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蜜月かもしれません
丸目朋志(27)の所見 2
「こんばんは」
棗が仕事帰りに来てくれた。
手土産が焼売なのはわかっていたので、中華スープを仕込み…お湯を沸かしただけだが…棗に味を仕上げてもらう。
焼売との相性は微妙だが、食卓の賑やかしのために出した浅漬けとデザートの饅頭は、実家から送られて来たものだ。
あれからも変わらず実家から荷物が送られてきている。
中身も変わらず、おかずだったり果物だったり。
勘当されもせず、かといって歓迎されもせず。
切れそうで切れない糸をそのままに、親子という事実だけの関係をこれからも続けていくのだろう。
ーーー 俺は、寂しいのかな…
親子関係が危ういことは、もともとわかっていた。
それがわかりやすい形での決着がついただけだ。
親子関係については今更…という感じがするが、でも最近、なんだか体や気持ちが変な感じになるのはどうしてだろう。
棗に構って欲しいだけなのかな。
棗は、朋志の微妙な親子関係に気づいて言いたいこともあるとは思うが、あれこれとは言ってこない。
聞かれても、あれ以上のことは言えそうにない朋志にとって、知りつつ静観してくれる棗の態度はありがたかった。
隣り合わせに座り、朋志が集めたチラシと、棗が持って来た情報誌を見ながらああでもないこうでもないと話し合う。
「棗さん」
「はい、行きたいところはありましたか」
「ぎゅってしてください」
「いいですよ。どうしたのですか、嫌なことでもありましたか」
「なんにもないです。してほしくて…」
「もちろん。なんだか可愛いですね」
腰を抱いてくれる。
密着した腰にもっとくっつきたくて、棗の首に腕を回す。
肉が薄いので、腰骨を棗に押し付けることになった。
構わずにぐいぐい押し付ける。
棗は痛いはずだが何も言わず、受け止めて肩を抱いてくれる。
「朋志さん…本当にどうしたのですか」
珍しい朋志の様子に、棗も戸惑っているようだ。
でも朋志にもわからない。
どうしてこんなに棗にくっついているのに、もっともっとという気持ちになるのか。
棗が労るように朋志の背中を撫でる。
その手の動きにぞわぞわしたものを感じて…。
「んぁ…っ」
「朋志さん?」
びっくりしたように棗が手を離す。
「あ…」
朋志もびっくりした。
なにこれ。
「俺…なに…」
棗の手がこわい気がする。
棗をこわく感じるのは初めてのことだ。
怒っているわけでもないのに…。
「棗さん…」
心臓がうるさい。
全身に熱が篭もるような感じ。
どうしよう。
縋るような目で棗を見る。
「朋志さん…」
驚いた表情をした棗も、すぐにいつもの柔和な態度に戻る。
「顔が赤い」
そういって、朋志の頬に手を伸ばす。
「あ」
あんなに押し付けていた腰が引けて、今度は棗から離れようとする。
「逃げないで」
「あ…」
コマンドでもないのに、動けない。
でも、棗の手もこわいのにどうしたら…。
「なにも変なことはありません」
頬を撫でられるのも、今までと違い変な声がでる。
撫でられたところからぞくぞくして…。
「やっと心と体が繋がりましたね」
そういって棗に抱きしめられ、また声をあげてしまった。
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