【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

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ハッピーエンドのその先は

実家に帰らせていただきます 2







 朋志からのメッセージを読んで、棗が仕事終わりに朋志のところへやって来た。
 会うなり、「よかったですね」と笑顔で言ってくれた。
 靴も脱ぎ終わっていない棗に、思わずぎゅうぎゅうに抱きついてしまった。


 朋志は最近、麺のゆで方を覚えた。

 乾麺を鍋に張った湯に入れること数分から十数分。麺のちょうどいい硬さを見極められるようになったのだ。
 棗にさせてばかりでは申し訳ないと思いつつ、スキルアップのスピードは、亀よりものんびりしている朋志である。
 パスタでもそうめんでも、うどんでもそばでもなんでも何でも来いと自信満々の今日はうどんである。
 棗が手土産に持って来てくれたのだが、うどんは半生。
 穴が空くほどパッケージの裏に書かれた茹で方を熟読する。
 目指す麺の硬さは好みで決まっているので、そこに向かうだけである。
 後ろから覗き込むように棗も一緒にパッケージに書かれた内容を読んでいるフリをしているが、こちらは朋志にくっついて真剣な様子を楽しんでいる確信犯である。

 「お湯が沸きましたよ」
 と言って、棗がいたずらに朋志を煽る。
 「えっ、もうですか」
 「タイマーをかけるので大丈夫ですよ。せーの…」
 「あっ」


 慌ててお湯にうどんを入れてしまい、吹き出しそうになったところを棗がうどんをかき混ぜて沈静化させた。
 スマホのタイマーをかける。
 「ありがとうございます」
 「やけどはしていませんか」
 「はい」
 「焦らせてすみませんでした」
 「自信が無かったので手伝ってくれてよかったです」
 全く棗の意図に気づいていない朋志である。


 結果的には美味しいうどんを食べることができた。
 


 食後は、棗用のコーヒーと紅茶を淹れる。
 棗にも相談してみようか。
 今まで雑談にも上がらなかった両親の話を聞かされて驚くかもしれないが、聞くだけ聞いてほしい。
 
 「朋志さん…」
 「棗さん…」

 
 「あっ…」
 「朋志さんからどうぞ」

 二人同時に話しだしてしまった。
 棗が譲り、朋志を促した。


 「実は…」
 
 両親は、ダイナミクスに関わる知識がほとんどないが、朋志がSubだと診断されたので、知らないで済ませられなくなってしまった。
 Subは特性上、非支配を望むが、だからといって誰彼構わずに非支配欲を抱く訳ではない。
 しかし、診断されたばかりの朋志は、それをうまく説明できなかった。
 結局、朋志は”マゾになる病気”に罹ったと判断された。
 両親は朋志の”病気”を素直に受け入れられなかったが、それでも息子への愛情は変わらず持ち続けてくれた。
 通院に付き添ってくれたり、学校にも配慮を求めてくれたりもしてくれた。
 大学を卒業して勤めた会社も、サブドロップして辞めざるをえなくなり、家に引きこもっていた。両親は具合が悪い朋志を心配してくれたが、手術をしたら治る類いではない。
 Dom以外からの支配は意味がないし、Domなら誰でもいいわけではない。事態好転の糸口もなく、いたたまれずに一人暮らしをはじめたが、両親は変わらず朋志を心配してくれている。

 やっとダイナミクスに関わる欲求も安定し、仕事もフルタイムになる。
 このタイミングで母に連絡したいが、今までを思い出すと、なかなか一歩が踏み出せない…。



 朋志の話を黙って聞いていた棗だが、朋志の手を握り、口を開く。
 


 「ぜひご実家に行かれるべきかと」



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