【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

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蜜月かもしれません

構ってちゃんの人たち 1




 棗が、朋志に「家に帰ることになりました」と言うと、それまでニコニコしていたかわいい顔が曇って「はい…」と明らかにテンションが下がった返事をした。
 なにか変なことを言ったかと、数秒前を思い出し。


 「なにか勘違いしていませんか」
 「え…、俺、勘違いしていますか…家に帰ることになったって聞いたからてっきり…」

 同棲ができなくなったと言われた、と解釈したらしい。

 「僕から誘っておいてそれはありません」
 「家の都合とかなら仕方ないし…」
 「いえ、とにかく。違いますから」
 「はい」

 「ただ家に顔を出せとうるさくて…」
 「ご両親ですか」
 「主に兄です」
 「棗さん、お兄さんがいるのですか」
 「…はあ、います…」
 「?…、あの、すみません、立ち入ったことを聞いてしまって…」
 「ああいえ、違います」

 隠すことではないが、進んで言いたいわけではない。という複雑な思いがある。朋志は、棗のいつもと違う雰囲気を感じたようだ。
 
 目の前のパートナーには隠しておきたかった。 
 不純な動機はないが、変な誤解をしてほしくもない。
 棗から触れてほしくなさそうな雰囲気を察知したら、今後絶対に話題にはしないだろう。過剰に気遣われたいけでもない。
 棗のパートナーは、気づかいができて、繊細なのだ。
 余計な心配をかけさせたくない。
 棗は朋志の”聞いてもいいのかな”という困惑して垂れ下がってしまった眉毛に負けた。

 「実は…」


 棗は、本当は言いたくなかったと心の中で悪あがきをしながら、できれば隠しておきたかった家族の話をはじめた。



 「すごいです」
 「はあ、すごくはないのです…」


 このマンションを購入する際、保証人になってくれたのが一番上の兄である。
 
 二番目の兄は、普段は海外で生活をしているが、このたび帰国することになった。
 帰国滞在中、棗のマンションに泊まらせて欲しいと一番上の兄を通して言われたのだが、棗は当然断った。
 すると、なぜだどうしてだとしつこくごねられた。
 あまりのしつこさに、パートナーと同棲することを言わざるを得なくなった。


 そこから今度は、「パートナーを紹介しろ」攻撃が始まった。
 紹介したくない棗と紹介しろと迫る兄のやり取りは長時間に及び、折れない兄にうんざりした。
 まだ朋志とは半同棲といったところだが、この静かな生活を邪魔されたくない。
 相手は保証人になってくれたという恩がある兄でもだ。

 埒が明かないので、実家に帰って話をつけてくることになった次第である。




 この、目の前のパートナーは、自分もうっかり渦中にいると言うのに、「棗さんとお兄さんたちは似ていますか」「格好いいんだろうなぁ」とか、一人のどかな味を出している。

 棗には、朋志ののんびりしたところがツボだ。競争とかしたことなさそうなところがいい。可愛さの暴力である。
 しかし、今回ばかりはゆっくり愛でている余裕はない。
 
 朋志は全く気にしていないが、棗は家族に朋志を紹介したくないわけではない。
 本当は自慢したいくらいなのだが。


 ただ棗の家族は面倒臭いのだ。
 

 「朋志さん」
 「はい」
 「すぐに片付けてきます。待っていてください」
 「はい、待ってます」

 変な力が入っている棗に、朋志は疑問符を飛ばしながらも、笑顔で送り出してくれた。
 

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