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最終章 邪王討伐編
ドーピング禁止条約の締結
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ハイエルフの王宮に戻ると、佐江さんと努さん以外に、国王・王妃・バーンさん・リフィアさんがいた。佐江さんが何やら話し込んでいるわね。
《サーシャ達が戻ってきた様です。良いですか、皆さん、あの映像を見てわかる様に、2人の女神は世界平和を望んでいますが、少しでも意にそぐわない連中がいたら、女神と加護者達は殺戮者へと変貌し、先程の結果が自分達の国で起こる可能性が高い事がわかりましたね。絶対に逆らってはいけませんよ。この通信は私達も死を覚悟して、皆さんにお見せしたんですからね。それでは、あの条約は締結という事で、続きは明日行いましょう》
今、不穏な言葉を聞いたんだけど?佐江さん達が上空から邪王討伐を観察していたのは知っていたけど、なんだか嫌な予感がするわ。
「ちょっと佐江、今、私達の事を殺戮者と言わなかった?」
「-------」
佐江さんは、黙って努さんを見た。努さんが説明してくれるようね。サリアを納得させるなら、努さんの方が良いかもね。
「サリアとサーシャは、私達が虫を経由して邪王討伐戦を上空から観察していたのは知っているよね?」
「もちろんよ!」
「今回の邪王討伐戦は、全ての国々の国王達も観戦していたんだ」
あちゃあ、虫がいるのはわかっていたけど、全ての国々の国王達に見られていたんだ。そうなると、殺戮者と呼ばれたのもわかる気がする。
「だから何よ?」
「邪王を含めた約1万の軍勢、邪族全てがAクラス以上という脅威をたった25分で全てを終わらせた。ならわかるよね?殺戮者の意味が?」
「だから、なんで殺戮者なのよ。邪族達を皆殺しにしただけじゃない!」
ここは、私からも言っておこう。
「まあ、殺戮者と言われても仕方ないわね」
「はあ!?なんでよ、サーシャ!」
「上空から観察してわかったけど、邪族の討伐方法が残酷過ぎるのよ。美香・夕実・真也君・義輝君は不名誉な称号を無くすために、邪族達を殲滅しながら前へ前へと突き進んだ。その際、狂気の笑みを浮かべながら、許しを請う者、逃げ出す者、錯乱する者、そういった邪族達に対して、表情を崩すことなく斬りまくっていたわ」
「「「え!?」」」
「茜、私、そんな表情してましたか?」
「ええ、『V3を外してもらう。邪魔する奴は、私の魔法で斬り刻む』とか言ってたわよ」
夕実が首を傾げている。必死にやり過ぎて、記憶にないのね。
「美香に到っては、『オラオラ退きなさい。美香様のお通りよ!』と叫びながら斬り刻んでいたわね。真也君と義輝君も似た様な事を言っていたわ」
「う!確かに言った気がするけど、そこまで残酷な事はしていないはず?」
言った言葉は覚えているけど、邪族の言葉までは覚えてないか。真也君と義輝君似た様なものか。
「春人君は、まだ理性があったわね。ただ-----邪族達の忠誠心が予想以上に高い事を確認した後、普通なら敬意を表して全力で相手するところを『全力----を出すと、邪王ごと島も消滅するから、程々の力でお相手しよう』とか言って、邪族を怒らせて一斉に襲いかかって来たところを一振りで何十体も一気に真っ二つにしたわね。周りの邪族が恐怖を抱いて動けなくなったところを容赦なく斬り伏せていったわ」
「えーーー、そりゃあ確かにそうしたけどさ。そこで、躊躇したらダメだろ!」
うーん、全員笑いながら、躊躇なく邪族達を斬り伏せ姿が殺戮者に見えたんだろうな。
「サリアなんか、もっと最悪よ。邪族がサリアの力を理解して完全に戦意を無くしているのに、それをわかっていて一撃で葬らず痛ぶっていたからね」
「う!」
「もう、わかっただろう?国王達は、邪族を殺戮する姿を虫を通して見ていたんだ。極めつけが、春人が面倒くさそうに神剣を伸ばしたところに、邪王が突っ込んで縦に一刀両断された。レンズ越しで見ると、『殺戮に飽きたから、適当に殺してしまえ』という印象だった」
「はあ!なんでですか!?あれは半信半疑で神剣を伸ばしたんですよ!ラスボスなのに、面倒いわけないでしょう?」
レンズ越しからだと、そう見えるのね。
「---邪王が討伐されて、もう2度と出現しないことがわかり、国王達は喜んでいたよ。ただ----全員一致で、ある1つの取り決めが行われた。今回、邪族よりも恐ろしい存在とされる悪魔が召喚され、スフィアタリア全土が滅亡の危機に陥った。悪魔に対抗するため、やむなく短期間で強くなれるドーピング行為を行なった。しかし、大量のドーピングを行い、邪王率いる邪族軍勢に挑んだ結果、邪王すら簡単に屠れる殺戮者達が誕生してしまった。国王達は君達を見て、心底恐れていたよ。春人達は地球に送還されるから問題ないが、サーシャの加護者達は、全員がドーピングしている。もし機嫌を損ねたら、確実に国を滅ぼされると理解したからだ。また、トイフェルベリー程ではないが、スフィアタリアにも各能力値を1~5ポイント程増加させるアイテムがダンジョン内に存在する。アイテムの使用によるドーピング行為を容認したままだと、第2・第3の殺戮者が生まれる可能性がある。そこで、こういったドーピング行為は世界中で使用禁止とする【ドーピング禁止条約】が締結された。今回、ドーピング行為が人の性格を大きく変化させるという事例がわかったから、国王達は【邪王討伐】と【ドーピング行為の危険性】について感謝していたぞ」
「努さんと佐江さんは、俺達があの行動を取った理由を知ってましたよね?国王達の反応を見て利用したんですか?」
「まあ、そういう事だ。元々、アイテムを使用したドーピング自体が人の精神にどういった副作用を及ぼすのかわかっていないから、あえて利用させてもらった。国王達は、顔を蒼褪めながら完全に信じたよ」
「----俺達5人、ドーピングだけじゃなく、殺戮者という称号が追加されたか」
春人君達、邪王を討伐したというのに、気分が沈んでいる。ドーピングに殺戮者か、そんな称号をもらって喜ぶ人はいないわね。
そして地球だけでなく、この世界でも、ドーピングは禁止となったか。まあ、あの殺戮をレンズ越しで見たら誰でもそう思うか。そうなると、私の加護者達は、今後どうなるのかな?
「努さん、レオンは国王兼加護者なんですが、なんと言ってましたか?」
「ああ、彼はこちらの意図を瞬時に理解し、私に合わせてくれたよ。彼が、サーシャの加護者である事はバレていないから安心したまえ。現状、全世界においてサーシャの加護者と判明しているのは、アイリス・ジン・リッカの3名だ。だが、サーシャはこれから各国へ出向き謝罪していくんだろ?必ず聞かれると思うよ」
まあ、当然ね。変に隠さない方が良いわね。
「レオン以外の名前を言っておきます。加護者で困るのは、バーンさん達とウィルさん達ですね。キースとアレイルは左程困らないでしょう。ただ、そうなると加護者達を自分の国へ引き入れる連中が現れるかもしれませんね」
側に控えているバーンさんとリフィアさんが複雑そうな顔をしている。あの2人は冒険者の中でも、超有名だから生活しにくくなるかな?
「大丈夫だ。さっきの通信で、そういった行為は控える様に言っておいた。聞いていたと思うが、全ての国において、【女神の加護者達の機嫌を絶対に損ねるな】という暗黙のルールが決まった」
邪王戦で、畏怖の対象になってしまったか。
「バーンさん、リフィアさん、現時点で何か言われましたか?」
「俺はテルミア王国側の人間だからな。1度帰って、王と謁見するだろうが問題ない。これまで通り、冒険を続ける。俺が加護者である事を知っているのは、各国の上層部だけだろう。それならば問題ない」
「ふふふ、私も問題ないわ。【加護者の機嫌を損ねるな】というルールを利用させてもらうわ。私は、誰にも縛られず自由に生きたいの。だから、これまで通りバーンと冒険を続けるわ。自由に生きたいからね!多分、ウィルやロイ達も、同じ考えよ」
そっか、今後の方針をもう決めているんだね。
「バーンとリフィアに関しては、問題ないだろう。あともう1つ、今回の邪王討伐戦を見て、皆と相談した結果、全員一致でサーシャとサリアの通り名が決定したよ」
「「通り名!?」」
「そうだ。国王達からは君達に言わない様きつく厳命されているんだが、どうせバレるだろうから、ここで暴露しておく。怒らないで聞いて欲しい。サーシャは【破壊と創造の女神】、サリアは【殺戮と平和の女神】だ」
「へえ、破壊と創造か、合ってますね。別に怒りませんよ」
「私は怒るに決まっているでしょう!なんで殺戮と平和なのよ!真逆じゃない」
「サリアの場合、邪族に対しては殺戮を繰り返していた。だが、時折仲間達を気にしていただろ?比較的近くにいる夕実や真也を気付かれないように見守っていただろ?だから、到着時間も遅れた」
「な!仲間なんだから気になるでしょうが!」
「それが国王達には微笑ましく見えたんだろう。仲間と認められた者達には、平和を与える女神、嫌われた者達には一切の容赦がない殺戮の女神と判断されたのさ」
「----怒っていいのか、わからなくなったわ」
ふふ、そうね。
まあ、春人君達にとって不本意な称号が付いたけど、ドーピング行為も禁止になったし、国王達も私とサリアを新たなスフィアタリアの女神として認識してくれたようね。これで全ての決着が付いた。あとは、春人君達を地球に送還するだけだ。
春人君を見ると、さっきとは違って神妙な顔をして、何か真剣に考え込んでいるわね。
「茜、せっかくだから、今この場で言いたい事がある」
「え、ひょっとして、この前のこと?」
「ああ、そうだ。今、この場には他のクラスメイト達もいない。言えるとしたら、今しかないんだよ」
「ちょっと春人、2人っきりの時に言えばいいでしょう?」
2人っきり!?
まさか、------告白とかじゃないよね?
転移前に言われた美香の言葉が不意に思い出した。
《茜は、絶対に眼鏡からコンタクトレンズに変えるべきよ。そしたら、あいつも、今以上に意識するはず!》
《あいつって誰?》
《それは、もちろん、さ-------》
《美香は、今、何を言おうとしましたか?そういうのは、当人達に任せれば良いんです》
あの時、夕実が美香の口を塞いだから、最後まで聞けなかったけど、【桜木君】と言おうとしたのかな?
私自身、桜木君に感じるこの想いが、なんなのか理解している。桜木君と離れ離れになった事で、この感情が【好き】という恋愛感情なのだと、ようやくわかった。今迄、覆い隠していたけど、いまになって表に出てきた。この思いは、桜木君達が地球に帰ってから、分身を介して言おうと思ったんだけどな~。
まずい、身体がドキドキしてきた。桜木君は、私のことをどう思っているのだろうか?
「-----いや、ここにいるメンバーにも聞いて欲しいんだ。以前、クラスメイト達の前で宣言して、盛大にやらかしたし構わないよ。雰囲気が重要なのはわかるけど、テルミアに戻ったら、パーティーとかで殆ど話せない可能性が高い。それに、その件以外にも言いたい事があるんだ」
?
え、この場で言うのだから、告白とかじゃないよね。
なんだろう?心が落ち込むような、この感じは?
桜木君は、到って真剣な表情だ。
告白じゃなければ、何を言うつもりなのかな?
《サーシャ達が戻ってきた様です。良いですか、皆さん、あの映像を見てわかる様に、2人の女神は世界平和を望んでいますが、少しでも意にそぐわない連中がいたら、女神と加護者達は殺戮者へと変貌し、先程の結果が自分達の国で起こる可能性が高い事がわかりましたね。絶対に逆らってはいけませんよ。この通信は私達も死を覚悟して、皆さんにお見せしたんですからね。それでは、あの条約は締結という事で、続きは明日行いましょう》
今、不穏な言葉を聞いたんだけど?佐江さん達が上空から邪王討伐を観察していたのは知っていたけど、なんだか嫌な予感がするわ。
「ちょっと佐江、今、私達の事を殺戮者と言わなかった?」
「-------」
佐江さんは、黙って努さんを見た。努さんが説明してくれるようね。サリアを納得させるなら、努さんの方が良いかもね。
「サリアとサーシャは、私達が虫を経由して邪王討伐戦を上空から観察していたのは知っているよね?」
「もちろんよ!」
「今回の邪王討伐戦は、全ての国々の国王達も観戦していたんだ」
あちゃあ、虫がいるのはわかっていたけど、全ての国々の国王達に見られていたんだ。そうなると、殺戮者と呼ばれたのもわかる気がする。
「だから何よ?」
「邪王を含めた約1万の軍勢、邪族全てがAクラス以上という脅威をたった25分で全てを終わらせた。ならわかるよね?殺戮者の意味が?」
「だから、なんで殺戮者なのよ。邪族達を皆殺しにしただけじゃない!」
ここは、私からも言っておこう。
「まあ、殺戮者と言われても仕方ないわね」
「はあ!?なんでよ、サーシャ!」
「上空から観察してわかったけど、邪族の討伐方法が残酷過ぎるのよ。美香・夕実・真也君・義輝君は不名誉な称号を無くすために、邪族達を殲滅しながら前へ前へと突き進んだ。その際、狂気の笑みを浮かべながら、許しを請う者、逃げ出す者、錯乱する者、そういった邪族達に対して、表情を崩すことなく斬りまくっていたわ」
「「「え!?」」」
「茜、私、そんな表情してましたか?」
「ええ、『V3を外してもらう。邪魔する奴は、私の魔法で斬り刻む』とか言ってたわよ」
夕実が首を傾げている。必死にやり過ぎて、記憶にないのね。
「美香に到っては、『オラオラ退きなさい。美香様のお通りよ!』と叫びながら斬り刻んでいたわね。真也君と義輝君も似た様な事を言っていたわ」
「う!確かに言った気がするけど、そこまで残酷な事はしていないはず?」
言った言葉は覚えているけど、邪族の言葉までは覚えてないか。真也君と義輝君似た様なものか。
「春人君は、まだ理性があったわね。ただ-----邪族達の忠誠心が予想以上に高い事を確認した後、普通なら敬意を表して全力で相手するところを『全力----を出すと、邪王ごと島も消滅するから、程々の力でお相手しよう』とか言って、邪族を怒らせて一斉に襲いかかって来たところを一振りで何十体も一気に真っ二つにしたわね。周りの邪族が恐怖を抱いて動けなくなったところを容赦なく斬り伏せていったわ」
「えーーー、そりゃあ確かにそうしたけどさ。そこで、躊躇したらダメだろ!」
うーん、全員笑いながら、躊躇なく邪族達を斬り伏せ姿が殺戮者に見えたんだろうな。
「サリアなんか、もっと最悪よ。邪族がサリアの力を理解して完全に戦意を無くしているのに、それをわかっていて一撃で葬らず痛ぶっていたからね」
「う!」
「もう、わかっただろう?国王達は、邪族を殺戮する姿を虫を通して見ていたんだ。極めつけが、春人が面倒くさそうに神剣を伸ばしたところに、邪王が突っ込んで縦に一刀両断された。レンズ越しで見ると、『殺戮に飽きたから、適当に殺してしまえ』という印象だった」
「はあ!なんでですか!?あれは半信半疑で神剣を伸ばしたんですよ!ラスボスなのに、面倒いわけないでしょう?」
レンズ越しからだと、そう見えるのね。
「---邪王が討伐されて、もう2度と出現しないことがわかり、国王達は喜んでいたよ。ただ----全員一致で、ある1つの取り決めが行われた。今回、邪族よりも恐ろしい存在とされる悪魔が召喚され、スフィアタリア全土が滅亡の危機に陥った。悪魔に対抗するため、やむなく短期間で強くなれるドーピング行為を行なった。しかし、大量のドーピングを行い、邪王率いる邪族軍勢に挑んだ結果、邪王すら簡単に屠れる殺戮者達が誕生してしまった。国王達は君達を見て、心底恐れていたよ。春人達は地球に送還されるから問題ないが、サーシャの加護者達は、全員がドーピングしている。もし機嫌を損ねたら、確実に国を滅ぼされると理解したからだ。また、トイフェルベリー程ではないが、スフィアタリアにも各能力値を1~5ポイント程増加させるアイテムがダンジョン内に存在する。アイテムの使用によるドーピング行為を容認したままだと、第2・第3の殺戮者が生まれる可能性がある。そこで、こういったドーピング行為は世界中で使用禁止とする【ドーピング禁止条約】が締結された。今回、ドーピング行為が人の性格を大きく変化させるという事例がわかったから、国王達は【邪王討伐】と【ドーピング行為の危険性】について感謝していたぞ」
「努さんと佐江さんは、俺達があの行動を取った理由を知ってましたよね?国王達の反応を見て利用したんですか?」
「まあ、そういう事だ。元々、アイテムを使用したドーピング自体が人の精神にどういった副作用を及ぼすのかわかっていないから、あえて利用させてもらった。国王達は、顔を蒼褪めながら完全に信じたよ」
「----俺達5人、ドーピングだけじゃなく、殺戮者という称号が追加されたか」
春人君達、邪王を討伐したというのに、気分が沈んでいる。ドーピングに殺戮者か、そんな称号をもらって喜ぶ人はいないわね。
そして地球だけでなく、この世界でも、ドーピングは禁止となったか。まあ、あの殺戮をレンズ越しで見たら誰でもそう思うか。そうなると、私の加護者達は、今後どうなるのかな?
「努さん、レオンは国王兼加護者なんですが、なんと言ってましたか?」
「ああ、彼はこちらの意図を瞬時に理解し、私に合わせてくれたよ。彼が、サーシャの加護者である事はバレていないから安心したまえ。現状、全世界においてサーシャの加護者と判明しているのは、アイリス・ジン・リッカの3名だ。だが、サーシャはこれから各国へ出向き謝罪していくんだろ?必ず聞かれると思うよ」
まあ、当然ね。変に隠さない方が良いわね。
「レオン以外の名前を言っておきます。加護者で困るのは、バーンさん達とウィルさん達ですね。キースとアレイルは左程困らないでしょう。ただ、そうなると加護者達を自分の国へ引き入れる連中が現れるかもしれませんね」
側に控えているバーンさんとリフィアさんが複雑そうな顔をしている。あの2人は冒険者の中でも、超有名だから生活しにくくなるかな?
「大丈夫だ。さっきの通信で、そういった行為は控える様に言っておいた。聞いていたと思うが、全ての国において、【女神の加護者達の機嫌を絶対に損ねるな】という暗黙のルールが決まった」
邪王戦で、畏怖の対象になってしまったか。
「バーンさん、リフィアさん、現時点で何か言われましたか?」
「俺はテルミア王国側の人間だからな。1度帰って、王と謁見するだろうが問題ない。これまで通り、冒険を続ける。俺が加護者である事を知っているのは、各国の上層部だけだろう。それならば問題ない」
「ふふふ、私も問題ないわ。【加護者の機嫌を損ねるな】というルールを利用させてもらうわ。私は、誰にも縛られず自由に生きたいの。だから、これまで通りバーンと冒険を続けるわ。自由に生きたいからね!多分、ウィルやロイ達も、同じ考えよ」
そっか、今後の方針をもう決めているんだね。
「バーンとリフィアに関しては、問題ないだろう。あともう1つ、今回の邪王討伐戦を見て、皆と相談した結果、全員一致でサーシャとサリアの通り名が決定したよ」
「「通り名!?」」
「そうだ。国王達からは君達に言わない様きつく厳命されているんだが、どうせバレるだろうから、ここで暴露しておく。怒らないで聞いて欲しい。サーシャは【破壊と創造の女神】、サリアは【殺戮と平和の女神】だ」
「へえ、破壊と創造か、合ってますね。別に怒りませんよ」
「私は怒るに決まっているでしょう!なんで殺戮と平和なのよ!真逆じゃない」
「サリアの場合、邪族に対しては殺戮を繰り返していた。だが、時折仲間達を気にしていただろ?比較的近くにいる夕実や真也を気付かれないように見守っていただろ?だから、到着時間も遅れた」
「な!仲間なんだから気になるでしょうが!」
「それが国王達には微笑ましく見えたんだろう。仲間と認められた者達には、平和を与える女神、嫌われた者達には一切の容赦がない殺戮の女神と判断されたのさ」
「----怒っていいのか、わからなくなったわ」
ふふ、そうね。
まあ、春人君達にとって不本意な称号が付いたけど、ドーピング行為も禁止になったし、国王達も私とサリアを新たなスフィアタリアの女神として認識してくれたようね。これで全ての決着が付いた。あとは、春人君達を地球に送還するだけだ。
春人君を見ると、さっきとは違って神妙な顔をして、何か真剣に考え込んでいるわね。
「茜、せっかくだから、今この場で言いたい事がある」
「え、ひょっとして、この前のこと?」
「ああ、そうだ。今、この場には他のクラスメイト達もいない。言えるとしたら、今しかないんだよ」
「ちょっと春人、2人っきりの時に言えばいいでしょう?」
2人っきり!?
まさか、------告白とかじゃないよね?
転移前に言われた美香の言葉が不意に思い出した。
《茜は、絶対に眼鏡からコンタクトレンズに変えるべきよ。そしたら、あいつも、今以上に意識するはず!》
《あいつって誰?》
《それは、もちろん、さ-------》
《美香は、今、何を言おうとしましたか?そういうのは、当人達に任せれば良いんです》
あの時、夕実が美香の口を塞いだから、最後まで聞けなかったけど、【桜木君】と言おうとしたのかな?
私自身、桜木君に感じるこの想いが、なんなのか理解している。桜木君と離れ離れになった事で、この感情が【好き】という恋愛感情なのだと、ようやくわかった。今迄、覆い隠していたけど、いまになって表に出てきた。この思いは、桜木君達が地球に帰ってから、分身を介して言おうと思ったんだけどな~。
まずい、身体がドキドキしてきた。桜木君は、私のことをどう思っているのだろうか?
「-----いや、ここにいるメンバーにも聞いて欲しいんだ。以前、クラスメイト達の前で宣言して、盛大にやらかしたし構わないよ。雰囲気が重要なのはわかるけど、テルミアに戻ったら、パーティーとかで殆ど話せない可能性が高い。それに、その件以外にも言いたい事があるんだ」
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え、この場で言うのだから、告白とかじゃないよね。
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