73 / 149
3章 ガルディア帝国 マルコ遺跡編
ゾンビハウス攻略-9 真相
しおりを挟む
城主の身体が光り輝き、----そして収まった。
「こ、これは一体!!喋れる、自由に喋れるぞ!」
「「父上」」
「おお、志郎、加代。こっちにおいで!」
親子は、涙を流し感動の再会となった。ここは、そっとしておこう。
「すまなかったな。奴のせいでこうなったとはいえ、お前達を見もしなかった。すまん。」
「いいよ、全部あいつが悪いんだ。」
「皆、サーシャさんが助けてくれたんだよ。」
加代が言ったことで、やっと私達に気付いてくれた。
「初めまして、私はサーシャ、こっちの子はリッカと言います。」
「私は喜平と言います。貴方達が、我々をゾンビハウスの呪縛から解き放ってくれたんですか。---本当にありがとうございます。この何百年か、たまに来る冒険者達を観察していたせいか、話し方も変わってしまいました。」
少なくとも江戸時代以前の人達だよね。当時の話し方を知らないから、何と言っていいかわからないわね。
「解放されて良かったです。私達は、ゾンビハウスが一体誰が製作したのか、どうして皆ゾンビになったのか調査している所なんです。」
「そうでしたか。しかし、それなら城下町に手掛かりが散りばめられていますが、それを拾ってはいないのですか?」
「始めは、手掛かりを丹念に探していく予定だったんですけど、ある魔法を工夫して唱えることで、魂を宿したゾンビの自我を完全に取り戻せることがわかりました。これまでに、乾物屋のお婆ちゃんやそのお孫さんの自我を取り戻し、ここの話を聞いていたので簡単な経緯は知っているんです。ただ、ゾンビとなった原因、ゾンビハウス製作者のことは全くわからなかったので、どうせならボスである城主の自我を取り戻して直接聞けばいいと思い、ここに参上しました。」
城主の顔が震えているわ。まあ、ゾンビハウスのルールを無視して、いきなりボスに聞いちゃう人は、まずいないわね。
「あははは、製作者が聞いたら怒るでしょうね。ルールを完全に無視してますからね。まずは、ゾンビとなった原因についてお話ししましょう。こちらに転移してから頻発して起こった地震、これが前兆ですね。地震で地盤に変化が起こり、ここから東にある湖の底からあるものが出てきました。」
「あるもの?」
「ええ、製作者は【僕が改良したウイルスだよ】と言っていましたね。私達町民は、その湖の水を使って生活をしています。そのウイルスが湖の水に溶け込み、人が摂取することでウイルスに感染する。このウイルスの潜伏期間は約1ヶ月、発症すると人間はゾンビとなり、放出された魂は邪族が邪王のもとへ運んでいく手筈となっているんです。また、この世界の人々が水を摂取した場合に限り、3日で発症します。ウイルスが存在するのは、水の中だけです。本来なら、冒険者が手掛かりから真相を推理し、私に説明することで正否を判断します。正しければ、第3任務へ通じる空間に転移させます。」
また厄介なことをしたわね。500年前からクリアした人がいないわけだ。水を摂取しただけで、ゲームオーバーなんだから。500年前の勇者達は、どうやってクリアしたのだろうか?
「なるほど、そのゾンビハウス製作者について何か知っていますか?」
ゾンビハウス製作者を思い出したせいか、拳をきつく握りしめた。
「---城下町に異変が生じ始めてから、1度だけ会いました。あいつは、この城一体で何が起こっているのか、笑顔で話しましたよ。あの時程、自分は役に立たないちっぽけな存在だと痛烈に認識しましたね。----私がわかるのは、13歳くらいの男、かなりの強者、仲間がいるくらいですね。居場所を聞きたかったんですけど、駄目でした。ああ、その男なんですが、年の割に妙に大人びた言い方をしていましたが、精神は姿同様、子供のままでしたね。自分がどれだけの大罪を犯しているのか理解していませんでした。完全に子供のお遊びのつもりで、私に話していましたよ。正直、----腸が煮え滾る思いでした。そして何も出来ない自分が、不甲斐なかった。」
----そうでしょうね。喜平さんは、この城一体を守る城主だ。城下町の人達がゾンビに変化していく様子を見るだけで、何も出来なかった。悔しい思いでいっぱいでしょう。13歳くらいの男、ゾンビハウスを製作する程の魔力の持ち主、ということは私のようなイレギュラーな存在か。何者なの?
「その男は、他に変わった言葉を使っていませんでしたか?何でも構いません。」
「そうですね、覚えている限りだと【ゲーム】、【サバイバル】、【生物災害】くらいですね。」
---なるほどね。
「ありがとうございます。その3つだけで、おおよそ製作者が何者かわかりました。」
製作者は、現代の日本の元人間だ。間違いなく、2000年前後に日本から異世界に召喚された者だ。探し出して、八つ裂きにしてやる。自分が、どれ程の大罪を犯したのか、骨の髄までわからせてやる。
「ええ!これだけでわかるものなんですか?凄いな。この空間は、どうなるんでしょうか?出来れば、全てを浄化して欲しいのですが。」
「もちろん、ゾンビハウスに関わる空間全てを浄化します。ただ、城下町に仲間がいるので、一旦戻ってここに連れてきますね。構いませんか?」
「ええ、勿論ですとも!お待ちしています。」
「それまで、家族3人でゆっくりしていて下さい。」
そう言って、私達は一旦城を離れた。
○○○
フィン達の位置を探り、そこに行くと立派な家があった。
「師匠、大きな家を中心に探していたら、この家の中庭に女神像がありました。家の敷地にはゾンビが入って来ないみたいです。」
まさか、こんな大きな家を冒険者の寝泊まり用にするとはね。
「広い部屋に行きましょう。私の方でも進展があったから話しておくわ。」
広い部屋に移動し、こちらで起こったことをありのまま話した。
「ふぇー、宝石を経由することで魔法使えるんですか!しかも、イメージ次第でゾンビの自我だけを完全に取り戻すて、イリスできる?」
「無理ですよ、そんな高等技!出来るのはお姉様だけです。」
そうかしら?イリスなら出来ると思うけど。
「サーシャ様。略すと手掛かり探すのは面倒だから、そのまま城に突入し、城主の自我を完全復帰させて、ボス本人から真相を聞いたわけですか?」
おー、ジンが簡潔にまとめてくれた。
「その通りよ!」
「ルールを完全に無視してますね。結局、製作者は湖の底にゾンビとなるウイルスを封じこめて、地震を起こすことでウイルスを地表に出したということですか。面倒なことを自分でばら撒けばいいのに。」
こらこら、ジン、身も蓋もないことを言わないの。一応、ゲームのつもりでやったんでしょう。
「お姉様、空間自体をどうやって浄化するんですか?」
「そこは私も考えたわ。幸い、城主は完全に自我を取り戻し、任務内容も正確に覚えていてね。第1と第3任務の空間座標を正確に知っていたのよ。これなら、私達がいる第2任務の空間を愛剣紫電で切り裂いて、それぞれの空間を私の魔力で繋ぎ合わせることで、空間の外から広範囲浄化魔法『グラッジピュリファイン』を発動すればいい。」
「あのお姉様、それ完全に反則ですよ。」
「ああ!そうか、空間の中では魔法禁止だけど、空間外では禁止て一言も言ってないよ!」
その通りよ、フィン。
「ただし浄化をする前に、あることを確認します。」
「サーシャ様、あることとは何でしょうか?」
ジンが質問してきた。全員が私を見ている。
「ゾンビハウスは、マルコ遺跡にも繋がっているはずよね。」
全員が頷いた。
「多分だけど、ゾンビハウスはマルコ遺跡のダンジョンコアと別口で動いているはず。そして、ゾンビハウスを消すのは非常に勿体無い。そこで、
1) 3つの空間を完全に把握する。また、それぞれの空間は、必ずゾンビハウスのダンジョンコアと繋がっている。
2) ゾンビハウスのダンジョンコアにハッキングを行い、主を私に書き換えて、ゾンビハウス自体を乗っ取る。現在のコアの主は【13歳くらいの男】だから、そいつの魔力をかき消して、私の魔力を注げばいい。
3) ダンジョンコアを経由して、マルコ遺跡のダンジョンコアを乗っ取る。
4) 『グラッジピュリファイン』で、ゾンビハウス内の人や動物を一斉に浄化する。
5) 時空魔法で、乗っ取ったゾンビハウスと私の専用空間を繋ぎ合わせる。これにより、ゾンビハウスやマルコ遺跡でもユニークスキル『フリードリーム』が使用可能となる。
6) ゾンビハウス製作者が出てきたら、遺跡の中に誘い込み、八つ裂きにする。
7) ゾンビハウスとマルコ遺跡を、人が死なないダンジョンに改良する。
こんなところね。」
話し終わると、全員が口を大きく開けていた。
話し始めたのは、ジンだ。
「サーシャ様、そんなことが本当に可能なんですか?そもそもハッキングとは何ですか?」
「可能よ。ゾンビハウスのダンジョンコアに私の魔力を侵入させるの。まず、現在の主の魔力をかき消した後、ダンジョンコアを解析して、主の部分を私に書き換えるのよ。人の許可なく無断で侵入するのがハッキングね。」
「お姉様にしか出来ませんね。」
「うん、師匠にしか出来ないよ。」
「お姉様、もしそれが成功すれば、凄い画期的なことですよ。今後、マルコ遺跡では誰も死ななくなるんですよね。これから行く他の遺跡にも応用出来ますよね。」
「ええ、そうよ。上手くいけばの話だけどね。」
話も落ち着き、昼食後、早速城に向かった。
○○○
城4階に到着すると、城主と志郎、加代が親子仲良く遊んでいた。少しは満喫出来たかな。
「あ、サーシャお姉ちゃん!」
「サーシャさん、準備出来たの?」
「加代、志郎、準備万端よ。喜平さん、まず、これから行うことを話しますね。」
さっき話した構想を喜平さんに話した。
「構想は素晴らしいと思うが、そんな奇想天外なことが本当に可能なんですか?今までの冒険者達は、普通に進めていましたよ。」
「フィンと言います。師匠なら何でも出来ますよ。信じて上げて下さい。」
「はあ、---わかりました。私達としても、サーシャさんしか頼る人がいません。お願いします。」
「わかりました。それでは始めます。まず、喜兵さん、鑑定を使わせてもらいますね。」
「ああ、やってくれ。」
「あ、そうそう、ここから私は集中モードで3日程動けなくなるから、皆んなは終わるまで遊んでていいよ。夕食は、事前に3日分用意したからジンに渡しておくわ。間違っても、3日分を1日で食べきらないようにね。」
「動けない間、私がサーシャ様をお守りします。」
「ええ。お願いね。」
喜平さんに鑑定を使って転移の所を詳細に調べた。よし、第1、第2第3任務の空間座標があった。あとは、ここの空間を基準にして探せばいい。
愛剣紫電を取り出し、時空属性を発動し空間を切り裂いた。裂かれた空間に紫電を突っ込み、転移の座標基準に第1と第2任務の空間を探した。近い位置にあるはずだ。魔力を超音波のようにして放つ。第1、第2任務のような特殊空間があれば跳ね返ってくるはずだ。--------見つけた!よし、まずは、ここと繋ぎ合わせる。
次は私の魔力で、第1第2第3空間を掌握し解析して、ゾンビハウスのダンジョンコアを探し出しハッキングを開始する。
○○○ ジン視点
サーシャ様が集中されてから3日、全く動く気配がない。それにしても、空間同士を繋ぎ合わせ解析し、ダンジョンコアを探し出してからハッキングを行う。こんなことが本当に可能なのか?誰も試したことがない、初めての試みだ。莫大な魔力を消費するだろう。フィン達は、この3日で城下町にいる自我のないゾンビを浄化し終えたようだ。今は、志郎と加代も加わってみんなで遊んでいる。
「ジン、今重大な問題に気付いたよ。」
「問題、何だ?」
重大な問題?何かやり忘れがあったか?
「もし、サーシャ様の作業が3日以上かかったら、私達の食事はどうするの?」
あ、完全に忘れていた。
「ま、まあ、大丈夫だろう。(多分)」
「サーシャ様の食事が美味しすぎるから、1日でも抜けると思うと、禁断症状が出るよ。」
「私の食事は危険物か、リッカ!」
「あ、サーシャ様!良かった~、間に合った~。」
まさか、本当に3日で終わらせたのか?
「サーシャ様、作業はどこまで進みましたか?」
「あーそれね、成功したわよ。ただ、」
何か問題が発生したのか?
「ただ、魔力も日数も余裕があったから、ちょっと調子に乗ってゾンビハウスとマルコ遺跡両方とも、私の物にしちゃった。でも、まだダンジョンコアの書き換えが終わっただけで、そこ以降の改良はしてないわ。」
は!
この3日で一気にそこまで進めたのか!
----さすがは、サーシャ様だ。
次は、いよいよゾンビハウスの浄化が始まるのか。
「こ、これは一体!!喋れる、自由に喋れるぞ!」
「「父上」」
「おお、志郎、加代。こっちにおいで!」
親子は、涙を流し感動の再会となった。ここは、そっとしておこう。
「すまなかったな。奴のせいでこうなったとはいえ、お前達を見もしなかった。すまん。」
「いいよ、全部あいつが悪いんだ。」
「皆、サーシャさんが助けてくれたんだよ。」
加代が言ったことで、やっと私達に気付いてくれた。
「初めまして、私はサーシャ、こっちの子はリッカと言います。」
「私は喜平と言います。貴方達が、我々をゾンビハウスの呪縛から解き放ってくれたんですか。---本当にありがとうございます。この何百年か、たまに来る冒険者達を観察していたせいか、話し方も変わってしまいました。」
少なくとも江戸時代以前の人達だよね。当時の話し方を知らないから、何と言っていいかわからないわね。
「解放されて良かったです。私達は、ゾンビハウスが一体誰が製作したのか、どうして皆ゾンビになったのか調査している所なんです。」
「そうでしたか。しかし、それなら城下町に手掛かりが散りばめられていますが、それを拾ってはいないのですか?」
「始めは、手掛かりを丹念に探していく予定だったんですけど、ある魔法を工夫して唱えることで、魂を宿したゾンビの自我を完全に取り戻せることがわかりました。これまでに、乾物屋のお婆ちゃんやそのお孫さんの自我を取り戻し、ここの話を聞いていたので簡単な経緯は知っているんです。ただ、ゾンビとなった原因、ゾンビハウス製作者のことは全くわからなかったので、どうせならボスである城主の自我を取り戻して直接聞けばいいと思い、ここに参上しました。」
城主の顔が震えているわ。まあ、ゾンビハウスのルールを無視して、いきなりボスに聞いちゃう人は、まずいないわね。
「あははは、製作者が聞いたら怒るでしょうね。ルールを完全に無視してますからね。まずは、ゾンビとなった原因についてお話ししましょう。こちらに転移してから頻発して起こった地震、これが前兆ですね。地震で地盤に変化が起こり、ここから東にある湖の底からあるものが出てきました。」
「あるもの?」
「ええ、製作者は【僕が改良したウイルスだよ】と言っていましたね。私達町民は、その湖の水を使って生活をしています。そのウイルスが湖の水に溶け込み、人が摂取することでウイルスに感染する。このウイルスの潜伏期間は約1ヶ月、発症すると人間はゾンビとなり、放出された魂は邪族が邪王のもとへ運んでいく手筈となっているんです。また、この世界の人々が水を摂取した場合に限り、3日で発症します。ウイルスが存在するのは、水の中だけです。本来なら、冒険者が手掛かりから真相を推理し、私に説明することで正否を判断します。正しければ、第3任務へ通じる空間に転移させます。」
また厄介なことをしたわね。500年前からクリアした人がいないわけだ。水を摂取しただけで、ゲームオーバーなんだから。500年前の勇者達は、どうやってクリアしたのだろうか?
「なるほど、そのゾンビハウス製作者について何か知っていますか?」
ゾンビハウス製作者を思い出したせいか、拳をきつく握りしめた。
「---城下町に異変が生じ始めてから、1度だけ会いました。あいつは、この城一体で何が起こっているのか、笑顔で話しましたよ。あの時程、自分は役に立たないちっぽけな存在だと痛烈に認識しましたね。----私がわかるのは、13歳くらいの男、かなりの強者、仲間がいるくらいですね。居場所を聞きたかったんですけど、駄目でした。ああ、その男なんですが、年の割に妙に大人びた言い方をしていましたが、精神は姿同様、子供のままでしたね。自分がどれだけの大罪を犯しているのか理解していませんでした。完全に子供のお遊びのつもりで、私に話していましたよ。正直、----腸が煮え滾る思いでした。そして何も出来ない自分が、不甲斐なかった。」
----そうでしょうね。喜平さんは、この城一体を守る城主だ。城下町の人達がゾンビに変化していく様子を見るだけで、何も出来なかった。悔しい思いでいっぱいでしょう。13歳くらいの男、ゾンビハウスを製作する程の魔力の持ち主、ということは私のようなイレギュラーな存在か。何者なの?
「その男は、他に変わった言葉を使っていませんでしたか?何でも構いません。」
「そうですね、覚えている限りだと【ゲーム】、【サバイバル】、【生物災害】くらいですね。」
---なるほどね。
「ありがとうございます。その3つだけで、おおよそ製作者が何者かわかりました。」
製作者は、現代の日本の元人間だ。間違いなく、2000年前後に日本から異世界に召喚された者だ。探し出して、八つ裂きにしてやる。自分が、どれ程の大罪を犯したのか、骨の髄までわからせてやる。
「ええ!これだけでわかるものなんですか?凄いな。この空間は、どうなるんでしょうか?出来れば、全てを浄化して欲しいのですが。」
「もちろん、ゾンビハウスに関わる空間全てを浄化します。ただ、城下町に仲間がいるので、一旦戻ってここに連れてきますね。構いませんか?」
「ええ、勿論ですとも!お待ちしています。」
「それまで、家族3人でゆっくりしていて下さい。」
そう言って、私達は一旦城を離れた。
○○○
フィン達の位置を探り、そこに行くと立派な家があった。
「師匠、大きな家を中心に探していたら、この家の中庭に女神像がありました。家の敷地にはゾンビが入って来ないみたいです。」
まさか、こんな大きな家を冒険者の寝泊まり用にするとはね。
「広い部屋に行きましょう。私の方でも進展があったから話しておくわ。」
広い部屋に移動し、こちらで起こったことをありのまま話した。
「ふぇー、宝石を経由することで魔法使えるんですか!しかも、イメージ次第でゾンビの自我だけを完全に取り戻すて、イリスできる?」
「無理ですよ、そんな高等技!出来るのはお姉様だけです。」
そうかしら?イリスなら出来ると思うけど。
「サーシャ様。略すと手掛かり探すのは面倒だから、そのまま城に突入し、城主の自我を完全復帰させて、ボス本人から真相を聞いたわけですか?」
おー、ジンが簡潔にまとめてくれた。
「その通りよ!」
「ルールを完全に無視してますね。結局、製作者は湖の底にゾンビとなるウイルスを封じこめて、地震を起こすことでウイルスを地表に出したということですか。面倒なことを自分でばら撒けばいいのに。」
こらこら、ジン、身も蓋もないことを言わないの。一応、ゲームのつもりでやったんでしょう。
「お姉様、空間自体をどうやって浄化するんですか?」
「そこは私も考えたわ。幸い、城主は完全に自我を取り戻し、任務内容も正確に覚えていてね。第1と第3任務の空間座標を正確に知っていたのよ。これなら、私達がいる第2任務の空間を愛剣紫電で切り裂いて、それぞれの空間を私の魔力で繋ぎ合わせることで、空間の外から広範囲浄化魔法『グラッジピュリファイン』を発動すればいい。」
「あのお姉様、それ完全に反則ですよ。」
「ああ!そうか、空間の中では魔法禁止だけど、空間外では禁止て一言も言ってないよ!」
その通りよ、フィン。
「ただし浄化をする前に、あることを確認します。」
「サーシャ様、あることとは何でしょうか?」
ジンが質問してきた。全員が私を見ている。
「ゾンビハウスは、マルコ遺跡にも繋がっているはずよね。」
全員が頷いた。
「多分だけど、ゾンビハウスはマルコ遺跡のダンジョンコアと別口で動いているはず。そして、ゾンビハウスを消すのは非常に勿体無い。そこで、
1) 3つの空間を完全に把握する。また、それぞれの空間は、必ずゾンビハウスのダンジョンコアと繋がっている。
2) ゾンビハウスのダンジョンコアにハッキングを行い、主を私に書き換えて、ゾンビハウス自体を乗っ取る。現在のコアの主は【13歳くらいの男】だから、そいつの魔力をかき消して、私の魔力を注げばいい。
3) ダンジョンコアを経由して、マルコ遺跡のダンジョンコアを乗っ取る。
4) 『グラッジピュリファイン』で、ゾンビハウス内の人や動物を一斉に浄化する。
5) 時空魔法で、乗っ取ったゾンビハウスと私の専用空間を繋ぎ合わせる。これにより、ゾンビハウスやマルコ遺跡でもユニークスキル『フリードリーム』が使用可能となる。
6) ゾンビハウス製作者が出てきたら、遺跡の中に誘い込み、八つ裂きにする。
7) ゾンビハウスとマルコ遺跡を、人が死なないダンジョンに改良する。
こんなところね。」
話し終わると、全員が口を大きく開けていた。
話し始めたのは、ジンだ。
「サーシャ様、そんなことが本当に可能なんですか?そもそもハッキングとは何ですか?」
「可能よ。ゾンビハウスのダンジョンコアに私の魔力を侵入させるの。まず、現在の主の魔力をかき消した後、ダンジョンコアを解析して、主の部分を私に書き換えるのよ。人の許可なく無断で侵入するのがハッキングね。」
「お姉様にしか出来ませんね。」
「うん、師匠にしか出来ないよ。」
「お姉様、もしそれが成功すれば、凄い画期的なことですよ。今後、マルコ遺跡では誰も死ななくなるんですよね。これから行く他の遺跡にも応用出来ますよね。」
「ええ、そうよ。上手くいけばの話だけどね。」
話も落ち着き、昼食後、早速城に向かった。
○○○
城4階に到着すると、城主と志郎、加代が親子仲良く遊んでいた。少しは満喫出来たかな。
「あ、サーシャお姉ちゃん!」
「サーシャさん、準備出来たの?」
「加代、志郎、準備万端よ。喜平さん、まず、これから行うことを話しますね。」
さっき話した構想を喜平さんに話した。
「構想は素晴らしいと思うが、そんな奇想天外なことが本当に可能なんですか?今までの冒険者達は、普通に進めていましたよ。」
「フィンと言います。師匠なら何でも出来ますよ。信じて上げて下さい。」
「はあ、---わかりました。私達としても、サーシャさんしか頼る人がいません。お願いします。」
「わかりました。それでは始めます。まず、喜兵さん、鑑定を使わせてもらいますね。」
「ああ、やってくれ。」
「あ、そうそう、ここから私は集中モードで3日程動けなくなるから、皆んなは終わるまで遊んでていいよ。夕食は、事前に3日分用意したからジンに渡しておくわ。間違っても、3日分を1日で食べきらないようにね。」
「動けない間、私がサーシャ様をお守りします。」
「ええ。お願いね。」
喜平さんに鑑定を使って転移の所を詳細に調べた。よし、第1、第2第3任務の空間座標があった。あとは、ここの空間を基準にして探せばいい。
愛剣紫電を取り出し、時空属性を発動し空間を切り裂いた。裂かれた空間に紫電を突っ込み、転移の座標基準に第1と第2任務の空間を探した。近い位置にあるはずだ。魔力を超音波のようにして放つ。第1、第2任務のような特殊空間があれば跳ね返ってくるはずだ。--------見つけた!よし、まずは、ここと繋ぎ合わせる。
次は私の魔力で、第1第2第3空間を掌握し解析して、ゾンビハウスのダンジョンコアを探し出しハッキングを開始する。
○○○ ジン視点
サーシャ様が集中されてから3日、全く動く気配がない。それにしても、空間同士を繋ぎ合わせ解析し、ダンジョンコアを探し出してからハッキングを行う。こんなことが本当に可能なのか?誰も試したことがない、初めての試みだ。莫大な魔力を消費するだろう。フィン達は、この3日で城下町にいる自我のないゾンビを浄化し終えたようだ。今は、志郎と加代も加わってみんなで遊んでいる。
「ジン、今重大な問題に気付いたよ。」
「問題、何だ?」
重大な問題?何かやり忘れがあったか?
「もし、サーシャ様の作業が3日以上かかったら、私達の食事はどうするの?」
あ、完全に忘れていた。
「ま、まあ、大丈夫だろう。(多分)」
「サーシャ様の食事が美味しすぎるから、1日でも抜けると思うと、禁断症状が出るよ。」
「私の食事は危険物か、リッカ!」
「あ、サーシャ様!良かった~、間に合った~。」
まさか、本当に3日で終わらせたのか?
「サーシャ様、作業はどこまで進みましたか?」
「あーそれね、成功したわよ。ただ、」
何か問題が発生したのか?
「ただ、魔力も日数も余裕があったから、ちょっと調子に乗ってゾンビハウスとマルコ遺跡両方とも、私の物にしちゃった。でも、まだダンジョンコアの書き換えが終わっただけで、そこ以降の改良はしてないわ。」
は!
この3日で一気にそこまで進めたのか!
----さすがは、サーシャ様だ。
次は、いよいよゾンビハウスの浄化が始まるのか。
28
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる