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日常系 ※R-18
夏祭り
※R-18
単発エロです。本編とは繋がっていません。
暑すぎて魔が差しました。
棗のマンションは、とても大きくて豪華だ。
朋志が住んでいる安普請からすれば、キッチンよりも狭いこの部屋は、来てもらうのが申し訳無いぐらいなのだが。
棗は特に気にした様子もなく、朋志が淹れたインスタントコーヒーを飲みながら、仕事の資料を読んでいた。
テレビでは、花火大会の話題を取り上げている。
このあたりでも、自治体の花火大会がある。テレビで取り上げているものよりかなり規模は小さいが、露店もあり、毎年賑わっていた。
今までこんな近くにあるお祭りにもかかわらず、ほとんど行ったことはなかったが、今年は…。
「棗さん、花火大会には行ったりしますか」
「大学生のころに行ったきりですね」
「この辺にも花火大会がありましたよね。いつだったかなあ…」
「それなら、うちからでも見えますよ」
「えっ」
すごい。見たい。
顔に書いてあるのを読まれたようで、「見に来ますか」と誘ってくれた。
当日。身一つで来てほしいといわれたが、つい、甘そうなスイカを買ってしまったので、持っていく。
棗は、「気を遣わなくてよかったのに」と言いながら、笑って受け取ってくれた。
花火大会の時間まではまだ時間がある。
昨日からソワソワし、予定より早く棗の家に来てしまった。
「朋志さん、すみませんがこちらに着替えていただけますか」
「着替え?」
手渡されたのは、浴衣だった。
「え、これ…」
「せっかくの花火大会ですので。少し離れていますが、雰囲気は大切です」
なるほど。でも…。
「俺、着付けできないです…」
「僕が着付けますよ」
棗の手にかかり、魔法のような速さで着付けが終わった。
「すごい、すごい…」
「似合っていますよ、朋志さん」
「棗さんの方が似合っています」
--- 浴衣でこれなら、棗さんが着物なんか着たら俺…
濃紺の浴衣を涼しげに着こなしている棗に、うっとり見惚れてしまう。
「ふ、かわいい」
唇が触れあい、すぐに離れていく。一瞬のことで目をぱちくりさせている朋志に、「まだ時間がありますから、少し歩きましょう」と流し目を送るので、どう反応したらいいのか困ってしまう。
頬が熱くなるのを感じながら、「はい…」と返事をするだけで精一杯だった。
町内を歩いていると、朋志たちのように浴衣姿の人たちが歩いていた。
「お祭りって感じがしますね」
「そうですね」
甚兵衛を着た子どもやおそろいの浴衣姿を楽しむ少女たちにカップル、家族連れ…めいめいが祭りを楽しんでいる。
そんなようすを見るだけで、気分が盛り上がる。
夕食に棗が夏野菜でアレンジしたそうめんを作ってくれるということで、祭りの雰囲気を味わいながら、新鮮な野菜を買う。
マンションに戻ると、棗が浴衣に腰紐でたすき掛けをして夕食の準備を始める。
ほとんど手伝えることがない朋志だが、なにかしたくて、そうめんを茹でる用意をするため、鍋に水を張って火にかける。
「ありがとうございます」
にっこりする棗に、胸がときめく。
たすき掛けして袖が上がった浴衣からは、普段見ることが少ない二の腕が、チラチラと見えている。
じーっと見てしまうのも悪い気がして、「お手伝いできることがあれば呼んでください」と言ってリビングに行くことにした。
「ベランダの用意をしてもらえると助かります」
「わかりました」
棗の家はベランダも広い。
朋志からすれば、仕事にジムにと忙しい棗のどこに掃除をする時間があるのかはわからなかったが、ベランダまで隙がないほどきれいだった。
もはや完成されているベランダに、なにをどう用意すれば?と悩んだが、食べ物を置くし…と、ガーデンテーブルとチェアの拭き掃除をする。
そのあとはとくにすることがなくなってしまった。花火大会がある方向を見る。思ったより近く見えるうえに見晴らしもよく、花火への期待が高まる。
「できましたよ」
「運びます」
ゆでたそうめんに夏野菜がたっぶり乗っていて食べ応えがありそうだ。
「簡単なものですが」
「おいしそうです」
「そういってもらえると嬉しいです。あ、もうすぐ花火が始まりますね」
「はい」
「ではいただきましょう」
「いただきます」
夕食を食べているうちに日も落ちて暗くなってきた。
どぉんと雷でも鳴ったのかと思うと、続いてパラパラと音がする。
「始まりましたね」
「…」
菊や牡丹など、次々と夜空に咲いては消えていく。
知らぬうちに、ベランダの桟に乗り出すようにして見ていた。
「きれいですね」
「はい」
棗が朋志の腰を抱いて寄り添う。
久しぶりに見る花火は本当に綺麗だった。
そして、棗と一緒に見られたことも。
「棗さん、今日はありがとうございました」
「とんでもない」
花火が終わって室内に戻ったが、朋志はまだどこかふわふわした気持ちだった。
ソファに座って、先ほどまでの綺麗な記憶を反芻する。
「花火もよかったし、浴衣も…。こんなにしてもらって、俺…」
「気にしないでください。楽しんでもらえて僕も嬉しいです。浴衣は、僕が朋志さんに着てほしくて勝手に用意しただけです」
棗が紅茶を持って隣に座ろうとしたので、座りやすいように少しスペースを譲ったのだが、座った棗に引き戻された。反動で棗に倒れこむ形になり、咄嗟に棗の胸に手をついた。
「んっ?」
がっちり腰を捕まれている。
思ったより棗の顔が近い。細めのアーモンドアイがさらに細くなり、どきりとする。
さらに近づく顔に、もう目を開けていられなかった。唇が軽く重なり、離れていく。
「朋志さん、だめですよ」
「え」
「”Look”です」
「っあ、」
棗から目が離せない。
「そのままですよ」
といいながら、棗が朋志の頬や首筋、肘などあちこちに吸い付く姿を見せていく。
「朋志さんは知らないかも知れませんが…」
うなじを支えられながら、何度もキスをする。
気持ち良すぎて、目を開けているのもつらい。
体から力が抜けてしまうので、必死になって棗に縋っていた。
息が上がりながらも棗から目を離さないようにしている朋志を大きな手が撫でる。
「あ、もう…」
「Goodboy. 頑張りましたね」
ソファに押し倒されたと思ったら、抱きしめられてほっとする。
「着るものを贈るってことは、それを脱がせたいってことですよ」
「え、あぁっ」
胸元に大きな手が入り込み、肩から腕を撫でられるだけで、あっという間に片肌が露わになってしまった。
「こんなふうに」
肩に胸に口付けられ、気まぐれに吸われては声を抑えることができない。
唇が離れてもまだどこかぼーっとしていた。体中がじんじんしているような感覚で、棗に抱き起されてもされるがままだった。
帯はそのままなので、腰で浴衣がわだかまっている。乱れに乱れたままでは恥ずかしくどうにかしたいのだが、朋志は浴衣をどのように扱えばよいのかがわからない。
「棗さん…」
「僕の首に腕を回してください」
言われた通りにする。膝裏に手を入れられ、さらに体が密着したかと思うと、浮遊感に驚いて声をあげる。
「な棗さんっ」
「寝室に行きましょう朋志さん、…嫌ですか」
「…っ」
嫌なわけない。棗とのプレイにいっぱいのキスで、さっきからお腹の奥があつくておかしい。
下肢も、触られてもいないのに反応している。
この熱をなんとかできるのは棗だけだと知っている。
ただ、恥ずかしいだけだ。
「朋志さん」
「…連れていってください…」
広いベッドに横たえられる。
棗にかかれば複雑な帯もするすると解けた。
不思議な気持ちで解かれた帯を見ていたが、棗が自分の帯に手をかけたところで、「お、俺がします」といって、棗の帯のどこを引けばいいのかを教えてもらった。
「朋志さんが脱がせてくれるんですか」
「はい…でも、見ないでくださいね」
「え、はあ…これでいいですか」
棗が目をつむったのを確認して、帯を引く。
見事に帯が解ける。
あんなに複雑に見えたのに、帯が解けると簡単に浴衣が緩んで、棗の肌があらわになる。
「できた…」
思わずつぶやくと同時に嚙みつくようなキスをされる。
舌が入り込み、朋志のものを絡めて棗の口内に誘導されたものをきつく吸われる。
解放されたあとも痺れた感覚が残って悶える。棗は構わず、朋志の体中を唇を使って愛撫していく。
身を捩って声をあげると、さらに入念にされてしまう。
「あっ、あ…っ…棗さん…っ!」
とうに反応している下肢に手が絡む。
「あなたの素直で感じやすいところが好きです」
「んっぁ…ああっ」
素直だと言われたとおり、あっけなく放ってしまい、恥ずかしくて棗の顔が見られない。
棗が早めにプレイを切り上げてくれてよかった。
荒い息の朋志は、近くにあったクッションを引き寄せて顔を埋めて息が整うのを待った。
おかげで、棗が手で受け止めたものを舐めているところを見なくて済んだ。
ほどなくして、滑ったものが朋志の奥を探り、確かめるように何度も撫でた。
それが棗の指だと認識したのと同時に、長い指が入り込んできた。
「痛くないですか」
「へいきです」
向かい合い、棗を抱き寄せてキスをすると、朋志の中を解しながらキスに応えてくれる。
棗の体が好きだ。
薄い皮膚の下で、しっかりと詰まった筋肉を全身に纏っている。確かめるように上から下へ一つ一つと辿っていく。
腹筋を撫でる。それを押し上げるように屹立したものも。
「かたい…」
堪らない気分になって、棗の頭を抱きしめる。
引き寄せたら密着する体が熱く、耳元では荒い息遣いが聞こえてきて、反射的に中の指を噛み締めてしまう。
「早く…もう入りますから…」
そこからはもう、深いところから湧き上がる疼きが解放されることしか考えられなくなって。
体の内側を埋めるものが滑りを借りながら抽挿していくのに合わせて、背筋を震わせ続けた。
心なしか艶々している棗が、そこらへんに放っていた浴衣を集めて畳んでいる。
--- やっぱり本気で体力をつけないと…
あのあと棗は、息が上がって動けなくなった朋志を労わるようにキスをしながら撫でていたが、緩い刺激にも甘く鳴く朋志にだんだんキスが深くなっていき…。
しかし棗に付き合う体力は残っていなかった。
切り替えの早い棗は、キスを堪能してから片付けを始めた。
「棗さん」
「なんですか」
「服を贈って脱がせる…というのは…」
「ああ、男性はそのあと脱がせることを想定して、好きな人に服を贈るという通説、というか俗説です」
当然、朋志は知らなかった。
通説に俗説と言われても、どこの説?という感じである。
なにより、知っていたらきっと着られなかったと思う。
「それって、棗さんも浴衣を着た時からそういうことを考えていたってこと…ですか」
聞きにくいが、好奇心が勝った。
疎い朋志からすれば、未知の領域。
野暮だと思いつつ聞かずにはおられなかった。
「ええ、そうですけど」
それがなにか?と言わんばかりの棗の態度に言葉を失う。
いやらしいことを考えていても、一切顔にも態度にも出ない棗が妬ましくもある。
--- 当たり前のことかもしれないけど
朋志なんか、そんなことを少しでも考えてしまったら、一発で顔に出てしまうというのに。
棗は、こんなに綺麗で、格好いいのに。
--- なんだろうこの気持ち…
”残念な美形”という言葉を知らない朋志は、なんとも言えないもやっとした気持ちで「それ、恥ずかしいですよ」 と言い返し、残念な美形をさらに喜ばせてしまった。
単発エロです。本編とは繋がっていません。
暑すぎて魔が差しました。
棗のマンションは、とても大きくて豪華だ。
朋志が住んでいる安普請からすれば、キッチンよりも狭いこの部屋は、来てもらうのが申し訳無いぐらいなのだが。
棗は特に気にした様子もなく、朋志が淹れたインスタントコーヒーを飲みながら、仕事の資料を読んでいた。
テレビでは、花火大会の話題を取り上げている。
このあたりでも、自治体の花火大会がある。テレビで取り上げているものよりかなり規模は小さいが、露店もあり、毎年賑わっていた。
今までこんな近くにあるお祭りにもかかわらず、ほとんど行ったことはなかったが、今年は…。
「棗さん、花火大会には行ったりしますか」
「大学生のころに行ったきりですね」
「この辺にも花火大会がありましたよね。いつだったかなあ…」
「それなら、うちからでも見えますよ」
「えっ」
すごい。見たい。
顔に書いてあるのを読まれたようで、「見に来ますか」と誘ってくれた。
当日。身一つで来てほしいといわれたが、つい、甘そうなスイカを買ってしまったので、持っていく。
棗は、「気を遣わなくてよかったのに」と言いながら、笑って受け取ってくれた。
花火大会の時間まではまだ時間がある。
昨日からソワソワし、予定より早く棗の家に来てしまった。
「朋志さん、すみませんがこちらに着替えていただけますか」
「着替え?」
手渡されたのは、浴衣だった。
「え、これ…」
「せっかくの花火大会ですので。少し離れていますが、雰囲気は大切です」
なるほど。でも…。
「俺、着付けできないです…」
「僕が着付けますよ」
棗の手にかかり、魔法のような速さで着付けが終わった。
「すごい、すごい…」
「似合っていますよ、朋志さん」
「棗さんの方が似合っています」
--- 浴衣でこれなら、棗さんが着物なんか着たら俺…
濃紺の浴衣を涼しげに着こなしている棗に、うっとり見惚れてしまう。
「ふ、かわいい」
唇が触れあい、すぐに離れていく。一瞬のことで目をぱちくりさせている朋志に、「まだ時間がありますから、少し歩きましょう」と流し目を送るので、どう反応したらいいのか困ってしまう。
頬が熱くなるのを感じながら、「はい…」と返事をするだけで精一杯だった。
町内を歩いていると、朋志たちのように浴衣姿の人たちが歩いていた。
「お祭りって感じがしますね」
「そうですね」
甚兵衛を着た子どもやおそろいの浴衣姿を楽しむ少女たちにカップル、家族連れ…めいめいが祭りを楽しんでいる。
そんなようすを見るだけで、気分が盛り上がる。
夕食に棗が夏野菜でアレンジしたそうめんを作ってくれるということで、祭りの雰囲気を味わいながら、新鮮な野菜を買う。
マンションに戻ると、棗が浴衣に腰紐でたすき掛けをして夕食の準備を始める。
ほとんど手伝えることがない朋志だが、なにかしたくて、そうめんを茹でる用意をするため、鍋に水を張って火にかける。
「ありがとうございます」
にっこりする棗に、胸がときめく。
たすき掛けして袖が上がった浴衣からは、普段見ることが少ない二の腕が、チラチラと見えている。
じーっと見てしまうのも悪い気がして、「お手伝いできることがあれば呼んでください」と言ってリビングに行くことにした。
「ベランダの用意をしてもらえると助かります」
「わかりました」
棗の家はベランダも広い。
朋志からすれば、仕事にジムにと忙しい棗のどこに掃除をする時間があるのかはわからなかったが、ベランダまで隙がないほどきれいだった。
もはや完成されているベランダに、なにをどう用意すれば?と悩んだが、食べ物を置くし…と、ガーデンテーブルとチェアの拭き掃除をする。
そのあとはとくにすることがなくなってしまった。花火大会がある方向を見る。思ったより近く見えるうえに見晴らしもよく、花火への期待が高まる。
「できましたよ」
「運びます」
ゆでたそうめんに夏野菜がたっぶり乗っていて食べ応えがありそうだ。
「簡単なものですが」
「おいしそうです」
「そういってもらえると嬉しいです。あ、もうすぐ花火が始まりますね」
「はい」
「ではいただきましょう」
「いただきます」
夕食を食べているうちに日も落ちて暗くなってきた。
どぉんと雷でも鳴ったのかと思うと、続いてパラパラと音がする。
「始まりましたね」
「…」
菊や牡丹など、次々と夜空に咲いては消えていく。
知らぬうちに、ベランダの桟に乗り出すようにして見ていた。
「きれいですね」
「はい」
棗が朋志の腰を抱いて寄り添う。
久しぶりに見る花火は本当に綺麗だった。
そして、棗と一緒に見られたことも。
「棗さん、今日はありがとうございました」
「とんでもない」
花火が終わって室内に戻ったが、朋志はまだどこかふわふわした気持ちだった。
ソファに座って、先ほどまでの綺麗な記憶を反芻する。
「花火もよかったし、浴衣も…。こんなにしてもらって、俺…」
「気にしないでください。楽しんでもらえて僕も嬉しいです。浴衣は、僕が朋志さんに着てほしくて勝手に用意しただけです」
棗が紅茶を持って隣に座ろうとしたので、座りやすいように少しスペースを譲ったのだが、座った棗に引き戻された。反動で棗に倒れこむ形になり、咄嗟に棗の胸に手をついた。
「んっ?」
がっちり腰を捕まれている。
思ったより棗の顔が近い。細めのアーモンドアイがさらに細くなり、どきりとする。
さらに近づく顔に、もう目を開けていられなかった。唇が軽く重なり、離れていく。
「朋志さん、だめですよ」
「え」
「”Look”です」
「っあ、」
棗から目が離せない。
「そのままですよ」
といいながら、棗が朋志の頬や首筋、肘などあちこちに吸い付く姿を見せていく。
「朋志さんは知らないかも知れませんが…」
うなじを支えられながら、何度もキスをする。
気持ち良すぎて、目を開けているのもつらい。
体から力が抜けてしまうので、必死になって棗に縋っていた。
息が上がりながらも棗から目を離さないようにしている朋志を大きな手が撫でる。
「あ、もう…」
「Goodboy. 頑張りましたね」
ソファに押し倒されたと思ったら、抱きしめられてほっとする。
「着るものを贈るってことは、それを脱がせたいってことですよ」
「え、あぁっ」
胸元に大きな手が入り込み、肩から腕を撫でられるだけで、あっという間に片肌が露わになってしまった。
「こんなふうに」
肩に胸に口付けられ、気まぐれに吸われては声を抑えることができない。
唇が離れてもまだどこかぼーっとしていた。体中がじんじんしているような感覚で、棗に抱き起されてもされるがままだった。
帯はそのままなので、腰で浴衣がわだかまっている。乱れに乱れたままでは恥ずかしくどうにかしたいのだが、朋志は浴衣をどのように扱えばよいのかがわからない。
「棗さん…」
「僕の首に腕を回してください」
言われた通りにする。膝裏に手を入れられ、さらに体が密着したかと思うと、浮遊感に驚いて声をあげる。
「な棗さんっ」
「寝室に行きましょう朋志さん、…嫌ですか」
「…っ」
嫌なわけない。棗とのプレイにいっぱいのキスで、さっきからお腹の奥があつくておかしい。
下肢も、触られてもいないのに反応している。
この熱をなんとかできるのは棗だけだと知っている。
ただ、恥ずかしいだけだ。
「朋志さん」
「…連れていってください…」
広いベッドに横たえられる。
棗にかかれば複雑な帯もするすると解けた。
不思議な気持ちで解かれた帯を見ていたが、棗が自分の帯に手をかけたところで、「お、俺がします」といって、棗の帯のどこを引けばいいのかを教えてもらった。
「朋志さんが脱がせてくれるんですか」
「はい…でも、見ないでくださいね」
「え、はあ…これでいいですか」
棗が目をつむったのを確認して、帯を引く。
見事に帯が解ける。
あんなに複雑に見えたのに、帯が解けると簡単に浴衣が緩んで、棗の肌があらわになる。
「できた…」
思わずつぶやくと同時に嚙みつくようなキスをされる。
舌が入り込み、朋志のものを絡めて棗の口内に誘導されたものをきつく吸われる。
解放されたあとも痺れた感覚が残って悶える。棗は構わず、朋志の体中を唇を使って愛撫していく。
身を捩って声をあげると、さらに入念にされてしまう。
「あっ、あ…っ…棗さん…っ!」
とうに反応している下肢に手が絡む。
「あなたの素直で感じやすいところが好きです」
「んっぁ…ああっ」
素直だと言われたとおり、あっけなく放ってしまい、恥ずかしくて棗の顔が見られない。
棗が早めにプレイを切り上げてくれてよかった。
荒い息の朋志は、近くにあったクッションを引き寄せて顔を埋めて息が整うのを待った。
おかげで、棗が手で受け止めたものを舐めているところを見なくて済んだ。
ほどなくして、滑ったものが朋志の奥を探り、確かめるように何度も撫でた。
それが棗の指だと認識したのと同時に、長い指が入り込んできた。
「痛くないですか」
「へいきです」
向かい合い、棗を抱き寄せてキスをすると、朋志の中を解しながらキスに応えてくれる。
棗の体が好きだ。
薄い皮膚の下で、しっかりと詰まった筋肉を全身に纏っている。確かめるように上から下へ一つ一つと辿っていく。
腹筋を撫でる。それを押し上げるように屹立したものも。
「かたい…」
堪らない気分になって、棗の頭を抱きしめる。
引き寄せたら密着する体が熱く、耳元では荒い息遣いが聞こえてきて、反射的に中の指を噛み締めてしまう。
「早く…もう入りますから…」
そこからはもう、深いところから湧き上がる疼きが解放されることしか考えられなくなって。
体の内側を埋めるものが滑りを借りながら抽挿していくのに合わせて、背筋を震わせ続けた。
心なしか艶々している棗が、そこらへんに放っていた浴衣を集めて畳んでいる。
--- やっぱり本気で体力をつけないと…
あのあと棗は、息が上がって動けなくなった朋志を労わるようにキスをしながら撫でていたが、緩い刺激にも甘く鳴く朋志にだんだんキスが深くなっていき…。
しかし棗に付き合う体力は残っていなかった。
切り替えの早い棗は、キスを堪能してから片付けを始めた。
「棗さん」
「なんですか」
「服を贈って脱がせる…というのは…」
「ああ、男性はそのあと脱がせることを想定して、好きな人に服を贈るという通説、というか俗説です」
当然、朋志は知らなかった。
通説に俗説と言われても、どこの説?という感じである。
なにより、知っていたらきっと着られなかったと思う。
「それって、棗さんも浴衣を着た時からそういうことを考えていたってこと…ですか」
聞きにくいが、好奇心が勝った。
疎い朋志からすれば、未知の領域。
野暮だと思いつつ聞かずにはおられなかった。
「ええ、そうですけど」
それがなにか?と言わんばかりの棗の態度に言葉を失う。
いやらしいことを考えていても、一切顔にも態度にも出ない棗が妬ましくもある。
--- 当たり前のことかもしれないけど
朋志なんか、そんなことを少しでも考えてしまったら、一発で顔に出てしまうというのに。
棗は、こんなに綺麗で、格好いいのに。
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