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溺愛Domは甘やかしたい
溺愛Domは甘やかしたい 2
「おじゃまします」
「どうぞ」
約束の日。最寄り駅まで歩いて行くと、ロータリーまで棗が車で迎えに来てくれていた。
必要な食材を買ってから棗の家に来たが、ダイニングキッチンだけで朋志のアパートが二つ三つは余裕で入りそうだった。
キッチン部分も二人で使っても充分な広さがあり、まるでキッチンスタジオのよう。棗が自分の家で作ろうと提案するのも頷けた。
--- 俺の部屋、キッチンとダイニングとリビングの概念が混沌としてるもんなぁ…
このキッチンに似合う料理は、ターキー、パエリア、ローストビーフ…と想像しながら、棗は照り焼きチキン、朋志はツヤツヤご飯とレタスときゅうりとトマトのサラダを作った。
「棗さん…このチキン美味しいです」
「僕も、丸目さん自慢のご飯を食べられて嬉しいです」
食後は、棗が紅茶を淹れてくれた。
誘われるまま、ソファの隣に座る。
棗が飲みかけのコーヒーをテーブルに置いて、まじまじとしたようすで朋志を見つめる。
「あの…」
穴が空きそうなほど見られては居心地が悪い。棗は、朋志の困惑を感じ取り、ため息をついた。
「!」
大きな手が朋志の腰を引せる。近づく綺麗な顔。
「棗さんっ」
「丸目さん、僕が言ったことは覚えてくれていますか」
--- 合意でプレイがしたい。
「お、覚えています」
棗は、プレイ込みで朋志と付き合いたいと言った。
「でも…」
棗のことは好きだ。まだ半月ほどしか付き合っていないが、これからも関係を続いていきたい。
ゆくゆくはプレイするだろうと思っていた。
棗とプレイしているところなんか、想像すらできていなかったのに。
自分がSubだと自覚した途端、尻込みしてしまう。
この半月、体調も安定していたし、棗がDom性を感じさせずに朋志と付き合ってくれていたから、朋志はSub 性に目を向けなくて済んでいただけだった。
--- プレイを断ったら、棗さんとの関係も終わるのか…
ズボンの端をぎゅっと握りしめる。
それは嫌だ。
だったら、受け入れた方が良いのかもしれない。
棗さんはプレイをしたがっている。
俺はこの関係を続けたい。
プレイしているときのあの底知れない不安。
命令が合っているのかどうかもわからないけど、ただ満足して欲しい、褒めてほしいとしか考えられなくなるあの時間…。
あの時間を我慢してやり過ごせばいい。
いや、そもそも、命令が聞けないSubなんか、すぐに飽きられてしまうだろう。
「丸目さん」
俯く朋志を優しく抱く腕。内緒話のように耳元に響く声。
「そんなに下を向いていたら首が折れてしまいますよ」
「折れません」
ふっ。棗が笑う。
「僕は、丸目さんの気持ちが知りたいです」
「丸目さんがプレイをしたくないなら、そうしましょう」
「あなたと一緒にいたいです」
真摯に伝えてくれる言葉に、心が揺らぐ。
おずおずと棗の背中に腕を回す。
棗も抱き返してくれる。
温かい。これが安心できる熱だと最初からわかっていたと思う。
棗のことは不思議と最初から嫌ではなかった。
棗はDomだと知っていたのに、惹かれていた。
朋志がこわいのは…
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