【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
111 / 151
蜜月かもしれません

未来は見えないけれど 1





 気持ちよく晴れ渡った休日。
 早朝に近い時間から動き出し、公共交通機関を使って約二時間…。
 温泉街である。
 朋志は、棗と一泊二日の旅行にきていた。

 
 ホテルのチェックインにはまだ時間がある。
 一泊なので、ふたりとも荷物は軽い。

 「バス停はあっちの方みたいです」
 「はい」

 そのままバスに乗って、観光をしてからホテルに行くことになった。
 週末の観光地なので、バスも混んでいる。
 肩を寄せて乗ることになった。

 一緒に外出するときは大抵、棗が車を出してくれる。
 朋志は免許を持っていないので、棗に頼り切りである。
 棗も運転は好きらしいが、朋志はいつもしてもらってばかりだなぁ…と思っている。
 棗は最初から、車で現地に行こうと言ってくれていた。
 人混みが苦手なので、車での移動は大変ありがたいが、せっかくの旅行である。
 ゆったりとしたスケジュールを組んでいるし、棗にも運転に気を取られず一緒に楽しみたかったので、今回は公共交通機関を利用することにした。
 
 車内は混んでいるが、さり気なく棗が庇ってくれて、他の乗客との接触はほとんどしなかった。
 ひそひそ話でもするみたいに耳元で話をする。
 「晴れてよかったですね」
 「雨だったら、プランの練り直しでしたからね」
 今回の旅行は、ひたすら歩く。
 きれいな湖の周りの景色を楽しみながら歩いて歩いて歩き回るプランなのだ。
 そして夜はゆっくり温泉に浸かる。快眠プランである。
 次の日は、世界遺産の寺院を観光する予定だ。
 
 湖の周りはハイキングコースになっている。
 新幹線で腹ごしらえは済ませているので、軽く準備運動をしてからスタートする。
 天気もいいし、気温も季節の変わり目で暑くも寒くもない。すれ違う人たちと挨拶を交わしながら歩いていく。

 「展望台はここから行けるみたいですね」
 「行きましょう」
 マップで所要時間を確認する。余裕だ。

 展望台から眺める景色は、美しい湖を見渡せるだけではなく、奥に広がる山々まで自然一帯が見渡せて、とても綺麗だった。
 「棗さん、きれいです」
 「絶景ですね」
 気がついたら二人、手を握りながら景色に見入っていた。
 朋志から手を握ったのか、棗からなのか、あとから考えても全く思い出せなかった。




 朋志にはもう一つ楽しみにしていることがあった。



 英国風のカフェでゆっくり紅茶とスコーンをいただく。

 朋志は紅茶を一口飲み、震える手でカップをソーサーに置く。
 
 英国風の店内。窓は自然を目一杯大きく切り取り、背景には湖。そして粛々とした佇まいの棗。
 
 「す、すごく…いいです…」
 朋志が頬を染め、うっとりした眼差しを向ける。棗はそれを微笑みで受け止めた。
 
 「朋志さん、スコーンがついてますよ」
 棗が朋志の口の端についていたスコーンを取って口に運ぶ。
 「あ…ありがとうございます…」
 いろんな意味で。この光景、宝物にします。


 
 いつもと違う光景、紅茶とスコーンと棗をひとしきり堪能する。
 ぼうっと満足しか無い一息をつく。
 幸せすぎる。
 

 ちょうどそのタイミングで、店員さんに案内された二人が目に入る。
 ――― あ。
 男女の二人連れだったが、朋志は男性の方から目が離せなかった。
 あのひとSubだ。

 やっぱり、同じダイナミクスを持っている人はわかってしまう。たぶん相手の方も気づいているだろうと思う。
 棗も気づいているみたいだが、知り合いではないし、話題にすることでもない。



 店を出ると、ホテルに向かうにはちょうど良い時間だった。
 「行きましょう」
 「はい」
 
 朋志は、同じSubの男性のことが気になっていた。それは、男性の首に細い首輪が着いていたからだった。
 








 

 
感想 3

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

響花学園

うなさん
BL
私の性癖しか満たさない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。