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ハッピーエンドのその先は
変化を受け入れるには 2
ホテルからほど近いビーチに着いたときには、すでに、顕と桜己、吉継はダイビングに出たあとだった。
聡実はパラソルの下で寝ていたが、棗に声をかけられて起き上がる。
「あんた達は行かないの?」
「朋志さんはどうしますか」
「俺は、見ています。棗さんはよかったら行ってください」
「……はい、じゃあ、遠慮なく」
「心配しなくても、人のものに手は出さないよ」
「聡実、余計なこと言わないでください」
「…」
「朋志さん、なにかあったら大きな声を出してくださいね」
「失礼な」
「え、あ…」
喧嘩しているのか、これが二人の普通なのかわからないので、どのように返事をしたらいいのかがわからない。
棗が行ってしまったあとは、聡実も朋志に背を向けて寝転がってしまった。
このタイミングを狙ったのか、たまたまなのか朋志にはわからないが、マリンスポーツのシーズンにもかかわらず人は少ない。
しばらくは遠くの海水面から上がったり潜って消えたりする姿を眺めていたが、朋志も動きたくなってきた。
--- 歩きにいこうかなあ。
寝ているのかどうかはわからないが、聡実になにも言わずに行くのも気が引ける。
返事が無ければそれで良いかと、声をかけてみる。
「あ、厚木さん」
「…」
「ちょっと散歩するので離れます」
案の定、返事はない。
立ち上がり、サンダルを履いて振り返る。
「あの…蘭さんと握手…しようとして、嫌な気分にさせてしまっていたらすみません」
「…別に気にしていない」
返事が返ってきて驚く。
相変わらず背中を向けたままだったが、ほっとした気持ちの方が勝った。
「ありがとうございます…」
「朋志っ、このお肉美味しいよ。食べてみて」
「あ、美味しいです。桜己くん」
「だろっ?」
「蘭さんもどうぞ。ついでにお野菜も」
「ありがとうございます…」
夕食は、バーベキューだった。桜己が朋志に声をかけ、朋志が吉継を気にかけ…と、用意をしている時から自然とこの形になった。
「蘭さん?俺のこと桜己って呼んでよ。俺も吉継って呼ぶから」
「…桜己さん」
「蘭さん、俺も名前で呼びたいから、俺のことも朋志って呼んで欲しいです」
「と、朋志さん…」
「はい、吉継さん」
「あ、連絡先もおしえて」
「はい」
「わかりました」
「帰ったら連絡しますね」
「遊びにいこーよ」
「はい、吉継さんも来てくださいね」
「…はい」
少し離れたところでは、Domたちが楽しそうにしている自分のSubを肴に、脂下がっていた。
「棗、鼻の下が伸びてるキモい」
「あなたも人のことをどうこう言えるほど冷静には見えませんよ」
「俺の吉継に不用意に近づく奴はただじゃおかないつもりなんだが、まあ、…うん」
「だよな、思いの外いいなあれ」
「…いいですね、とても」
そんな生温い会話をされているとは、つゆ知らず。仲良くなったばかりの三人は、思い思いに話をつのらせていた。
「それにしてもさ、朋志はすごいよ」
「?」
「棗くんのパートナーになるなんて」
「…」
桜己が好奇心たっぷりに感心すると、隣で吉継もコクリと頷いていた。
「どういうことですか」
朋志も棗とパートナーになれたことは、すごいことだと思っているが、そういうことではなさそうで。
「棗くん、Domとしては優しいけど、見た目はあの通り格好いいからガチの人は時々いたし」
「…え」
「いや、棗くんは断ってたよ」
「…」
「プレイはしなくても、あっちだけでもってっ…むぐっ」
「朋志さん、大丈夫ですか」
「あ、うん…?」
--- あっちって?
「桜己さん、そういう話はここでは…」
「ごめん」
わからない。
「あっちって…どういう意味ですか…?」
「!」
「!!」
「え?」
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