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蜜月かもしれません
棗理人(25)の所見 1
「朋志さん、試したい縛り方があるのですが縛らせていただいても大丈夫ですか…」
「はい」
日曜日の朝。
燦々と朝日が降りそそぐダイニングキッチン。向かいに座るのは愛して止まないパートナー。
朋志のリクエストで、ダージリンの初摘みで紅茶を淹れて、朝食はフレンチトーストとミニサラダ。こちらも朋志のリクエストである。
棗はちょうどプロテインを飲みおわったところで、縛りを申し入れたわけである。
食後のほうが良かったと思うも後の祭り。
朋志を縛るにあたって棗は、緊縛の図鑑や指南書などを読み込んでいた。
朋志の意識を縄に向けることが目的だったので、手首や指などあまり負担にならないところを縛ってプレイをしてきたが、内心は…。
公認会計士の国家試験に挑む以上のモチベーションで緊縛の世界を学んでしまっていた棗は、あんな縛りやこんな縛りをすべて朋志に変換していた。
朋志も朋志で、どんな縛りも似合ってしまう。いろんなポーズと表情で棗を誘惑してくる。妄想の話である。
もはや縛ってプレイしたいのか、縛ってセックスしたいのか、ただただ朋志で緊縛美を堪能したいのか、はたまた全部か…、感情は迷子気味だった。
緊縛欲が膨れ上がっている状態といえる。
インプットしたものはアウトプットしたい。
これにつきる。
気軽に返事をする朋志は、だいたい事態をよくわかっていない。”棗の言うことだから大丈夫だろう”という信頼が土台にある。
わかっていてときどき変なお願いを聞き入れてもらっている棗は。
一生可愛がろ。と脂下がっている。
「縛りたいっていうのは、プレイ…ですか」
「はい、プレイもさせていただけたら」
時間も負担もかかる緊縛を、興味だけで付き合ってもらうのは申し訳なく。
「プレイなら俺もしたいです」
ほんのり頬を染めて言うものだから、棗の妄想がますます捗ってしまう。
「ありがとうございます」
寝室で、プレイや縛りについて説明をする。
プレイについては朋志の希望もあり、ケアを取り入れながら進めることになった。
いわゆる触り放題というシチュエーション。
何枚かの写真を見てもらう。
いずれも男女が緊縛されている写真である。
「口で説明するより見ていただいたほうがわかりやすいかと思ったのですが」
朋志は、写真を持ったまま目を瞑ってしまっている。
耳まで真っ赤だ。
胸を強調されていたり、股まで縄が通っているもの、M字開脚のまま縛られているもの。
いずれも着衣なのだが、朋志の羞恥心を煽るには充分な写真だった。
肩をくっつけると、大袈裟なくらいビクつく体。
かわいい。
「すみません。刺激が強かったですね」
と言って写真を朋志の視界から遠ざける。
「あ…」
「どれかしてみたいものはありましたか」
首を振っている。
「これならしても大丈夫そうなものはありましたか」
「…」
「僕はどれも朋志さんにして欲しいと思ったのですが…」
「…棗さん…」
困っている。
助けを求めるような目で棗を見ているが、棗のせいで困っていることに気づいているのか。
棗の”して欲しい”と言う言葉に縛られていることを…。
「無理にとは言いません。写真より優しい縛りもあります」
もう一枚写真を見せる。
胸の上下を平行に走る縄。
さっきまでの複雑な縛りをした写真よりはシンプルに見える。
その写真を見て朋志は、ほっとしたようだった。
「これなら…」
「大丈夫そうですか」
「はい…」
「ありがとうございます。無理に感じた時はすぐに言ってくださいね」
「はい」
「あの、したかった縛りができなくてすみません」
「いいんですよ。気にしないでください」
やっぱり妄想より、現実の朋志のほうが何倍も可愛くて素敵だと再確認できた。
「縛りよりもいいものが見られましたので」
「?」
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