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トラウマSubは溺愛Domに縛られたい
トラウマSubは溺愛Domに縛られたい 1
棗のプレイは甘くて、優しかった。
お互いの好みをすり合わせるため、簡単なプレイを重ねていた。
「丸目さん、Come」
棗の声は柔らかい。しかし、朋志にとっては支配者の声。
リビングで雑誌を読んでいた手が止まる。声がした方を見ると、ドアの前で棗が立っていた。
ハグをする。
「おかえりなさい」
「Goodboy. ただいま」
棗の髪は少し濡れていた。
いい匂いもする。シャワーを浴びてきたようだ。
週に二回、夕方のジョギングをしているようで、朋志も誘われたが、今の体力では棗の足を引っ張るだけだと思って断り、部屋で待たせてもらった。
「いつの間に帰って来たんですか」
「驚かせましたか」
緩んだ頬。わざと音を立てずに帰って来たとわかり、呆れる。
「ふてくされないでください。夕食は丸目さんの好きなものにしましょう」
駐車場で、棗が車のキーを仕事用のかばんに入れたままにしていたことに気がついた。
「すみません、ちょっと取ってきます」
「はい」
「丸目さん、Stay. ここで待っていてください」
わかったと頷いて、エレベーターに向かう棗の姿を目で追う。でも、棗の後ろ姿が見えなくなると不安だった。
早く帰ってきて欲しい。
ここで待っていたら褒めてくれる。
車のキーを取りに行く間くらい、待てる。
「丸目さん…」
戻ってきた棗がハグをしてくれる。
「Goodboy. お待たせしました」
「うん…」
「寂しかったですか」
「うん」
「すみません」
「平気です」
抱きしめられながら、
「一人で待ってくれてありがとうございます」
「僕のコマンドを聞いてくれて嬉しかったです」
と言われ、背中や頭を撫でてもらっているうちに、不安もなくなる。
なぜあんなに不安だったのかもわからず、棗に撫でてもらっているうちに忘れていった。
通院日。主治医は、顔色がよくなった朋志を見て、「あの丸目さんが…」と驚きを隠せないようすだったが、パートナーができたことを祝ってくれた。
二週間毎の通院が、次は一ヶ月後となり、療法士とのプレイをせずに帰してもらえた。
そのことを話すと、棗も喜んでくれた。
「抑制剤も、段階的にですが弱いものに変えていくことになりました」
「よかったですね。僕も嬉しいです」
「はい。副作用を抑える薬が減らせたのも嬉しくて」
「僕以外のDomとプレイせずに済んで」
「え」
「?」
棗がニコリと笑う。綺麗な笑顔。
朋志は、ぼうっと棗に見惚れてしまい、突っ込むタイミングを逃してしまった。
--- 俺が棗さんの顔に弱いこと、絶対伝わってる…
プレイをするなかで、棗のこともわかってきた。
好きなのは、Subを甘やかすこと。
”命令”より”お願い”のニュアンスでコマンドを出している。
リワードを与える事や、スキンシップでケアをすることも好んでしている。
プレイで、コマンドを受け入れてくれる姿を見ていると満たされる。
コマンドやグレアでサブスペースに入ってくれたらいいと思っている。
お仕置きが好きだったり、刺激を求めるタイプのSubに、"物足りない"と言われてきたらしい。
棗の周りには、そのようなタイプが多く、今までパートナーを得ることができなかったようだ。
朋志はDomといえば顕しか知らないが、同じDomでもタイプが違うため、最初は、Subだけが気持ちいいプレイだったらどうしよう…と、思っていたが。
何度もプレイをしているうちに、棗も自分の欲求を満たせているとわかり、身を委ねられるようになっていった。
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