄化する事で、その身をゾンビハウスから解放出来る。
ここから私の仮説
1) ゾンビハウスの人間や動物は、何かが原因でゾンビになった。ただ、日本でゾンビになったのか、ゾンビハウスに隔離されてからゾンビになったかが不明。多分、後者だと思う。
2) ゾンビハウス内の全てのものは、地球の日本から搾取したものである。
3) ゾンビハウス内にある全てのものをどうやって調達したのか?おそらく、範囲設定した土地にある緑、建物、人間全てを大規模召喚した可能性が高い。
4) 大規模召喚した奴は、黒幕と大きく関わっている可能性大。
こうなると、ゾンビハウス自体を浄化させないといけないんだけど、多分スフィアタリアとは異なる異空間にあるわね。第1任務の屋敷は、比較的規模が小さく、なんとか全員浄化出来たけど、これからは規模が大きくなる可能性が高い。そうなると、この第2任務の空間自体を把握して、空間そのものを浄化させればいいんだけど、それだと魔法を使わないといけない。あ、でも空間内では魔法使用禁止だけど、空間外では魔法を使っても問題ないはず。それなら、手があるわ。ふふふふ。
ただ、失敗した場合は、第1任務の時と同じように全員浄化が確実か。これは、やるしかないわね。
「みんな、まずは第2任務の内容を知りましょう。ここを歩いて行けば、看板が見つかるはず。」
しばらく道伝いに歩いて行くと、木々がなく見晴らしの良い場所に出た。そこから見える風景は圧巻だった。今いるここは、山の中腹、下には広大な城下町があった。そして城下町の奥に大きな城があった。おいおい、規模が大き過ぎるよ。
「うわ~、凄い風景!さっきの屋敷と全然違うね。サーシャ様、あの奥の大きい建物はなんて言うの?」
「あれは城というのよ。城には、この辺り一体を治める領主が住んでいるわ。そして、城周辺に広がっている町を城下町というの。当然、多くの人間が住んでいるわ。あら?リッカ、貴方、怖くないの?第1任務の時は、震えていたじゃない。」
「始めは、何か得体の知れない感覚がしたけど、もう慣れました。敵も、ただのゾンビだし。」
「そう、第2任務からは大丈夫そうね。」
それにしても、これだけの広さを召喚したら、当時の日本の人達は、城下町と城が一夜で忽然と消えた事になるから大騒ぎになっているはず。授業で習ってはいないけど、昔から行方不明者が出て発見出来なかった場合、【神隠しにあったんだよ】と聞かされていたけど、行方不明者の一部は本当に異世界に召喚されていたのね。しかも、何百年も前から、異世界召喚がなんの理由もなく理不尽に行われていたんだわ。
許せないわ!黒幕やゾンビハウスを作った奴を必ず見つけ出して、八つ裂きにしてやる!
《バチバチバチビリビリビリ》
「あ、あ、あのサーシャ様、魔力を」
「ひ~~!サーシャ様、怖いよ~~。魔力を抑えてよ~~。」
「し、師匠」
「お姉様、魔力を抑えて下さい。」
あ、いけない!完全に漏れてたわね。
全員、身震いしている。
「ごめんごめん、余りに理不尽に異世界召喚した奴がいると思うとね。-----出会った瞬間八つ裂きにしてやろうと考えたら、少し魔力が漏れちゃったわね。」
「師匠、私達を巻き込まないで下さいね。」
「ごめんごめん、気をつけるわ。さて、ここは敷地外だからゾンビもいないようね。フィンも疲れているだろうから、今日はここで休みましょう。リッカ、ジン、おやつ食べながらで良いから周辺を偵察してきてくれない。看板があったら、任務内容を見ておいてね。」
ジンとリッカにおやつ(肉まん)と飲み物を渡し、探索に行ってもらった。
「今日は、ここで野宿しましょう。。」
「し、師匠、このおやつ激ウマです。何個でも食べれます。」
「お姉様、この肉まんというのは何なんですか?凄く美味しいです。ああ、疲れが癒されます。」
肉まん、評判が良いわね。研究しておいてよかった。この味を出すのに、結構苦労したんだから。
「喜んでもらえて、なによりよ。この肉まん、再現するのにとても苦労したのよ。スフィアートにある調味料を買いまくって、研究しておいたの。あと1個ずつならあるけど欲しい?」
「「欲しいです!」」
即答ですか。
「あ、そうだ!師匠、転移の直前に屋敷の主人の部屋らしき所で、アイテムを手に入れました。ただ、読んでいる暇もなくて、取り敢えず手当たり次第アイテムボックスに入れておいたんです。邪魔にならない所に出しておきますね。」
フィンが出したものは、書類の山だった。書類を見てみると、子供部屋日記同様、異世界の言葉に翻訳されていた。内容の大半が、契約書や納品書、出納帳だった。あれ、漆塗りの箱がある。普通に開けれるわね。中を見てみよう。
これは------盟約書!
【私、出水弦一郎は、第1任務のボスとして君臨することを誓います。任務を放棄した場合、私の魂は邪王様にお渡しします。】
確か、フィンの話だと、5人抜き終了後、筋肉モリモリの自我を持った商人ゾンビ(Sランク)が現れたと言ってたわね。多分、挑戦者が5人抜きを達成するとは思わなかったんでしょうね。でも、フィンがやってしまい、小太刀【十六夜】が持って行かれると思い、任務を放棄してまで駆けつけて、ジンに瞬殺されたわけか。この屋敷の住人達は可哀想だけど、主人だけは救いようのない馬鹿ね。
-----夕食後、例の如く全員が満足顔となっていた。ちなみにメニューは、日本風でいうと、青椒肉絲、回鍋肉や炒飯といった中華料理にした。異世界の調味料は、名前が大きく異なるけど、味自体は大凡地球のものと同じだ。
「サーシャ様~、助けて動けないよ。」
「リッカは食べ過ぎです。」
「だって、あんな料理食べるの初めてなんだよ~。動けないけど、満足です。」
なんでドヤ顔するのよ。
「サーシャ様、すいません。俺も食べ過ぎました。まさか、これまでの料理の味と全く異なり、それでいてあそこまで美味しくなるとは、-----料理は深いですね。」
なんかジンは、悟った様な顔をしている。
「本当は、これらの料理に餃子を入れたかったんだけど、生地を作る時間がなかったのよ。」
「お、お、お姉様、餃子というものは、どんな料理なんですか?うぷ。」
イリス、吐かないでよ。
「餃子1個は、これぐらいのサイズなんだけど、専用のタレにつけることで格別な味になるのよ。具材を少し変更することで、味も大きく変わるわ。元いた世界では、餃子を知らない人はいないわね。店に入ったら、必ず餃子を言うはずよ。」
「師匠がそこまで言うなんて。みんなが、その小さい料理に群がるぐらい美味しいんですね。」
いや、群がりはしないわよ。美味しいけどね。
「時間が出来たら作ってあげるわ。」
作ったら、大変な事になるだろうな。本当に全員、群がるかもしれない。
偵察任務の結果を先に聞いておいて良かった。どうやら、ここから300m程下りていったところに看板があったらしく、第2任務の内容は、
【城を含めた全ての地域で、住人全員がゾンビとなった。その原因を解明し、城にいる城主に話せ。】
だそうだ。恐らく、城主は自我を持っているわね。自我が完全に残っていて、性格がまともな人なら、〈あの話〉をしてみよう。もし、あの屋敷の主人みたいな奴なら瞬殺しよう。それにしても、今回は規模が大きい。まずは、ゾンビとなった原因だ。これは、私も知っておきたい。城主と話が出来たら、すぐにわかりそうだけど、無理な場合は調査するしかない。それに、これだけ規模が大きければ、一般の住人の中でも、自我を少し残している者もいるはずから、手当たり次第に浄化していくのは止めておこう。なんとかして、自我を完全に取り戻す方法を考えないといけないわ。
やるべき事は、3つ。
1) 魂を宿しているゾンビを探し出す。このゾンビ達は、絶対に浄化してはいけない。
2) 自我を完全に取り戻す方法を考える。
3) 並行して、各家の中に入り、日記やら何かしらの手掛かりを探していく。
4) 城主に会いに行く。自我が完全に残っている場合は、〈あの話〉をしてみる。
ふー、今日の作業はここまでね。休むとしますか!
○○○
地下だから下水道を想像したけど、普通に人が掘ったかのような地下道だった。部屋もいくつかあったけど、何故か刀ばかり置いてあった。多分、刀のコレクターなんだろう。ただし、屋敷の主人の目利きはゼロだ。殆どがガラクタばかり、いくつか優秀な物があったからもらっておいたけどね。
あー、早く地上に戻ってお風呂に入りたい。地下に落とされてから、戦うのはネズミのゾンビばかり。余りに数が多いので鬱陶しいから、途中から聖属性を纏った衝撃波だけで、手当たり次第に浄化しまくっている。ただ、数が少しずつ減少しているのはわかるんだけど、それでも多過ぎるから、最後は聖属性を纏った『威圧』で全匹浄化してやった。一体、何匹いたのだろうか?
《屋敷敷地内のゾンビが全て一掃されました。このまま任務を続行しても意味がないので、第1任務クリアとみなします。10分後、第2任務の入口に転移させます。》
お!ゾンビを全て浄化しても、任務クリアになるんだ。ネズミのゾンビも、全部浄化したら全く出てこないから、もしかしたらと思ったけど、これで地上に戻れる。まあ、ゾンビがいなくなったら、脱出する醍醐味が激減するからね。多分、ゾンビハウス作った奴も、一応裏設定でクリア条件に入れていたんだろう。フィン達と合流して、情報交換しておこう。さて、次の第2任務は何かな?今度は街からの脱出とか、誰かを救出しろとかだろうか?
あ、転移が始まった。やっと合流だ。
----転移先には、全員集合していた。
「ふー、やっと合流出来たわね。」
「にゃ!し、師匠、な、なんかネズミ臭いです。」
フィンだけでなく、イリス、ジン、リッカも鼻を押さえている。あれだけの大群がいたら、そりゃ臭いでしょうね。私だってわかっているわよ!
「仕方ないでしょ。地下に落ちたら、ネズミゾンビの大群がいたのよ。そりゃあ臭くなるわよ。イリスも落とし穴に落ちてたら、ネズミまみれになっていたのよ。」
その途端、イリスの顔が真っ青になった。
「いやー!お姉様!、助けてくれてありがとうございます。ネズミは大の苦手なんです。」
「じゃあ、もし落ちてたら、イリスゾンビになっていたわね。あら?その小太刀どうしたの?魔剣じゃなくて、魔刀じゃないの。」
「お姉様、あの実は-----」
イリスから事情を聞くと、フィンが無茶をしたようね。5人抜きね、しかも最後の相手はフィンより格上か。
「フィン、強くなるためとはいえ、無茶は駄目よ。死んだら、そこで終わりよ。まあ、でもよくやったわ。確かに、ゾンビハウス手前で確認したステータスより強くなっているわ。」
ご褒美として、頭を撫でてやった。
「えへへ、師匠、ありがとうございます。最後の試合のお爺ちゃんゾンビにもお礼を言われました。」
え、お礼!自我が残っているという事は、魂が身体の中に留まっているということ。つまり、ゾンビハウスのゾンビ達は元人間で、どこからか拉致されたということだ。そして、拉致された後、邪族達に捕まらず、自我を多少残しつつ設定をやらされていたということか。始めに話しかけられた庭園の侍ゾンビは、自我が残っていたのか設定なのかは微妙なところね。
「なるほど。そのゾンビは、魂が身体の中に残っていたのでしょうね。フィンが勝ったことで、設定から外されて、自我が完全に解放されたんだわ。だから、お礼を言ってくれたんでしょう。良くやったわね、フィン。」
「はい!」
もしかしたら、次の任務の敷地内にも、魂をゾンビに中に宿した人がいるかもしれない。注意しておきましょう。なんとか設定だけを除去して、何があったのか聞いておきたいところね。それが出来れば、いちいち、他人の家に潜り込んで手掛かりを探す必要がなくなるかもしれない。
「そうそう、イリス、その魔刀の限界まで聖属性の魔力を込めてみなさい。そうすれば、魔刀の魔力とイリスの魔力が重なって強力な聖刀になるわ。ゾンビハウスが終わったら、もっと強力にしてあげる。」
「はい、早速やってみます!」
イリスが聖属性の魔力を魔刀の限界まで込めると、魔刀は黒く光り輝いてから、徐々に青白く光り輝くようになり、光は収まった。
「うわ~、お姉様、凄く綺麗です!」
「それが、本来の小太刀【十六夜】なんでしょうね。」
さて、周辺にはゾンビはいない。森の中、1本道が続いている。ここを歩けということね。そうだ、先に情報を聞いておこう。
「ジン、私が落ちた地下はネズミだらけで、屋敷に関係する情報は一切なかったけど、そっちは何かあった?」
「はい、いくつか重大な事がわかりました。」
ふーん、ジンから聞いたこと、私が考えた仮説をまとめると、こんな感じかな。
ジンから聞いた情報
1) ゾンビ達の中には魂を宿した者もいて、未来永劫囚われの身となっている。
2) 聖属性で浄化する事で、その身をゾンビハウスから解放出来る。
ここから私の仮説
1) ゾンビハウスの人間や動物は、何かが原因でゾンビになった。ただ、日本でゾンビになったのか、ゾンビハウスに隔離されてからゾンビになったかが不明。多分、後者だと思う。
2) ゾンビハウス内の全てのものは、地球の日本から搾取したものである。
3) ゾンビハウス内にある全てのものをどうやって調達したのか?おそらく、範囲設定した土地にある緑、建物、人間全てを大規模召喚した可能性が高い。
4) 大規模召喚した奴は、黒幕と大きく関わっている可能性大。
こうなると、ゾンビハウス自体を浄化させないといけないんだけど、多分スフィアタリアとは異なる異空間にあるわね。第1任務の屋敷は、比較的規模が小さく、なんとか全員浄化出来たけど、これからは規模が大きくなる可能性が高い。そうなると、この第2任務の空間自体を把握して、空間そのものを浄化させればいいんだけど、それだと魔法を使わないといけない。あ、でも空間内では魔法使用禁止だけど、空間外では魔法を使っても問題ないはず。それなら、手があるわ。ふふふふ。
ただ、失敗した場合は、第1任務の時と同じように全員浄化が確実か。これは、やるしかないわね。
「みんな、まずは第2任務の内容を知りましょう。ここを歩いて行けば、看板が見つかるはず。」
しばらく道伝いに歩いて行くと、木々がなく見晴らしの良い場所に出た。そこから見える風景は圧巻だった。今いるここは、山の中腹、下には広大な城下町があった。そして城下町の奥に大きな城があった。おいおい、規模が大き過ぎるよ。
「うわ~、凄い風景!さっきの屋敷と全然違うね。サーシャ様、あの奥の大きい建物はなんて言うの?」
「あれは城というのよ。城には、この辺り一体を治める領主が住んでいるわ。そして、城周辺に広がっている町を城下町というの。当然、多くの人間が住んでいるわ。あら?リッカ、貴方、怖くないの?第1任務の時は、震えていたじゃない。」
「始めは、何か得体の知れない感覚がしたけど、もう慣れました。敵も、ただのゾンビだし。」
「そう、第2任務からは大丈夫そうね。」
それにしても、これだけの広さを召喚したら、当時の日本の人達は、城下町と城が一夜で忽然と消えた事になるから大騒ぎになっているはず。授業で習ってはいないけど、昔から行方不明者が出て発見出来なかった場合、【神隠しにあったんだよ】と聞かされていたけど、行方不明者の一部は本当に異世界に召喚されていたのね。しかも、何百年も前から、異世界召喚がなんの理由もなく理不尽に行われていたんだわ。
許せないわ!黒幕やゾンビハウスを作った奴を必ず見つけ出して、八つ裂きにしてやる!
《バチバチバチビリビリビリ》
「あ、あ、あのサーシャ様、魔力を」
「ひ~~!サーシャ様、怖いよ~~。魔力を抑えてよ~~。」
「し、師匠」
「お姉様、魔力を抑えて下さい。」
あ、いけない!完全に漏れてたわね。
全員、身震いしている。
「ごめんごめん、余りに理不尽に異世界召喚した奴がいると思うとね。-----出会った瞬間八つ裂きにしてやろうと考えたら、少し魔力が漏れちゃったわね。」
「師匠、私達を巻き込まないで下さいね。」
「ごめんごめん、気をつけるわ。さて、ここは敷地外だからゾンビもいないようね。フィンも疲れているだろうから、今日はここで休みましょう。リッカ、ジン、おやつ食べながらで良いから周辺を偵察してきてくれない。看板があったら、任務内容を見ておいてね。」
ジンとリッカにおやつ(肉まん)と飲み物を渡し、探索に行ってもらった。
「今日は、ここで野宿しましょう。。」
「し、師匠、このおやつ激ウマです。何個でも食べれます。」
「お姉様、この肉まんというのは何なんですか?凄く美味しいです。ああ、疲れが癒されます。」
肉まん、評判が良いわね。研究しておいてよかった。この味を出すのに、結構苦労したんだから。
「喜んでもらえて、なによりよ。この肉まん、再現するのにとても苦労したのよ。スフィアートにある調味料を買いまくって、研究しておいたの。あと1個ずつならあるけど欲しい?」
「「欲しいです!」」
即答ですか。
「あ、そうだ!師匠、転移の直前に屋敷の主人の部屋らしき所で、アイテムを手に入れました。ただ、読んでいる暇もなくて、取り敢えず手当たり次第アイテムボックスに入れておいたんです。邪魔にならない所に出しておきますね。」
フィンが出したものは、書類の山だった。書類を見てみると、子供部屋日記同様、異世界の言葉に翻訳されていた。内容の大半が、契約書や納品書、出納帳だった。あれ、漆塗りの箱がある。普通に開けれるわね。中を見てみよう。
これは------盟約書!
【私、出水弦一郎は、第1任務のボスとして君臨することを誓います。任務を放棄した場合、私の魂は邪王様にお渡しします。】
確か、フィンの話だと、5人抜き終了後、筋肉モリモリの自我を持った商人ゾンビ(Sランク)が現れたと言ってたわね。多分、挑戦者が5人抜きを達成するとは思わなかったんでしょうね。でも、フィンがやってしまい、小太刀【十六夜】が持って行かれると思い、任務を放棄してまで駆けつけて、ジンに瞬殺されたわけか。この屋敷の住人達は可哀想だけど、主人だけは救いようのない馬鹿ね。
-----夕食後、例の如く全員が満足顔となっていた。ちなみにメニューは、日本風でいうと、青椒肉絲、回鍋肉や炒飯といった中華料理にした。異世界の調味料は、名前が大きく異なるけど、味自体は大凡地球のものと同じだ。
「サーシャ様~、助けて動けないよ。」
「リッカは食べ過ぎです。」
「だって、あんな料理食べるの初めてなんだよ~。動けないけど、満足です。」
なんでドヤ顔するのよ。
「サーシャ様、すいません。俺も食べ過ぎました。まさか、これまでの料理の味と全く異なり、それでいてあそこまで美味しくなるとは、-----料理は深いですね。」
なんかジンは、悟った様な顔をしている。
「本当は、これらの料理に餃子を入れたかったんだけど、生地を作る時間がなかったのよ。」
「お、お、お姉様、餃子というものは、どんな料理なんですか?うぷ。」
イリス、吐かないでよ。
「餃子1個は、これぐらいのサイズなんだけど、専用のタレにつけることで格別な味になるのよ。具材を少し変更することで、味も大きく変わるわ。元いた世界では、餃子を知らない人はいないわね。店に入ったら、必ず餃子を言うはずよ。」
「師匠がそこまで言うなんて。みんなが、その小さい料理に群がるぐらい美味しいんですね。」
いや、群がりはしないわよ。美味しいけどね。
「時間が出来たら作ってあげるわ。」
作ったら、大変な事になるだろうな。本当に全員、群がるかもしれない。
偵察任務の結果を先に聞いておいて良かった。どうやら、ここから300m程下りていったところに看板があったらしく、第2任務の内容は、
【城を含めた全ての地域で、住人全員がゾンビとなった。その原因を解明し、城にいる城主に話せ。】
だそうだ。恐らく、城主は自我を持っているわね。自我が完全に残っていて、性格がまともな人なら、〈あの話〉をしてみよう。もし、あの屋敷の主人みたいな奴なら瞬殺しよう。それにしても、今回は規模が大きい。まずは、ゾンビとなった原因だ。これは、私も知っておきたい。城主と話が出来たら、すぐにわかりそうだけど、無理な場合は調査するしかない。それに、これだけ規模が大きければ、一般の住人の中でも、自我を少し残している者もいるはずから、手当たり次第に浄化していくのは止めておこう。なんとかして、自我を完全に取り戻す方法を考えないといけないわ。
やるべき事は、3つ。
1) 魂を宿しているゾンビを探し出す。このゾンビ達は、絶対に浄化してはいけない。
2) 自我を完全に取り戻す方法を考える。
3) 並行して、各家の中に入り、日記やら何かしらの手掛かりを探していく。
4) 城主に会いに行く。自我が完全に残っている場合は、〈あの話〉をしてみる。
ふー、今日の作業はここまでね。休むとしますか!
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