【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
79 / 151
ハッピーエンドのその先は

変化を受け入れるには 6



 「第一性欲がない人もいます。朋志さんが気に病む必要はありません」
 「本当ですか…」
 「もー、いるよ。世の中いろんな人がいるんだから。そもそもダイナミクス性からしてややこしいし。でもまあどんなでもだいたい生きていけるから」
 「…」
 「はい」
 「あと、まだ朋志が第一性欲が無いとか決まってないし」
 「はい。俺も断言するような言い方をしてしまってすみません、朋志さん」
 「でも、今まで考えたことがないんです。俺、吉継さんの言う通りだと思います」
 「あぁうん。まあ俺は顕とパートナーだったことがあるのにセックス経験がないことの方に驚いてるけど…」
 
 「え、そうですか…? あの、ちょっと聞きにくいのですが…」
 
 「はい大丈夫です」
 「いいよ」
 「二人ともプレイしながらセッ、…そういうことするんですか。何かきっかけとか合図とかあるんでしょうか。プレイの前後とか決まりがあるんですか。そういうのがわかれば、俺でも棗さんのこと満足させてあげられるのかなって…」
 「…」
 「…」
 二人とも急に真顔で黙ってしまった。
 --- 知らないのは非常識とか…暗黙のルールがあるとか…身の程をわきまえろとか…?


 「…朋志さん、棗さんと触れ合うことはありますか」
 「はっ。プレイ中とか…ケアもしてくれます。それ以外の時でも」
 「どんな感じで?」
 「抱きしめてくれたり、撫ででくれたり、手を握ったり。あとは…」
 「あとは?」

 あとは…。
 「ひ、膝に乗ったり…」
 言いながら恥ずかしくなってきた。不安が行き過ぎて口が緩くなっている気がする。証拠に、二人とも動きが止まってしまった。
 「あっ違うんです。これは"Kneel"のルールで決またことで、俺もDomに見上げられるのは変だなって思うんですけど棗さんが」
 「…羊羹にシュガー盛り盛りで甘やかされてるね。このまま聞いてて棗くんに怒られないかな朋志待ってもういいから」
 「あの俺、なんか変ですか」
 「うん、変…かも知れないけど、でも悪くない、つか良いと思うよ」
 「俺も、変なこと言ったなって反省してます。今までのは気にしないでください」

 朋志の知りたいことは何も教えてくれない二人。
 でも二人だけでなにか話しが進んでいる。通じ合っている。
 こんなんじゃあ俺…。

 「棗さんとパートナーを解消することになったらどうしよう…」
 「えぇっ」
 「なくない?」

 「だって、俺」
 「朋志さん、落ち着いて」
 「…はい」
 「朋志さんは、棗さんと触れ合うとき、どんなふうに思いますか」
 吉継の問いかけに棗とのプレイやケアをしてくれた時のことを思い出す。

 --- 棗さんは、いい匂いがして、
 --- 声も優しい。安心できる。
 --- 褒めて抱きしめてくれたらふわふわする。
 --- もっとくっついていたい。
 --- いっぱい棗さんの好きなように躾けしてほしい。

 そういったものがごちゃまぜになった気持ちの中に、体中を浸しているみたいになる。

 
 
 「今の気持ちを素直に棗さんに伝えたら何も心配しなくていいと思いますよ」
 「そうでしょうか」

 「悩み聞かされたのか惚気聞かされてたのかよくわからないかいけつしたらおれのもきいて」
 「ぜひ。俺も聞いてほしいです」
 「聞かせてほしいです」

 


 「今日は言いにくいところを色々教えてくれてありがとうございました」
 話をしているうちに、日も傾きはじめていた。
 「じゃーまたねー」
 「素直に気持ちを伝えたら多分大丈夫ですよ」
 二人に話を聞いてもらえてよかった。
 一人だったら、もっとしんどかった気がする。

 少なくとも、棗に直接言おうと勇気が出るまで、と言ってどこまででもずるずる引きずっていた気がする。



 勢いのまま、棗に連絡をする。
 『今日はお家に伺っても大丈夫ですか。棗さんと話しがしたいです。』

 程なくして返信が来た。
 『もちろんです。僕もちょうど帰って来たところです』

 


 棗の家まで、バスと徒歩で約三十分。
 頭の中で、どう言おうか考える。

 棗さんは第一性欲がありますか?

 …確かに聞きたいことだが、直球すぎて恥ずかしい質問だ。
 --- なんにもない俺が立ち入っていいのかな

 もしもあるなら、俺とプレイしたあと、他の人としてるんですか。
 俺が今までそんなことを考えたことがないように、棗さんも俺となんて考えたことがないですか。
 ずっと以前に誘われたという、その人たちのほうが棗さんを癒やしてくれるなら…

 棗がそう言うなら、それを受け入れるしかないのかも知れない。
 
 自分が受け止める自信がないから、仕方のないことかも知れない…。







 棗の家に着き、夕食をごちそうになった上に手ずから紅茶を淹れてもらったあと、素直にここのところの悩みと今の気持ちを伝えたものの。




 「朋志さんは、僕とパートナーを解消したいのですか」

 と言われて、びっくりすることになる。



感想 3

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

響花学園

うなさん
BL
私の性癖しか満たさない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。