【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

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ネガティブなマッチング

ネガティブなマッチング 6



 「コマンド…」
 「はい」
 「いつですか」
 全く思い出せない。
 かと言って、棗が嘘を言っているようにも見えない。

 「丸目さんがあの男にコマンドを使われそうになったとき--」
 朋志は、男の強引な行為に、ショック状態になっていたようだ。サブドロップによく似たようすで、混乱もしていたので、なんとか落ち着かせたいと思った。とっさのことだったらしい。

 「すみませんでした」
 「いえ…、こちらこそ助けていただいて…」
 棗につられて、朋志も頭を下げる。

 棗は勝手にプレイをしたことを気にしているが、朋志を心配してのことだ。
 Domとのプレイに拒否感はあっても、棗を責める気はない。
 むしろ感謝している。
 現に、体は軽く、すっきりしていた。
 療法士とのプレイでもほとんど体調改善ができなかった。
 抑制剤も効きにくくて、いつも頭に靄がかかっているような状態で、体も重く、何をするのも億劫で…。


 棗に頭を下げるのをやめてもらいたい。
 

 「棗さん、頭を上げてください」
 棗は何も悪いことはしていないと思う。
 それよりも…。

 「棗さんとプレイして、…覚えていないですが…でも、すっきりしました」
 「…」
 「体も軽いです」
 「…本当ですか」
 「はい」
 棗は、まだ納得していないといったようすで、じっと朋志を見ている。
 「お礼を言うのは俺の方です」 

  
 助けてくれてありがとうございますと、棗の目をしっかりと見る。
 細めのアーモンドアイ。どのパーツを取ってもきれいな人だなぁと感心する。

 コマンドを拒否しても聞いてもらえなかった。その前からDomと一緒にいることにしんどさがあって、距離を取りたかった。
 そんな状態であのときコマンドを使われていたら、自分がどうなっていたかわからない。
 どうにかしてこの感謝している気持ちを棗に伝えたい。

 夢うつつに、誰かに褒めてもらったような。なにか欲しかった言葉を言ってもらえたような。嬉しくてくすぐったかったような。

 --- あれは、顕さんじゃなかったんだな…
 


 「丸目さん」 
 棗が居住まいを正す。
 「はい」
 

 「丸目さんが良ければ、また会いませんか」
 「棗さん…」
 「僕は、丸目さんのことが好きになりました」



 棗がまっすぐ朋志を見据える。
 ストレートすぎる言葉にびっくりして返事を忘れてしまった。ぼうっとする。素直に嬉しい。
 助けてくれた感謝もあるが、棗に好意を持ち始めている。
 これきりで終わりにしたくない。

 --- 棗さんとまた会いたい。
 --- 俺も棗さんのことをもっと知りたい。






 「できれば、合意の上でプレイもしたいです」
 「あ…」

 棗はDomで、朋志はSubで。
 
 そうだ。ダイナミクスバーで顕から聞いた。棗は、朋志のことを気に入ったみたいだって。
 朋志がSubだから。
 欲求不満のSubに命令したいだけなのかも…。
 ちらりと浮かんだ考え。そんなことを思うのは失礼だ。
 棗は、あの強引なDomとは違う。


 「はい…俺も…」
 棗への好意は確かにあるのに、急に色を無くしたように感じる。


 棗がサイドボードからスマホを取り、操作をしているのを見て、朋志もカバンからスマホを取り出し、連絡先を交換した。 





 
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