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ハッピーエンドのその先は
かわいいSubの愛で方 2
「棗さん」
「はい」
後輩の社員が紙束を持ってくる。
「○○社の資料です」
「ありがとうございます」
彼女は確か階下の部署の…と名前を思い出そうとしていると、資料にメモが貼ってあることに気づいた。
見てみると、SNSのIDが書かれてある。
メモの扱いに困りながら、小さくため息をつく。
棗には、物心がついたときから、時折、このようなことがあった。
幼い頃は、直接「好き」と好意を表し、年が上るごとに、手紙であったり、メール、集団で…など手段は様々だったが、彼女、ときどき彼等は棗に秋波を送ってくるが、それに答えることはできない。
棗は、Dom性を持っていることをカミングアウトしていない。
Dom性を持っていることが判明したのは小学生の高学年で、かなり早熟だった棗は、当時好意を寄せてくれていた少女とプレイまがいの行為をしたことがある。
しかし、少女はダイナミクス性を持っておらず、何一つ満たされることはなかった。
少女は可愛いらしい容姿をしていたし、棗の言葉にも従順だった。
プレイに付き合ってくれたことへの感謝以外なにも、可愛いという気持ちも、愛おしさも何もなかった。
Subとのプレイ以外では満たされない。
目に見えないダイナミクス性に、首輪を着けられたのだと理解した瞬間だった。
今は、朋志がいる。
彼が棗のコマンドによって見せる従順さと羞恥心は、頭から足の先まで痺れが走るような感覚でもって、棗に快感であることを伝えてくる。
一目見たときから惹かれていた相手だ。
役に立ちたい、手元に置いて好きなときに可愛がりたいと思ったし、彼は棗には興味がなかったので、信頼を得るために、好きなプレイやケアをして関心を引いた。
パートナーだと認めてくれたことは、今でも大きな歓びだ。
愛してやまないのは、朋志の健気で素直で、純粋な…。
メモは一旦横に置き、残りの仕事に取りかかった。
「棗さん」
「はい」
朋志の家の玄関先で声をかけられる。
夕食を棗の家で食べ、明日は仕事だからと家に送り届けたところだった。
朋志が棗の手を取り、指を絡めてぎゅっと握ってくる。
「ありがとうございました。おやすみなさい」
ほんのり頬を赤らめて別れの挨拶をする。指を緩めた朋志には返事をせずに、棗の方から握りなおす。
「あっ」
大人が二人入ったら窮屈なくらいな玄関の、壁に朋志を押し付けて唇を重ねる。びっくりした拍子に開いた口に遠慮なく舌を差し込んで、好きならしい舌の先を擽ると、絡めた指が震えながら縋ってくる。
「朋志さん」
「はぁ…はい」
「これ、貝殻つなぎっていうのですが、気に入りましたか」
「はい…」
キスの余韻でどこか焦点の合わない顔をしている朋志の目の前に、絡めた指を持っていく。
「?」
「もう一つの名前があって、恋人繋ぎっていうんですよ」
指先に何度もキスしていると、朋志はやっと言われたことを理解したようで、みるみる頬を染め上げた。
「朋志さん、またこの前みたいに裸でプレイしてもいいですか」
「あ…ぅ」
「だめですか」
朋志は首を横に振ったあと、「棗さんも脱いでくれるなら…」と恥ずかしそうに言って、棗を喜ばせた。
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