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ハッピーエンドのその先は
いちゃいちゃしたい 1
今週は棗の仕事が忙しいらしい。
「年度末ならまだしも四半期決算で…」とぶつぶつ言っている。
申し訳ないが、仕事の話は全くわからない。
朋志はただ、棗さんは愚痴を言ってても格好良いなぁ…何か役に立てることはないかなぁ…と、頭の中でたんぽぽの綿毛をふわふわ飛ばしていた。
一週間くらい会えない。
寂しいが仕事なら仕方ない。
「お仕事がんばってください」
「早く終わらせます…」
ソファにどっぷり身を埋めて、気落ちしている棗は珍しい。
「棗さん」
「はい…」
「お仕事が終わったら、ご褒美ありますよ。頑張ってください」
「ごほうび」
「棗さんは何がいいとかありますか」
「ごほうび…」
「あ…やっぱりするのが当たり前の仕事でご褒美とか迷惑ですか…」
「とんでもないです、くださいご褒美」
「え…そうですか…んふふ、楽しみにしててくださいね」
このあと、元気になった棗が朋志の好きなプレイとケアをいっぱいしてくれた。
朋志は、棗に言ったことは無いが、”Kneel”と”Look”が好きだ。
”Kneel”は棗の膝に乗る二人で決めたスタイルで、最初は慣れなかったが、今は早く膝に乗せて欲しいと思うようになったし、”Look”は普段は恥ずかしくてあまりじっと見てられない棗の目をずっと見ていられる。
棗はプレイの間、手の届くところは全部というくらい、体中ずっと撫でてくれる。
言ったことは無くても、朋志が好きなことはバレていると思う。
「朋志さんのおかげで明日からの仕事、頑張れそうです」
そう言う棗は心なしか艶々していて、美形度は三割増しだったが、朋志は、満たされた気持ちと同時に棗の期待を感じてしまい。
――― 俺、やり方間違えたかな…
ちょっと励ますつもりが、”ご褒美”のハードルが上がっていることに、内心冷や汗をかいていた。
会えなくても、メッセージは毎日やり取りをしている。
相変わらず、棗から送られてくる写真は、ときどきコメントに困る…紙の器に入ったネギも何も乗っていないただの白い豆腐とか…変なものから、夕立のあとの虹までいろいろある。
やり取りをしながら、朋志は棗の欲しいものって何だろう…と、頭を悩ませていた。
仕事の休憩時間。
パートのおばちゃんに、旦那さんが喜ぶことって何ですかと聞いてみたが、「昔は、普段作らない料理を作ったら喜んでくれたよ」とのことだった。
誕生日とかのパーティメニューのことらしい。
料理が壊滅的にできない朋志には、雲の上の話だった。
若い頃はなんでも喜んでくれるから、と励まされ飴玉をくれた。
予定どおり、翌週には棗の仕事が落ち着き、『会いたいです』と連絡がきたので、棗の仕事終わりに合わせて会いに行く。
「朋志さん…」
「お疲れ様でした。会いたかったです」
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