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間章2 勇者達、シルフィーユ王国へ
正体不明の敵
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○○○ 桜木春人 視点
焦るなよ。精神一到をする前に、落ち着いて考えていこう。真也と義輝は、あのドス黒い実を食べたことで、原因不明の病に陥った。だが、俺・美香・バーンさん・リフィアさんは異常なし。
違いはなんだ?強さか?
いや、加護か!
俺達4人には女神サーシャの加護がある。サーシャの基礎能力値は1億以上、その人の加護ならば、どんな呪いでも打ち消せるかもしれない。まずは黒い実の正体を探ってみよう。あれは、俺達の敵だ!さっきの訓練で精神一到の第2段階が見えた気がする。何も考えず、答えを得てもひたすら無想状態で黒い実の奥へ奥へいくんだ。
------わかった!
黒い実、名称はトイフェルベリー、外側はマインドイーターという毒薬、実の中心部はマインドイーターを操る【何か】がいる。それを食べると、精神がマインドイーターに侵され徐々に減衰していく。ある程度弱くなったところで、【何か】は身体を乗っ取り、精神を食べることで、持ち主の能力を全て吸収し、完全に身体と一体化する。一体化するまでは、【何か】の討伐はまず不可能。また、身体が乗っ取られる前に、聖魔法『グラッジピュリファイン』を使用すれば、討伐は無理でもエビルベリーを簡単に追い出すことが可能である。トイフェルベリーを食べずに潰したとても、それは討伐にならず、またどこかの木から生えてくる。トイフェルベリーを完全に討伐する方法は2つ、1つ目は通常の人が食した場合、一体化した後に宿主を殺せばいい。2つ目は称号『女神サーシャの加護』を持っていれば食べるだけで討伐可能。加護の防御機能が発動し、体内で討伐される。
これが精神一到で見えた答えだ。
トイフェルベリーの討伐は、真也と義輝を殺すことと同義だ。そんな選択を取れるわけがない。真也と義輝の身体から追い出すことが先決だ!
「リフィアさん、美香、治療方法がわかりました!ただし、これは討伐ではなく、2人の身体の中にある黒い実を外に追い出すだけです。どのようにして出てくるのかわからない以上、慎重に治療を行なって下さい。治療方法は聖魔法『グラッジピュリファイン』です」
「ハルト、終わったら詳しいことを教えてね。いくわよ、ミカ!」
「はい!」
「「『グラッジピュリファイン』」」
真也と義輝の身体が光り出した。すると、身体が少し透けて全体に広がっている黒いものがウネウネ?燧き苦しんでいることがわかった。しばらくすると黒いものは、2人の鳩尾部分に集まり出し、全て集まったところで身体がニュッと出てきて床に落ち溶けてなくなった。
「魔力の暴れが収まったわ。これで大丈夫のようね」
「春人、あの黒い物体なんなの?」
「名称はトイフェルベリー、実の中心部分にいる【何か】がマインドイーターという毒物を操って、食した人の精神を減退させ、身体を乗っ取る効果があるらしい。乗っ取った後、身体の持ち主の精神を食べることで、能力を全て吸収し、完全に身体と一体化する。その【何か】は、身体と一体化することで初めて実体化され討伐が可能となるそうだ。今回は身体から除去しただけで、追い出されたトイフェルベリーはまたどこかの木に宿る」
「トイフェルベリー、聞いた事もないわ。シルフィーユ王国にそんな危険なものはないはず。間違いなく邪族が絡んでいるわね」
長く生きているリフィアさんでも、トイフェルベリーを知らないのか?
「おい、ハルト、その【何か】というのは何だ?邪族か?」
「そこなんですよ、バーンさん。いくら調べても、その【何か】の正体に辿り着けませんでした。少なくとも邪族ではないと思います」
大体、邪族なら邪族と、スキルが教えてくれるはずだ。
「確かにな。邪族なら【何か】とは言わないからな」
「リフィアさん、真也君と義輝君は大丈夫なんでしょうか?」
「ユミ、大丈夫よ。2人とも黒いものと戦って、精神は擦り減っているだろうけど、このままゆっくり休ませれば、明日には回復するでしょう」
「よかった~」
「夕実、真也にお礼を言っておきなさいよ!」
「うん」
なんとかこれで落ち着きはしたが、肝心な事が何1つ解決していない。そう、この村の連中だ。あいつらが運んできた食事に、トイフェルベリーはあった。
「バーンさん、村のエルフ達の何人かは既に乗っ取られています。下手したら全員が---」
「ああ、ありえる。ハルト、【何か】を討伐するには一体化した身体を殺すしかないのか?」
いえ、もう1つ方法があります。これを言うと、リフィアさんと美香が嫌がるだろうな~。
「トイフェルベリーの討伐方法は、2つあります。普通の人がトイフェルベリーを食べた場合は、一体化してからしか討伐出来ません。もう1つは-------」
「どうした、ハルト?何か言いづらそうだな」
俺はリフィアさんと美香を見た。リフィアさんは、俺が何を言いたいのか察したようだ。
「ちょっと嘘でしょ!まさか、『サーシャの加護』?」
「え、えーーー!」
美香も気付いたか。
「はい、『女神サーシャの加護』を持つ者は、食べるだけで討伐可能です」
「くくく、やってくれるな。リフィア、美香、食べるぞ」
「冗談じゃないわよ!治療中に見たあのウネウネしたドス黒いものを食べれるわけないでしょ!」
「リフィアさんの言う通りですよ!」
そりゃあ~嫌がるよな。
「ほう、なら他のエルフ達が死んでもいいというわけだな」
バーンさん、そんなこと言ったら。
「「う!」」
「すいません、討伐には、俺らが食うしかありません」
「ある意味、加護がなくてよかった」
「夕実、ずるいよ~。手伝ってよ~」
「私の場合、加護がないから手伝えません、ごめんね」
「薄情者~~」
真也と義輝を運んだら、トイフェルベリーに関しては4人で食べるしかないな。
「まあ、食べるのは後にして、一体化されていたら、最悪村人全員を殺す事になるぞ」
「ちょっと待って、バーン!ハルトだけじゃなく、私達も乗っ取っられたかどうか判断出来るようにしたいわ。今の時点で、それをやらないでよ」
「当たり前だ。さっき言ったのは、村人全員が一体化された場合での最終手段だ。現状、どう行動するかだな」
そう、問題はそこだ。おそらく、冒険者達はトイフェルベリーを食べた事で、身体を乗っ取られ一体化されたんだ。だから、王都には戻らなかったんだ。サーシャの加護がなかったら、俺達も殺されていたな。
行動パターンとして、
1) 何事もなかったかのように振る舞う
2) 俺達全員死んだ事にして、その【何か】になった演技をする
3) 急用を思い出したとか言って、2グループに分けて別行動をとる
2と3は、無しだな。【何か】が何者であるかがわからないから演技だと1発でばれる。2グループに分けた場合、村に留まるメンバー危険過ぎる。
「バーンさん、トイフェルベリーを食べた後、料理に『グラッジピュリファイン』を唱えてから全部食べましょう。何事もなかったかのように振る舞うのが、1番無難な選択だと思います」
「ハルトの言う通りだな。村人達が何人トイフェルベリーを食べたのかわからない以上、迂闊な行動を取れん。今は、情報が少な過ぎる。明日、村人が何人乗っ取っられたのか、何人一体化されたのか、いくつか確認する必要があるな」
そういうと、バーンさんは静かにトイフェルベリーを見つめた。
「よし、お前ら残りの夕食を食うぞ」
「皆さん、トイフェルベリーは任せました。真也君や義輝君の事で、あまり食欲はありませんが、私は唐揚げや天麩羅を食べます」
「夕実、ずるい!トイフェルベリーは食べるから一緒に食べよう!」
お前ら、真也と義輝が無事だとわかった途端、それかよ。なんか、薄情じゃないか?
普通、【そこは食欲が失せました、2人を看病します】だろ。
なんで、揚げ物の食欲だけがあるんだよ!これも、清水の手料理の影響なのか?
ふ~、俺も覚悟を決めて食べるか!
「美香、先にトイフェルベリーを食べるぞ」
「う!わかったわ。その後に、ご馳走が待っていると思えばいい」
「リフィアも、美香のように覚悟を決めろ」
「あの子達の揚げ物の情熱は、どこから来るのよ?わかったわ、食べますよ!」
リフィアさんがヤケクソになってるよ?
結局、真也と義輝を運んだ後、嫌々ながらトイフェルベリーを食べた。美味しさと恐怖が混ざった味がしたよ。その後、この家全体にサイレントをかけ、念のため料理全体に聖魔法『グラッジピュリファイン』を唱えてもらい、俺達は料理を全て平らげた。真也と義輝がいない分、かなりきつかった。
○○○
夕食を全て食べ終わると、村長が訪ねてきた。
「皆さん、お口に合いましたか?おや、お二人いませんが、どうされたんですか?」
俺が理由を言っておくか。
「大丈夫です。料理が凄く美味しくて食べ過ぎたんですよ。部屋で、横になっている間に眠ってしまったんです。夕食、ありがとうございます」
「「唐揚げと天麩羅が最高でした!!!」」
「そこまで喜んで頂けると、我々としても嬉しい限りです。今日は、ゆっくりと休んで下さい」
「村長、あの黒い実はここの特産なんですか?」
俺は、思い切って尋ねてみた。怪しまれない言い方だから、まず大丈夫だろう。
「いえ、最近になって採れだした新種です。見た目があれなので、私は食べていませんが、何人かが食べて美味しかったらしいのでお出ししました」
「新種の場合は、一応魔法で問題ないか調べておいたほうがいいですよ。中には、2週間経過して、毒が現れる場合もあります。俺はその分野の専門家ですから、明日調べておきましょうか?」
「なんと!そうなんですか!わかりました、是非お願いします。とんでもない物をお出ししてしまい申し訳ありません。明日の内に黒い実を集めておきます。食べた物達も探しておきましょう」
村長達は、そう言って夕食のお皿を引き上げていった。物腰柔らかな村長を見る限り、【何か】に乗っ取られたような素ぶりが全くない。他の人達も、皆優しかった。明日は村人全員を『精神一到』でチェックする必要があるな。
「あの村長は、まず大丈夫たろう。怪しい気配を微塵も感じなかった」
「ハルト、あの言い方良かったわよ。あれなら怪しまれる事もないでしょう」
「明日から忙しくなりそうですね」
「あの~、私が真也君と義輝君を看病しますので、ハルト君は休んでいて下さい」
「夕実、いいのか?」
「はい、明日はハルト君の『精神一到』を使う時間が多いはずですから」
「夕実、私も一緒にいくよ。何かあった時、2人いれば対処しやすいでしょ」
「美香、お願いしていい?」
「うん」
真也と義輝の看病を夕実と美香に任せた。
「それにしても、トイフェルベリーがこの村だけに生息しているとは思えないわね」
「ああ、王都にまで侵食していなければいいんだがな」
「明日、村人をチェックしつつ、トイフェルベリーの中にある【何か】の討伐方法をもっと探ってみます」
「ああ。うん、ふと思ったんだか、王都にトイフェルベリーが大量にあった場合、俺達4人で食べないといけないな」
げ!必然的にそうなるよな。あの味と2人の身体の中でウネウネ動いていたあれを思い出すと、吐き気がしてきた。
リフィアさんを見ると、俺と同じ事を思ったのだろう。顔が真っ青になっていた。
焦るなよ。精神一到をする前に、落ち着いて考えていこう。真也と義輝は、あのドス黒い実を食べたことで、原因不明の病に陥った。だが、俺・美香・バーンさん・リフィアさんは異常なし。
違いはなんだ?強さか?
いや、加護か!
俺達4人には女神サーシャの加護がある。サーシャの基礎能力値は1億以上、その人の加護ならば、どんな呪いでも打ち消せるかもしれない。まずは黒い実の正体を探ってみよう。あれは、俺達の敵だ!さっきの訓練で精神一到の第2段階が見えた気がする。何も考えず、答えを得てもひたすら無想状態で黒い実の奥へ奥へいくんだ。
------わかった!
黒い実、名称はトイフェルベリー、外側はマインドイーターという毒薬、実の中心部はマインドイーターを操る【何か】がいる。それを食べると、精神がマインドイーターに侵され徐々に減衰していく。ある程度弱くなったところで、【何か】は身体を乗っ取り、精神を食べることで、持ち主の能力を全て吸収し、完全に身体と一体化する。一体化するまでは、【何か】の討伐はまず不可能。また、身体が乗っ取られる前に、聖魔法『グラッジピュリファイン』を使用すれば、討伐は無理でもエビルベリーを簡単に追い出すことが可能である。トイフェルベリーを食べずに潰したとても、それは討伐にならず、またどこかの木から生えてくる。トイフェルベリーを完全に討伐する方法は2つ、1つ目は通常の人が食した場合、一体化した後に宿主を殺せばいい。2つ目は称号『女神サーシャの加護』を持っていれば食べるだけで討伐可能。加護の防御機能が発動し、体内で討伐される。
これが精神一到で見えた答えだ。
トイフェルベリーの討伐は、真也と義輝を殺すことと同義だ。そんな選択を取れるわけがない。真也と義輝の身体から追い出すことが先決だ!
「リフィアさん、美香、治療方法がわかりました!ただし、これは討伐ではなく、2人の身体の中にある黒い実を外に追い出すだけです。どのようにして出てくるのかわからない以上、慎重に治療を行なって下さい。治療方法は聖魔法『グラッジピュリファイン』です」
「ハルト、終わったら詳しいことを教えてね。いくわよ、ミカ!」
「はい!」
「「『グラッジピュリファイン』」」
真也と義輝の身体が光り出した。すると、身体が少し透けて全体に広がっている黒いものがウネウネ?燧き苦しんでいることがわかった。しばらくすると黒いものは、2人の鳩尾部分に集まり出し、全て集まったところで身体がニュッと出てきて床に落ち溶けてなくなった。
「魔力の暴れが収まったわ。これで大丈夫のようね」
「春人、あの黒い物体なんなの?」
「名称はトイフェルベリー、実の中心部分にいる【何か】がマインドイーターという毒物を操って、食した人の精神を減退させ、身体を乗っ取る効果があるらしい。乗っ取った後、身体の持ち主の精神を食べることで、能力を全て吸収し、完全に身体と一体化する。その【何か】は、身体と一体化することで初めて実体化され討伐が可能となるそうだ。今回は身体から除去しただけで、追い出されたトイフェルベリーはまたどこかの木に宿る」
「トイフェルベリー、聞いた事もないわ。シルフィーユ王国にそんな危険なものはないはず。間違いなく邪族が絡んでいるわね」
長く生きているリフィアさんでも、トイフェルベリーを知らないのか?
「おい、ハルト、その【何か】というのは何だ?邪族か?」
「そこなんですよ、バーンさん。いくら調べても、その【何か】の正体に辿り着けませんでした。少なくとも邪族ではないと思います」
大体、邪族なら邪族と、スキルが教えてくれるはずだ。
「確かにな。邪族なら【何か】とは言わないからな」
「リフィアさん、真也君と義輝君は大丈夫なんでしょうか?」
「ユミ、大丈夫よ。2人とも黒いものと戦って、精神は擦り減っているだろうけど、このままゆっくり休ませれば、明日には回復するでしょう」
「よかった~」
「夕実、真也にお礼を言っておきなさいよ!」
「うん」
なんとかこれで落ち着きはしたが、肝心な事が何1つ解決していない。そう、この村の連中だ。あいつらが運んできた食事に、トイフェルベリーはあった。
「バーンさん、村のエルフ達の何人かは既に乗っ取られています。下手したら全員が---」
「ああ、ありえる。ハルト、【何か】を討伐するには一体化した身体を殺すしかないのか?」
いえ、もう1つ方法があります。これを言うと、リフィアさんと美香が嫌がるだろうな~。
「トイフェルベリーの討伐方法は、2つあります。普通の人がトイフェルベリーを食べた場合は、一体化してからしか討伐出来ません。もう1つは-------」
「どうした、ハルト?何か言いづらそうだな」
俺はリフィアさんと美香を見た。リフィアさんは、俺が何を言いたいのか察したようだ。
「ちょっと嘘でしょ!まさか、『サーシャの加護』?」
「え、えーーー!」
美香も気付いたか。
「はい、『女神サーシャの加護』を持つ者は、食べるだけで討伐可能です」
「くくく、やってくれるな。リフィア、美香、食べるぞ」
「冗談じゃないわよ!治療中に見たあのウネウネしたドス黒いものを食べれるわけないでしょ!」
「リフィアさんの言う通りですよ!」
そりゃあ~嫌がるよな。
「ほう、なら他のエルフ達が死んでもいいというわけだな」
バーンさん、そんなこと言ったら。
「「う!」」
「すいません、討伐には、俺らが食うしかありません」
「ある意味、加護がなくてよかった」
「夕実、ずるいよ~。手伝ってよ~」
「私の場合、加護がないから手伝えません、ごめんね」
「薄情者~~」
真也と義輝を運んだら、トイフェルベリーに関しては4人で食べるしかないな。
「まあ、食べるのは後にして、一体化されていたら、最悪村人全員を殺す事になるぞ」
「ちょっと待って、バーン!ハルトだけじゃなく、私達も乗っ取っられたかどうか判断出来るようにしたいわ。今の時点で、それをやらないでよ」
「当たり前だ。さっき言ったのは、村人全員が一体化された場合での最終手段だ。現状、どう行動するかだな」
そう、問題はそこだ。おそらく、冒険者達はトイフェルベリーを食べた事で、身体を乗っ取られ一体化されたんだ。だから、王都には戻らなかったんだ。サーシャの加護がなかったら、俺達も殺されていたな。
行動パターンとして、
1) 何事もなかったかのように振る舞う
2) 俺達全員死んだ事にして、その【何か】になった演技をする
3) 急用を思い出したとか言って、2グループに分けて別行動をとる
2と3は、無しだな。【何か】が何者であるかがわからないから演技だと1発でばれる。2グループに分けた場合、村に留まるメンバー危険過ぎる。
「バーンさん、トイフェルベリーを食べた後、料理に『グラッジピュリファイン』を唱えてから全部食べましょう。何事もなかったかのように振る舞うのが、1番無難な選択だと思います」
「ハルトの言う通りだな。村人達が何人トイフェルベリーを食べたのかわからない以上、迂闊な行動を取れん。今は、情報が少な過ぎる。明日、村人が何人乗っ取っられたのか、何人一体化されたのか、いくつか確認する必要があるな」
そういうと、バーンさんは静かにトイフェルベリーを見つめた。
「よし、お前ら残りの夕食を食うぞ」
「皆さん、トイフェルベリーは任せました。真也君や義輝君の事で、あまり食欲はありませんが、私は唐揚げや天麩羅を食べます」
「夕実、ずるい!トイフェルベリーは食べるから一緒に食べよう!」
お前ら、真也と義輝が無事だとわかった途端、それかよ。なんか、薄情じゃないか?
普通、【そこは食欲が失せました、2人を看病します】だろ。
なんで、揚げ物の食欲だけがあるんだよ!これも、清水の手料理の影響なのか?
ふ~、俺も覚悟を決めて食べるか!
「美香、先にトイフェルベリーを食べるぞ」
「う!わかったわ。その後に、ご馳走が待っていると思えばいい」
「リフィアも、美香のように覚悟を決めろ」
「あの子達の揚げ物の情熱は、どこから来るのよ?わかったわ、食べますよ!」
リフィアさんがヤケクソになってるよ?
結局、真也と義輝を運んだ後、嫌々ながらトイフェルベリーを食べた。美味しさと恐怖が混ざった味がしたよ。その後、この家全体にサイレントをかけ、念のため料理全体に聖魔法『グラッジピュリファイン』を唱えてもらい、俺達は料理を全て平らげた。真也と義輝がいない分、かなりきつかった。
○○○
夕食を全て食べ終わると、村長が訪ねてきた。
「皆さん、お口に合いましたか?おや、お二人いませんが、どうされたんですか?」
俺が理由を言っておくか。
「大丈夫です。料理が凄く美味しくて食べ過ぎたんですよ。部屋で、横になっている間に眠ってしまったんです。夕食、ありがとうございます」
「「唐揚げと天麩羅が最高でした!!!」」
「そこまで喜んで頂けると、我々としても嬉しい限りです。今日は、ゆっくりと休んで下さい」
「村長、あの黒い実はここの特産なんですか?」
俺は、思い切って尋ねてみた。怪しまれない言い方だから、まず大丈夫だろう。
「いえ、最近になって採れだした新種です。見た目があれなので、私は食べていませんが、何人かが食べて美味しかったらしいのでお出ししました」
「新種の場合は、一応魔法で問題ないか調べておいたほうがいいですよ。中には、2週間経過して、毒が現れる場合もあります。俺はその分野の専門家ですから、明日調べておきましょうか?」
「なんと!そうなんですか!わかりました、是非お願いします。とんでもない物をお出ししてしまい申し訳ありません。明日の内に黒い実を集めておきます。食べた物達も探しておきましょう」
村長達は、そう言って夕食のお皿を引き上げていった。物腰柔らかな村長を見る限り、【何か】に乗っ取られたような素ぶりが全くない。他の人達も、皆優しかった。明日は村人全員を『精神一到』でチェックする必要があるな。
「あの村長は、まず大丈夫たろう。怪しい気配を微塵も感じなかった」
「ハルト、あの言い方良かったわよ。あれなら怪しまれる事もないでしょう」
「明日から忙しくなりそうですね」
「あの~、私が真也君と義輝君を看病しますので、ハルト君は休んでいて下さい」
「夕実、いいのか?」
「はい、明日はハルト君の『精神一到』を使う時間が多いはずですから」
「夕実、私も一緒にいくよ。何かあった時、2人いれば対処しやすいでしょ」
「美香、お願いしていい?」
「うん」
真也と義輝の看病を夕実と美香に任せた。
「それにしても、トイフェルベリーがこの村だけに生息しているとは思えないわね」
「ああ、王都にまで侵食していなければいいんだがな」
「明日、村人をチェックしつつ、トイフェルベリーの中にある【何か】の討伐方法をもっと探ってみます」
「ああ。うん、ふと思ったんだか、王都にトイフェルベリーが大量にあった場合、俺達4人で食べないといけないな」
げ!必然的にそうなるよな。あの味と2人の身体の中でウネウネ動いていたあれを思い出すと、吐き気がしてきた。
リフィアさんを見ると、俺と同じ事を思ったのだろう。顔が真っ青になっていた。
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