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蜜月かもしれません
構ってちゃんの人たち 2
朋志は棗を見送ったあと、持ち込んだ荷物の解体をはじめた。
棗が朋志にと用意してくれた部屋は、寝室の隣にある。日当たりも良くて気持ちがいい。
先週のうちに掃除は済ませている。クローゼットに衣類を収納したり、本を棚に入れたりしているうちに時間は過ぎていた。
休憩がてら棗がポットに淹れてくれていた紅茶を飲んでいると、インターホンが鳴った。
「はぁい」
モニターを確認すると、棗だった。
「棗さん?」
実家に帰った棗だった。
長引く予感に、行く前から疲れたようすで出ていったというのに。
思ったよりも早い帰宅に、すぐに決着がついたんだと思った。
――― さすが棗さんだなぁ。
と感心しながら。
「鍵を忘れてしまったから開けてくれない?」
「はい」
なんだか、少し違和感があるものの、朋志は鍵を開けて棗を迎えた。
「おかえりなさ…」
その人は、棗とそっくりだけど棗ではなかった。
「え…なつめさん…?」
モニターではわからなかったが、棗よりも長身だ。
「そう、棗です」とその人は言う。
朋志の理解は追いついていない。
棗のそっくりさんは、朋志を見下ろしてにっこりする。
「君が理人の本命ちゃん?」
「え…」
「可愛いなぁ、理人なんかやめて俺にしない?」
その人が朋志に近づいてきた。一歩下がると、同じだけ歩を進めてくる。
「怯えた顔も可愛いね、…跪かせたくなる」
「あ…」
――― この人もDomだ
結局、朋志はろくな抵抗もしないまま、得体のしれない人を家の中に入れてしまった。心の中でずっと棗を呼んでいるが、当然棗が戻って来る気配はない。
棗と同じ顔で、違う人。白昼夢でも見ているような頼りなさを感じる。
「帰ってください」
「酷いなあ、理人が戻るまでプレイしてみない?」
「い、いやです」
――― 棗さん…
「なーんて、びっくりした?」
「!」
「ごめんね、あんまり可愛いからちょっとからかいたくなっちゃって」
その人は、さっきまでの怪しげな雰囲気から一転し、ちゃめっ気たっぷりにウインクする。
しかし、朋志は呆然とするだけである。
「な、なに…?」
「まだわかんない? はじめまして、棗理生です。よろしくね、未来の弟くん」
「り、りおさん…」
「ゆっくり説明してあげるから中に入れてくれる?」
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