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ハッピーエンドのその先は
困った愛情表現 4
『今から向かいます』
出発前にメッセージを送る。
合鍵で入ってきてと言われていたので、かばんから取り出して、解錠する。
「来てくれてありがとうございます」
「緊張しました」
すぐに棗が出迎えてくれた。
紅茶をソファテーブルに置いてくれる。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
早速いただく。
「美味しいです。棗さんが淹れてくれる紅茶が一番美味しいです」
「嬉しいです」
「実は…」
今日は来ないかもと思っていましたと、隣に座った棗が切り出す。
「昨日の楽しそうな朋志さんを見て、これでよかったのかなと反省していました」
「え、そうなんですか」
「朋志さんは体を重ねていくより、穏やかに気持ちを通わせていくような付き合い方のほうが好きですね。なのに僕は朋志さんを急かしてしまって」
確かに、気持ちが激しく上下するより、穏やかな時間を共有するほうが好きだと思う。
棗は優しいから、いつでも朋志のことを考えてくれる。
染み入るような声を聞いているだけでときめくし、くっついて手を繋いでいるだけで幸せになれる。
ぎゅうっと抱きしめてくれたら、心の芯からじんわりと温かくなる。
そういう時間はこれからたくさん作ることができる。
でも、やっぱり朋志にとって一番の願いは、”棗好みのSub”になることなのだ。棗に躾けて欲しい。
棗の好きにして欲しい。
棗ならちゃんと、朋志の不安だらけの気持ちの中から、本当の気持ちを見極めて、掬ってくれる。
カップを置いて、棗の手を握る。
「俺はこわがりで、すぐに引いてしまうところがありますが、…いつでも棗さんの好みのSubにして欲しいと思っています」
棗が驚いている。
そんなに驚かなくても…と思ったが、今までを思い返すと、仕方ないことかと思い直した。
「ずっと棗さんの好きにして欲しいって思っていましたよ。でも俺がこんなだから待っててくれたんですよね」
「朋志さん…」
目の前に座っている人は、朋志が不安にならないように心を配ってくれる優しいDom…
朋志のDomだ。
「お願いします。棗さん」
棗の首に腕をまわすと、ちょっと苦しいくらいの力で抱きしめられる。「わあっ」と声をあげても緩まなかった。
「ええ、こちらこそよろしくおねがいします」
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