記憶喪失となった転生少女は神から貰った『料理道』で異世界ライフを満喫したい

犬社護

文字の大きさ
22 / 42

22話 大病を患いし王女と医療の神童

しおりを挟む
私たちが病室に到着すると、ロイドさんが扉にノックする。
扉が開き、中から現れたのは、赤髪で20歳くらいの女性だ。

「ロイド様、セリーナ様……リオンはともかく、そちらの女の子は?」

女性は警戒した目で、私を睨む。

「エミリア。レイナに憑いていたストーカーは、ここにいるユイによって討伐されました。あの時に感知した奇妙な気配は、彼女のスキルによるものです」

セリーナ様からレイナさんの無事を聞いたせいか、女性は私に対する警戒心を薄めていく。

「そうだったのですね。レイナや他の方々に怪我は?」
「ありません。というか、霊視持ちがいなかったこともあり、騒動が起きていたことに、全員気づいていませんでした。ユイの持つ特殊スキルのおかげですね」

「ユイ、私はセリーナ様直属護衛のエミリア、レイナとは親友で、一時期彼女の護衛をしていたのよ」

話に出ていた護衛って、エミリアさんのことだったんだ。

「あなたが、ゴースト討伐特有のスキルを持っていてくれて助かったわ。一般的な魔法や魔道具を使っていれば、皆に認識されて、大騒動になっていたもの。レイナを救ってくれてありがとう。セリーナ様と歳も近そうだし、良い話し相手になってくれそうね」

「セリーナの話し相手? ということは、リオン以外のお友だちね」

エミリアさんの後方から現れたのは、12、3歳くらいの青髪の女の子だ。もしかして、彼女がアリステア様?

「私はアリステア・エヴァンティーヌ。ここに連れてきたということは、セリーナの事情も把握しているのかしら?」

「はい、さっき聞きました」
「ふふ、なるほど。それなら、私の話相手になり得るのか試させてもらうわ」

アリステア様、変な笑みを浮かべているけど、どういう意味? 


○○○


病室に入ると、そこはホテルのスイートルームのような広さがあり、私たちはリビングに入り、私とリオンはソファーに座り、エミリアさんの用意してくれた飲み物を飲んで寛ぐ。ロイドさんは私とリオンの後方、アリステア様が私たちの対面に座り、その後方にエミリアさんが立つ。さっき、アリステア様の護衛とされる男性ルシウスさんがいたけど、入れ替わりで病室の外に出て、今は入口を護衛してくれている。

「みんな、お待たせ」

セリーナ様は幽体離脱を解除して、生身の人間として、この場に現れ、アリステア様の横に座る。

「セリーナ様、大丈夫なんですか?」

私は心配して、彼女に声をかける。見た感じ、身体は少し細いかなと思う程度で、何処にも異常はないように見える。こうやって2人を眺めると、私にはない気品や優雅さを感じる。貴族令嬢って、みんながこうなのかな?

「数時間なら問題ないわ。今日、ロイド様が私のもとを訪れて、新たな霊視持ちの貴方の存在を教えてくれたの。私の話し相手になってもらおうと近日中に会いに行こうと思っていたのだけど、手間が省けたわ。同じ霊視持ち同士、仲良くしましょうね」

ロイドさんが何故ここにいるのか不思議に思っていたけど、そういうことだったのか。私の事情を聞かれた場合、前世の件は明かさず、事故で魔法を使えなくなったことだけを話す手筈になっているから、私も気をつけて話していこう。

「セリーナがお友達と認めたから、次は私の番ね」

アリステア様が話し出すと、セリーナ様は何故かやれやれと言った感じの表情になる。そういえば、王女様を呼び捨てで呼んでいるってことは、2人は相当仲の良いお友達なのかな。

「アリステア。リオンの時もそうだったけど、その方法だと友達を作りにくいわよ。普通に、仲良くすればいいじゃない」

「これが私の主義。話の合わない人はいらない。疲れるだけよ」

リオンの時、どんな話し合いがあったの? ちらっと彼を見ると、苦笑いを浮かべている。私もアリステア様とお友達になりたいけど、何を求めているのかが問題だ。

「ユイ、貴方はセリーナの症状を聞いて、何を思った?」

そう言われても、私は医学知識もないから、専門的なことはわからない。症状を聞いただけで、治療方法はないのが現状。それだけしか聞いていないから、何か意見を言っても、アリステア様に興味を持ってもらえるとは思えない。少しでも関心を持って欲しいから、私も何か言わないと。

「まだ、情報が足りません。セリーナ様、病気になって以降、ステータスに何か変化はありましたか?」

もっと、私でも引っ掛かる情報が欲しい。
病気になったのなら、ステータス欄にも何らかの変化が起こると思う。

「ステータスに? そうね…備考欄に『ステータス異常』という記載があって、あとは魔力量の欄が105から『???』へ変化したくらいね」

ステーテス異常? なんか、不明瞭な記載だ。私の場合、『強奪』『記憶喪失』という名称が明確に表示されているから、セリーナ様の場合は『ガイア・シック症候群』かな?そもそも、なんで魔力量が『???』なの? 

……もしかして……

「聞いたばかりなので確証や根拠もありませんけど、セリーナ様の病気って、身体が悪いのではなく、ステータスが悪いのでは?」

全員が、きょとんとして私を見る。

「だって、『ステータス異常』って抽象的過ぎますよ。何故、病名が記載されていないのか気になります。そもそも、魔力量の表示が『???』というのもおかしいです。そんな表示なら、セリーナ様自身が現在の魔力量を測れないはず」

「言われてみれば……でも、感覚的に今の魔力量は6000程とわかるわ」

6000って、私の6倍!?

「これは私の勝手な憶測ですけど、セリーナ様のステータスを示すシステムに異常が発生して、それが身体に異常を及ぼしているのでは? 身体に異常がないから、どれだけ研究しても、治療法が見つからないのではないかと」

直感的に感じたことを、そのまま言葉にしちゃったよ。だって、50年間、研究されているのに、完治させる治療法が発見されていないんだもん。アリステア様を見ると、すっごく険しい表情となっていて、何か考え込んでいる。

「それ……ありえるかも」
「え!? アリステア、本気で言っているの!」

「本気よ、セリーナ。神が作ったとされるステータスシステム、これって魔法陣や魔道具の魔道回路のようなものよ。神が作ったと言われているシステムだから、それが故障するなんて、今まで誰も考えたこともないわ」

「それは…まあ…疑うだけで不敬となり、教会に睨まれるわ。そもそも、ユイの仮説を、どうやって証明するのよ?」

「私の力では無理ね。神の声を聞けると言われている聖女様なら、あるいは。ロイド様は、どう思います?」

「本来、身体の健康が阻害されて、その異常がステータスに表示される。それが逆…その発想は、誰も考えていないでしょう。システムに異常があるのなら、学園にいる聖女様に頼るしかありませんね。ただ…教会上層部に問い合わせないといけませんが」

みんな、私の仮説について興味を持ってくれているけど、アリステア様の話し相手の件は合格ってことでいいのかな? 

「ユイ、感謝するわ。全員が、その発想を抱いていなかったのだから。私的にはリオンのように、これまでの情報を補足するかのような意見を求めていたのだけど、あなたは全てを覆す程の面白い意見を言ってくれた」

え、それって認めてくれたってこと?

「ふふ、私のお友達としてぴったりよ! 私は研究者として生きているから、どうしてもお話もそっち関係になってしまいがちなの。私的には、私の話を真剣に聞いてくれつつ、世間知らずの私を補助してくれる人が欲しかったの。ユイ、私のお友達になってくれませんか?」

「は、はい! 勿論、喜んで!」

やった、私のお友達が一気に2人も増えた!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

聖女の孫だけど冒険者になるよ!

春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。 12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。 ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。 基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。

転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~

志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。 自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。 しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。 身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。 しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた! 第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。 側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。 厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。 後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。

異世界転移! 幼女の女神が世界を救う!?

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
アイは鮎川 愛って言うの お父さんとお母さんがアイを置いて、何処かに行ってしまったの。 真っ白なお人形さんがお父さん、お母さんがいるって言ったからついていったの。 気付いたら知らない所にいたの。 とてもこまったの。

ヒロイン? 玉の輿? 興味ありませんわ! お嬢様はお仕事がしたい様です。

彩世幻夜
ファンタジー
「働きもせずぐうたら三昧なんてつまんないわ!」 お嬢様はご不満の様です。 海に面した豊かな国。その港から船で一泊二日の距離にある少々大きな離島を領地に持つとある伯爵家。 名前こそ辺境伯だが、両親も現当主の祖父母夫妻も王都から戻って来ない。 使用人と領民しか居ない田舎の島ですくすく育った精霊姫に、『玉の輿』と羨まれる様な縁談が持ち込まれるが……。 王道中の王道の俺様王子様と地元民のイケメンと。そして隠された王子と。 乙女ゲームのヒロインとして生まれながら、その役を拒否するお嬢様が選ぶのは果たして誰だ? ※5/4完結しました。 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました

処理中です...