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第一章 姪との出会い
9話 陣に潜む罠
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今、《立志の儀》が終わろうとしています。
この儀式自体は本来学園で実施されるもの、事故が起きないよう、先生方が事前に陣のメンテナンスを行うため、不具合なども滅多に起きません。それが王城で実施されるものであれば、メンテナンスに携わった魔術師たちも自分たちの進退が懸かっている以上、陣の隅から隅まで点検が実施されるはずです。
にも関わらず、一回目に召喚されたのは《ひよこ》、二回目に召喚されたのは《ハシビロコウ》、皆もこの結果に違和感こそ感じていましたが、王家直属の魔術師が失敗を犯すはずがないと思い、今では全員が納得しています。しかもラルカーク様は契約に失敗していますし、一騎士が普通に成功したことから、この儀式で彼の資質に疑問を持った者は続出するでしょうし、権威も著しく低下することでしょう。
私自身、陣のすぐ近くで見守っていましたが、陣自体に異常はなかった。
生前、私は王妃教育の合間の時間を使って、趣味で召喚魔術の勉強も嗜み、多くの書籍から魔術回路についての知識も学んでいました。そんな私が召喚後に陣を急ぎ解析したところ、魔術回路自体に不備はなく、誰が召喚を実施しようとも、魔力は滞ることなく、同じ結果が起こることがわかりました。
そう、誰が挑戦しても、必ず鳥類が召喚されることになっていたのです。
何故、《ひよこ》や《ハシビロコウ》が召喚されたのか、それはラルカーク様が召喚時に余計な一言を口にしたからです。本来、心に思うだけでいいのに、わざわざ王子として権威を誇張したかったのかは不明ですけど、あれであんな結果を引き起こしてしまった。このまま終わらせると、彼のプライドがズタズタに引き裂かれますし、犯人に証拠を隠滅され逃げられてしまいますわ。
だから、チェルシーに私の声だけ伝わるよう話したのですが、上手く伝わったようですね。小声で、私に確認を求めてきました。
「ルーテなの? さっきの言葉はどう言う意味?」
チェルシーは私を探しているのか、周囲を見渡しています。
「私は、あなたのすぐ横にいますよ。今から言うことを落ち着いて聞きなさい。今回の立志の儀は、何者かに乗っ取られています」
彼女は私の言葉に驚いたのか、身体が固まります。
「え…なんで…一流の魔術師たちが陣を管理しているのに…」
「理由は不明です。召喚術の発動という意味合いでは、この陣は完璧ですが、何者かが魔術回路に改竄を加えており、誰が行使しても、必ず鳥類が召喚される仕組みになっています」
「な!?」
驚くのも無理ありませんわね。
【魔術回路】というものは、傍目から見れば特殊な紋様にしか見えません。これを解析したい場合、陣の回路入口となる箇所から魔力を流し込み、紋様の中身となる魔術言語を読み解くことで、初めてその意味を理解できます。今回メンテナンスを行う際、魔術師の方々も改竄されているとは普通思いませんから、恐らく回路全体に滞りがある箇所だけを修繕し、中身を読み解く作業を怠ったのでしょう。
私は全てを説明すると…
「ルーテ…まさかとは思うけど、私がそれをこの場で指摘しろと?」
チェルシーは全てを察したのか、顔が蒼ざめ身体も少し震えています。
「申し訳ないと思っているのですが、頼めるのはあなたしかいません」
この時点で私のことを深く理解しているのはチェルシーのみ、あなたが陣の改竄を指摘しないと、ラルカーク様の地位が谷底へと転落します。まあ、指摘したとしても、王族の権威も多少揺らいでしまいますが、この件は私の事件と関係しているかもしれない。何故ならば、もしクリスティーの言った言葉が実現していたら、順番的に被害を被るのはチェルシーだったからです。
そうなっていたら、あそこに佇んでいたのは間違いなく彼女でしょう。私は王族の権威よりも、姪の命を護ることを最優先します!! 犯人の狙いがチェルシーなのか王族なのか不明ですけど、今叩いておかないと、後々必ず面倒なことが起きます。
「私がフォローしますから、ラルカーク様のもとへ行きましょう!!」
「ええ~」
ここまで露骨に嫌がられるとは、ラルカーク様とチェルシーの関係はあまりよくないようですね。
「チェルシー、さっきから一人で何を言っているの?」
私のすぐ横にいるクリスティーが、訝しげながらチェルシーに問いかけてきます。そういえば、私は姿を見せていませんから、傍目から見ればチェルシーが独り言を言っているように見えますね。
「クリスティー……ごめん!! 事情は後で説明するから、今は止めないで!!」
チェルシーは吹っ切れたのか、ラルカークのもとへずんずん進んでいきます。
「え、ちょっ…何をする気なの!?」
クリスティー、ごめんなさい。
しばらくの間、チェルシーをお借りします。
覚悟を決めたのか、チェルシーの顔からはやる気を感じさせます。彼女がラルカーク様に対して指摘してからが、本当の意味での始まりですね。陣自体はここにありますので、この場での証拠隠滅はありえませんが、もし犯人が招待者の中にいるのなら、必ず何か仕掛けてくるでしょう。
この儀式自体は本来学園で実施されるもの、事故が起きないよう、先生方が事前に陣のメンテナンスを行うため、不具合なども滅多に起きません。それが王城で実施されるものであれば、メンテナンスに携わった魔術師たちも自分たちの進退が懸かっている以上、陣の隅から隅まで点検が実施されるはずです。
にも関わらず、一回目に召喚されたのは《ひよこ》、二回目に召喚されたのは《ハシビロコウ》、皆もこの結果に違和感こそ感じていましたが、王家直属の魔術師が失敗を犯すはずがないと思い、今では全員が納得しています。しかもラルカーク様は契約に失敗していますし、一騎士が普通に成功したことから、この儀式で彼の資質に疑問を持った者は続出するでしょうし、権威も著しく低下することでしょう。
私自身、陣のすぐ近くで見守っていましたが、陣自体に異常はなかった。
生前、私は王妃教育の合間の時間を使って、趣味で召喚魔術の勉強も嗜み、多くの書籍から魔術回路についての知識も学んでいました。そんな私が召喚後に陣を急ぎ解析したところ、魔術回路自体に不備はなく、誰が召喚を実施しようとも、魔力は滞ることなく、同じ結果が起こることがわかりました。
そう、誰が挑戦しても、必ず鳥類が召喚されることになっていたのです。
何故、《ひよこ》や《ハシビロコウ》が召喚されたのか、それはラルカーク様が召喚時に余計な一言を口にしたからです。本来、心に思うだけでいいのに、わざわざ王子として権威を誇張したかったのかは不明ですけど、あれであんな結果を引き起こしてしまった。このまま終わらせると、彼のプライドがズタズタに引き裂かれますし、犯人に証拠を隠滅され逃げられてしまいますわ。
だから、チェルシーに私の声だけ伝わるよう話したのですが、上手く伝わったようですね。小声で、私に確認を求めてきました。
「ルーテなの? さっきの言葉はどう言う意味?」
チェルシーは私を探しているのか、周囲を見渡しています。
「私は、あなたのすぐ横にいますよ。今から言うことを落ち着いて聞きなさい。今回の立志の儀は、何者かに乗っ取られています」
彼女は私の言葉に驚いたのか、身体が固まります。
「え…なんで…一流の魔術師たちが陣を管理しているのに…」
「理由は不明です。召喚術の発動という意味合いでは、この陣は完璧ですが、何者かが魔術回路に改竄を加えており、誰が行使しても、必ず鳥類が召喚される仕組みになっています」
「な!?」
驚くのも無理ありませんわね。
【魔術回路】というものは、傍目から見れば特殊な紋様にしか見えません。これを解析したい場合、陣の回路入口となる箇所から魔力を流し込み、紋様の中身となる魔術言語を読み解くことで、初めてその意味を理解できます。今回メンテナンスを行う際、魔術師の方々も改竄されているとは普通思いませんから、恐らく回路全体に滞りがある箇所だけを修繕し、中身を読み解く作業を怠ったのでしょう。
私は全てを説明すると…
「ルーテ…まさかとは思うけど、私がそれをこの場で指摘しろと?」
チェルシーは全てを察したのか、顔が蒼ざめ身体も少し震えています。
「申し訳ないと思っているのですが、頼めるのはあなたしかいません」
この時点で私のことを深く理解しているのはチェルシーのみ、あなたが陣の改竄を指摘しないと、ラルカーク様の地位が谷底へと転落します。まあ、指摘したとしても、王族の権威も多少揺らいでしまいますが、この件は私の事件と関係しているかもしれない。何故ならば、もしクリスティーの言った言葉が実現していたら、順番的に被害を被るのはチェルシーだったからです。
そうなっていたら、あそこに佇んでいたのは間違いなく彼女でしょう。私は王族の権威よりも、姪の命を護ることを最優先します!! 犯人の狙いがチェルシーなのか王族なのか不明ですけど、今叩いておかないと、後々必ず面倒なことが起きます。
「私がフォローしますから、ラルカーク様のもとへ行きましょう!!」
「ええ~」
ここまで露骨に嫌がられるとは、ラルカーク様とチェルシーの関係はあまりよくないようですね。
「チェルシー、さっきから一人で何を言っているの?」
私のすぐ横にいるクリスティーが、訝しげながらチェルシーに問いかけてきます。そういえば、私は姿を見せていませんから、傍目から見ればチェルシーが独り言を言っているように見えますね。
「クリスティー……ごめん!! 事情は後で説明するから、今は止めないで!!」
チェルシーは吹っ切れたのか、ラルカークのもとへずんずん進んでいきます。
「え、ちょっ…何をする気なの!?」
クリスティー、ごめんなさい。
しばらくの間、チェルシーをお借りします。
覚悟を決めたのか、チェルシーの顔からはやる気を感じさせます。彼女がラルカーク様に対して指摘してからが、本当の意味での始まりですね。陣自体はここにありますので、この場での証拠隠滅はありえませんが、もし犯人が招待者の中にいるのなら、必ず何か仕掛けてくるでしょう。
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